2014年5月20日 (仮訳)イタリア産のイグチ属ウラベニイロガワリ節の新種Boletus mendaxおよびB. luridus複合体に関する知見 Vizzini, A. et al., 2014. Boletus mendax, a new species of Boletus sect. Luridi from Italy and insights on the B. luridus complex. Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-013-0896-4 [Accessed May 20, 2014]. 【R3-00729】2014/05/20投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ イタリアでブナ科の樹下に発生するイグチ属ウラベニイロガワリ節の菌を、Boletus mendaxとして新種記載した。 本節における分類形質について議論を行い、柄の網目状装飾や「バタイユ・ライン」に価値が乏しいことを示した一方、柄の基部のアミロイド性は分類形質として信頼できるとした。 ITS領域に基づく分子系統解析で、ウラベニイロガワリ節が少なくとも4つのクレードからなる多系統群であることが示された。 Italy, Emilia Romagna, Provincia of Reggio Emilia, Comune of Villa Minozzo, loc. “ Rifugio Zamboni” (新種) Boletus mendax Simonini & Vizzini 語源…偽りの(Boletus luridusに類似していることから) 【よく似た種との区別】 Boletus luridus(ウラベニイロガワリ) 同じBoletus luridus種複合体に含まれる イタリアに分布する ブナ科樹木と関係を持つ 形態的に類似している 傘の色の変異の範囲が時に重なる 柄の基部がメルツァー液で帯紫青黒色に強く呈色する(アミロイド) “subhymenophoral layer”にバタイユ・ラインを有することがある 傘表皮の末端細胞の直径の範囲が重なる ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じウラベニイロガワリ節クレード1に含まれる) 本種より傘の色が明色で、本種ほど帯赤色~深紅色を呈さない 本種と異なり孔口が赤色~鮮やかな深紅ではなくより暗色 本種と異なり柄が主に赤色なのではなく主に黄色~橙黄色(例外もある) 本種と柄表面の装飾が異なる 本種ほど肉が頑丈かつ柔軟でない 本種より担子胞子が短い 本種より担子胞子の幅が広い 本種より担子胞子のQ値がずっと小さい 本種と異なり担子胞子が類紡錘形ではなく楕円形 本種と異なり傘表皮が柵状被ではなく錯綜する菌糸からなる毛状被で老成するにつれてより錯綜する ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Boletus luridiformis イタリアに分布する 柄表面にふけ状の小粒を伴う 肉が頑丈かつ柔軟 担子胞子の形状が類似している ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり柄が円筒形ではなく棍棒形 本種と異なり柄の表面が橙赤色の密な微羊毛状 本種と異なり肉がアミロイド性を示さない 本種と異なり担子胞子が非アミロイド ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ウラベニイロガワリ節クレード1ではなくクレード2に含まれる) Boletus comptus 同じBoletus luridus種複合体に含まれる イタリアに分布する ブナ科樹木と関係を持つ 傘が桃色を帯びることがある 管孔直下の肉が異なる色をしている 柄表面にふけ状の小粒を伴う 傘表皮の末端細胞の直径の範囲が重なる ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じウラベニイロガワリ節クレード1に含まれる) 本種と異なり孔口が明るい赤色ではなくずっと淡い帯黄色、帯黄橙色、橙色、赤橙色 本種と異なり柄がしばしば赤色や深紅色を呈するのではなく帯黄色~橙黄色 本種と異なり柄表面に全く網目を有さない 本種と異なり柄の基部が徐々に細まるのではなく、強く先細りになって根状になる 本種と異なり”subhymenophoral layer”に通常バタイユ・ラインを欠く 本種より担子胞子が短い 本種より担子胞子の幅が広い 本種より担子胞子のQ値がずっと小さい 本種と異なり担子胞子が類紡錘形ではなく楕円形 本種と異なり傘表皮が明瞭なフェルト状であり、時に菌糸が凝集して房状になる 本種と異なり傘表皮の末端要素が直立せずいくぶん傘表面に平行に走る ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Boletus amygdalinus 同じBoletus luridus種複合体に含まれる ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じウラベニイロガワリ節クレード1に含まれる) 本種と異なりイタリアではなく北米などに分布する 本種と異なり柄表面に網目状装飾を欠く 本種と異なり”subhymenophoral layer”に常にバタイユ・ラインを欠く 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種と異なり傘表皮が柵状被ではなく錯綜する菌糸からなる毛状被 ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Boletus queletii 同じBoletus luridus種複合体に含まれる イタリアに分布する ブナ科樹木と関係を持つ 柄の基部がメルツァー液で帯紫青黒色に強く呈色する(アミロイド) ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じウラベニイロガワリ節クレード1に含まれる) 本種と異なり孔口が煉瓦橙色を帯びる 本種と異なり柄表面に網目状装飾を欠く 本種と異なり”subhymenophoral layer”に常にバタイユ・ラインを欠く 本種より担子胞子が短い 本種より担子胞子の幅が広い 本種より担子胞子のQ値が小さい 本種と異なり担子胞子が類紡錘形ではなく楕円状扁桃形 本種と異なり傘表皮が柵状被ではなく錯綜した毛状被 ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Boletus subvelutipes(アメリカウラベニイロガワリ) 同じウラベニイロガワリ節に含まれる 本種と異なりヨーロッパに分布しない 本種より子実体のサイズが大きい 本種より孔口が明色 本種と柄の色が異なる 本種と異なり柄に網目状装飾を持つことが非常に稀 本種より担子胞子のサイズが大きい Boletus craspedius 本種と異なりヨーロッパに分布しない 本種より子実体のサイズが大きい 本種と異なり傘の縁部が成熟すると退色する 本種より担子胞子のサイズが小さい 本種と異なり傘表皮の細胞に結晶を伴う Boletus sinicus 同じウラベニイロガワリ節に含まれる 子実体が中型 傘がガーネット色 柄がガーネット色 柄表面に網目状装飾を有する 肉に青変性を有する 本種と異なりヨーロッパに分布しない 本種と異なりブナ科植物ではなくPinus yunnanensisの樹下に発生する 本種と異なり傘表面が灰色の繊維状鱗片で覆われる 本種と異なり傘の肉が白色 本種と異なり柄の基部が赤色を帯びない 本種と異なり柄の肉が帯黄色 本種より担子胞子のサイズが小さい