2016年6月15日 (仮訳)ヒトおよび動物の感染症に関連するCladosporium属新種 Sandoval-Denis, M. et al., 2016. New species of Cladosporium associated with human and animal infections. Persoonia. Available at: http://www.repository.naturalis.nl/document/637024 [Accessed June 14, 2016]. 【R3-03018】2016/06/15投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ 米国においてヒトおよび動物の臨床検体から分離されたCladosporium属菌を検討し、10新種を記載した。 そのうち6新種がC. cladosporioides種複合体に、3新種がC. herbarum種複合体に、1新種がC. sphaerospermum種複合体に、それぞれ属していた。 各種はそれぞれ同じ種複合体に含まれる近縁種とは分生子鎖や分生子の形態、培養性状などの表現型、および複数遺伝子に基づく分子系統解析により区別された。 USA, California (新種) Cladosporium alboflavescens Sandoval-Denis, Gené & Cano 語源…白色と黄色の(コロニーの色から) 【よく似た種との区別】 Cladosporium piniponderosae 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなくPinus ponderosaなどから分離される 本種より栄養生殖構造が濃色 本種と異なりOAおよびPDA培地でのコロニーが黄色~淡オリーブ色ではなく帯オリーブ灰色 ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Cladosporium verrucocladosporioides 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなくRhus chinensisなどから分離される 本種より栄養生殖構造が濃色 本種と異なりOAおよびPDA培地でのコロニーが黄色~淡オリーブ色ではなく帯オリーブ灰色 ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Cladosporium iranicum 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる 顕微鏡的形質が類似している ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなくCitrus sinensisの葉などから分離される 本種より分生子鎖がずっと長い 本種と異なり節間生の分生子が楕円形~円筒形ではなくしばしば類嘴状 ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度99.8%、87.9%、90.1%) USA, Texas (新種) Cladosporium angulosum Sandoval-Denis, Deanna A. Sutton & Guarro 語源…稜のある(分生子柄の形状から) 【よく似た種との区別】 Cladosporium perangustum 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる 形態的に類似している(かつてこの種に同定されていた) ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁(ITS領域の塩基配列が同一) 本種と異なり臨床検体ではなく様々な植物から分離される 本種と異なり分生子が通常直角に分枝するのではなく時に分枝するのみである 本種より節間生の分生子のサイズが大きい 本種より枝状分生子のサイズが大きい ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度100%、77%、85.4%) Cladosporium xantochromaticum 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる 米国に分布する 臨床検体、Acacia属植物などから分離される ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と分離源の植物種が異なる 本種より分生子柄の細胞が長い 本種より枝状分生子のサイズが小さい 本種と異なり35°Cで生育不能 ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度99.1%、81.1%、90.8%) USA, Minnesota (新種) Cladosporium anthropophilum Sandoval-Denis, Gené & Wiederhold 語源…ヒトを好む(ヒトの臨床検体から分離されたことから) 【よく似た種との区別】 Cladosporium cladosporioides 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる 臨床検体から分離される ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり様々な植物や空中などから分離される 本種より分生子柄が短い 本種と異なり末端生の分生子が卵形~楕円形ではなく類球形~レモン形 本種と異なり分生子表面にSEMで微細な網目状装飾を認めるのではなく不規則な網目状または縞状 ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Cladosporium pseudocladosporioides 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなくマツの針葉などから分離される 本種より分生子柄が短い 本種と異なり末端生の分生子が卵形~楕円形ではなく倒卵形~楕円形 本種と異なり分生子表面にSEMで微細な網目状装飾を認めるのではなく平滑~ほぼ平滑 ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Cladosporium tenuissimum 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなく様々な植物から分離される 本種と異なり日和見病原菌として知られている 本種より末端生の分生子が短い 本種より節間生の分生子が長い ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度99.3%、87.7%、89.9%) USA, South Carolina (新種) Cladosporium crousii Sandoval-Denis, Cano & Guarro 語源…Pedro W. Crous氏に献名 【よく似た種との区別】 Cladosporium gamsianum 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種より分生子柄が短い 本種と異なり分生子柄が淡色ではなく暗褐色 本種と異なり分生子柄が厚壁 本種より末端生の分生子が短い 本種と異なり末端生の分生子が長楕円形ではなく倒卵形 ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される USA, Florida (新種) Cladosporium flavovirens Sandoval-Denis, Gené & Guarro 語源…黄緑色の(OA培地でのコロニーの色から) 【よく似た種との区別】 Cladosporium flabelliforme 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなくゴクラクチョウカ属植物などから分離される 本種より二次枝状分生子がやや短い 本種と異なり二次枝状分生子にしばしば隔壁を有するという特徴を欠く ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度99.8%、80.9%、81.8%) USA, Minnesota (新種) Cladosporium floccosum Sandoval-Denis, Cano & Guarro 語源…羊毛状の(論文中の説明は「斑点状の小さな菌叢を生じる」)(コロニーの肉眼的形質から) 【よく似た種との区別】 Cladosporium sinuosum 同じC. herbarum種複合体に含まれる 分生子柄が顕著な膝折状 枝状分生子を形成しない ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなく様々な植物や空中などから分離される 本種より分生子柄のサイズがかなり大きい 本種と異なり分生子柄が稀にしか分枝しないという特徴を欠く 本種より末端生の分生子が僅かに長い ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される USA, Montana (新種) Cladosporium subcinereum Sandoval-Denis, Deanna A. Sutton & Gené 語源…やや灰色の(コロニーの色から) 【よく似た種との区別】 Cladosporium angustiherbarum 同じC. herbarum種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなくPinus ponderosaなどから分離される 本種より分生子柄のサイズが小さい 本種と異なり枝状分生子を形成しない ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Cladosporium variabile 同じC. herbarum種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり長い分生子鎖を形成する 本種と異なり臨床検体ではなくSpinacia oleraceaなどから分離される 本種と異なり節間生の分生子が類球形、倒卵形、楕円形ではなく広楕円形 本種と異なり分生子表面の装飾が顕著な小刺状、微突起状、水疱状ではなく微細な小粒状 本種と異なり枝状分生子に0-2隔壁ではなく多隔壁を有する ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Cladosporium herbaroides 同じC. herbarum種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなく塩水などから分離される 本種よりサイズが大きい分生子を形成する(二型のうちの一つ) ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Cladosporium herbarum 同じC. herbarum種複合体に含まれる 臨床検体から分離される ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種より分生子が長い 本種と異なり臨床検体ではなくオオムギなどから分離される 本種より分生子の幅が狭い ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される USA, Florida (新種) Cladosporium succulentum Sandoval-Denis, Deanna A. Sutton & Cano 語源…液汁に満ちた(PDA培地で滲出物を豊富に生じることから) 【よく似た種との区別】 Cladosporium halotolerans 同じC. sphaerospermum種複合体に含まれる 枝状分生子の長さの範囲が重なる 臨床検体から分離される ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と枝状分生子の長さの範囲が異なる 本種と異なり塩水などから分離される 本種と異なり分生子の隔壁数が0-1ではなく最大5 本種と異なり最大生長温度が35°Cではなく30°C ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度98.4%、66.5%、79.8%) Cladosporium sphaerospermum 同じC. sphaerospermum種複合体に含まれる 臨床検体から分離される 枝状分生子の長さの範囲が重なる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と枝状分生子の長さの範囲が異なる 本種と異なり分生子の隔壁数が0-1ではなく最大5 本種と異なり最大生長温度が35°Cではなく30°C ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度97.5%、72.7%、83.8%) Cladosporium fusiforme 同じC. sphaerospermum種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなく塩水などから分離される 本種と異なり末端生の分生子が卵形~短棍棒形ではなく倒卵形~紡錘形 本種と異なり枝状分生子を豊富に形成するという特徴を欠く ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度99.8%、80.7%、86.6%) Cladosporium velox 同じC. sphaerospermum種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなくタケなどから分離される 本種と異なり末端生の分生子が卵形~短棍棒形ではなく球形~卵形 本種と異なり枝状分生子を豊富に形成するという特徴を欠く ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度99.8%、80.7%、86.6%) USA, Florida (新種) Cladosporium tuberosum Sandoval-Denis, Cano & Wiederhold 語源…結節状の(分生子柄の形状から) 【よく似た種との区別】 Cladosporium sinuosum 同じC. herbarum種複合体に含まれる 分生子鎖が短い 枝状分生子を形成しない ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなく様々な植物や空中などから分離される 本種より分生子柄が膝折状 本種と異なり分生子が単生あるいは短い分生子鎖をなすのではなく常に分生子鎖を形成する 本種と異なりPDA培地でのコロニーがほぼ黒色ではなく淡オリーブ灰色~帯オリーブ灰色 本種よりPDA培地での生長が遅い ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される USA, Texas (新種) Cladosporium xantochromaticum Sandoval-Denis, Gené & Cano 語源…黄色の(PDA培地で産生する色素の色から) 【よく似た種との区別】 Cladosporium angulosum 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる 米国に分布する 米国に分布する 臨床検体、Acacia属植物などから分離される ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と分離源の植物種が異なる 本種より分生子柄の細胞が短い 本種より枝状分生子のサイズが大きい 本種と異なり35°Cで生育可能 ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度99.1%、81.1%、90.8%) Cladosporium perangustum 同じC. cladosporioides種複合体に含まれる ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり臨床検体ではなく様々な植物から分離される 本種と異なり分生子柄表面が平滑ではなく粗面~小疣状で特に基部にかけていくぶん粗面、頂部が平滑~ほぼ平滑 本種より枝状分生子のサイズが大きい ITS+EF1-α+actAに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度99.1%、75%、89.1%)