2019年6月11日 (仮訳)系統学的研究により証拠づけられた北半球の亜寒帯域および北極圏におけるRussula globispora系統内での異なる種分化メカニズム Caboň, M. et al., 2019. Phylogenetic study documents different speciation mechanisms within the Russula globispora lineage in boreal and arctic environments of the Northern Hemisphere. IMA fungus. Available at: https://doi.org/10.1186/s43008-019-0003-9 [Accessed June 11, 2019] 【R3-06301】2019/6/11投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ ヨーロッパ、北米、ヒマラヤ、パキスタンなどの亜高山帯~高山帯、亜寒帯域、北極圏、亜熱帯域などで採集されたRussula globispora系統を対象に、複数遺伝子に基づく分子系統解析を実施した。 ヨーロッパおよび北米産標本が単一種R. dryadicolaからなり、ヒマラヤ南東部産標本が2新種、R. abbottabadensisおよびR. tengiiからなっていた。 本菌群における種分化が地理的距離やホストスイッチではなく気候の分離および適応によりもたらされることが示唆された。 中国チベット自治区チャムド市リウォチェ県 (新種) Russula tengii G.J. Li & H.A. Wen 語源…菌学者の鄧叔群氏に献名 【よく似た種との区別】 Russula dryadicola 傘の色が類似している 傘の中央部付近が顕著に退色する 傘表面に帯褐黄色の斑点を生じる 胞子紋が黄色 担子胞子が比較的大型 担子胞子の装飾が大型の孤立した刺状 ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり中国ではなくヨーロッパおよび北米などに分布する 本種より子実体のサイズが大きい 本種より子実体ががっしりとしている 本種と異なり傘シスチジアが2つ以上の細胞からなるという特徴を欠く 本種と異なり傘表皮の末端菌糸が主に円筒形で頂部が鈍頭、くびれることがないのではなくしばしば紡錘形または槍形でしばしば数珠状 ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Russula abbottabadensis 子実体表面に帯褐黄色の斑点を生じる 胞子紋が黄色 担子胞子が比較的大型 担子胞子の装飾が大型の孤立した刺状 ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり中国ではなくパキスタンに分布する 本種と異なり傘が通常鈍桃色~紫色ではなく明るい赤色 本種と異なり傘の中央部付近が顕著にではなく僅かに退色する 本種より傘シスチジアの幅が狭い 本種と異なり傘シスチジアの細胞数が主に2以上ではなく主に1-2 本種と異なり傘表皮の末端菌糸が主に円筒形で頂部が鈍頭、くびれることがないのではなく円筒形 本種より傘表皮の末端菌糸の次端細胞が分枝する ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Pakistan, Khyber Pakhtoon Khaw, Abbottabad, Shimla (新種) Russula abbottabadensis Saba & Adamčík 語源…アボッターバード産の 【よく似た種との区別】 Russula dryadicola 子実体表面に帯褐黄色の斑点を生じる 胞子紋が黄色 担子胞子が比較的大型 担子胞子の装飾が大型の孤立した刺状 ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりパキスタンではなくヨーロッパおよび北米などに分布する 本種と異なり傘が明るい赤色ではなく通常鈍桃色~紫色 本種と異なり傘の中央部付近が僅かにではなく顕著に退色する 本種より傘表皮の末端菌糸の幅が広い 本種と異なり傘表皮の末端菌糸が円筒形ではなくしばしば紡錘形または槍形でしばしば数珠状 ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Russula tengii 子実体表面に帯褐黄色の斑点を生じる 胞子紋が黄色 担子胞子が比較的大型 担子胞子の装飾が大型の孤立した刺状 ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりパキスタンではなく中国に分布する 本種と異なり傘が明るい赤色ではなく通常鈍桃色~紫色 本種と異なり傘の中央部付近が僅かにではなく顕著に退色する 本種より傘シスチジアの幅が広い 本種と異なり傘シスチジアの細胞数が主に1-2ではなく主に2以上 本種と異なり傘表皮の末端菌糸が円筒形ではなく主に円筒形で頂部が鈍頭、くびれることがない 本種ほど傘表皮の末端菌糸の次端細胞が分枝しない ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Russula dryadicola Fellner & Landa 【よく似た種との区別】 Russula abbottabadensis 子実体表面に帯褐黄色の斑点を生じる 胞子紋が黄色 担子胞子が比較的大型 担子胞子の装飾が大型の孤立した刺状 ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりヨーロッパおよび北米などではなくパキスタンに分布する 本種と異なり傘が通常鈍桃色~紫色ではなく明るい赤色 本種と異なり傘の中央部付近が顕著にではなく僅かに退色する 本種より傘表皮の末端菌糸の幅が狭い 本種と異なり傘表皮の末端菌糸がしばしば紡錘形または槍形でしばしば数珠状ではなく円筒形 ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Russula tengii 傘の色が類似している 傘の中央部付近が顕著に退色する 傘表面に帯褐黄色の斑点を生じる 胞子紋が黄色 担子胞子が比較的大型 担子胞子の装飾が大型の孤立した刺状 ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりヨーロッパおよび北米などではなく中国に分布する 本種より子実体のサイズが小さい 本種ほど子実体ががっしりとしていない 本種と異なり傘シスチジアが2つ以上の細胞からなる 本種と異なり傘表皮の末端菌糸がしばしば紡錘形または槍形でしばしば数珠状ではなく主に円筒形で頂部が鈍頭、くびれることがない ITS+mtSSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される