(仮訳)オランダにおいて塩生植物のアマモから分離された新種Phytophthora gemini
Man in’t Veld, WA., et al., 2011. Phytophthora gemini sp. nov., a new species isolated from the halophilic plant Zostera marina in the Netherlands. Fungal biology. Available at: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1878614611000924 [Accessed April 20, 2014].
【R3-00625】2014/04/20投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

オランダでアマモの腐朽した植物体や種子などから分離された2種の卵菌のうち、Phytophthora inundataでない方を、P. geminiとして記載した。
本新種の記載は、形態、アイソザイム解析、温度-生長関係、ITS領域の分子系統解析などを基に行われた。
本種を含むエキビョウキン属菌がオランダにおけるアマモの個体群減少に影響している可能性や、本属菌の進化と海の環境の関連性について議論した。
The Netherlands, Lake Grevelingen

(新種)

Phytophthora gemini Man in ’t Veld, K. Rosendahl, Brouwer & de Cock
語源…双子の(1本の菌糸に2つの遊走子嚢を形成することから)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Phytophthora inundata
同所的に分布する
同じアマモを宿主とする
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じ「クレード6」に含まれる)
本種と異なりオランダ以外のヨーロッパ諸国や南米、オーストラリアからも報告されている
本種と異なり海水域だけではなく淡水域からも分離されている
本種より遊走子嚢のサイズが小さい
本種よりCMA-oxoid培地での生長がどの温度でも速い
本種より最大生長温度が高く、33°Cではなく38°Cに達する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列長に9塩基の差があり、欠失部位が複数ある)
Idh-1、Idh-2、Mdh-1、Mdh-2のアイソザイム解析で明瞭に区別される
Phytophthora japonica
形態的に類似している
遊走子嚢が大型
遊走子嚢に乳頭突起を持たない
菌糸の節間に膨大部が生じる
本種と異なりアマモではなくイネを宿主とする
本種と異なり顕著な”basal plugs”を欠く
本種と異なり末端の遊走子嚢の直下に形成される二次遊走子嚢を欠く
本種と異なり菌糸の節間の膨大部が規則的ではなく不規則な間隔で生じる
本種と異なり対になる交配型との対峙培養で配偶子嚢が誘導される
Phytophthora humicola
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じ「クレード6」に含まれる)
本種と異なりホモタリックである
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Phytophthora inundata Brasier, Sanch. Hern. & S.A. Kirk
※本種は従来淡水域のみから知られていたが、初めて海水域から報告された。
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Phytophthora gemini
同所的に分布する
同じアマモを宿主とする
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じ「クレード6」に含まれる)
本種と異なり複数のヨーロッパ諸国、南米、オーストラリアではなくオランダのみから報告されている
本種と異なり海水域のみから分離されている
本種より遊走子嚢のサイズが大きい
本種よりCMA-oxoid培地での生長がどの温度でも遅い
本種より最大生長温度が低く、38°Cではなく33°Cにとどまる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列長に9塩基の差があり、欠失部位が複数ある)
Idh-1、Idh-2、Mdh-1、Mdh-2のアイソザイム解析で明瞭に区別される
Phytophthora japonica
形態的に類似している
遊走子嚢が大型
遊走子嚢に乳頭突起を持たない
菌糸の節間に膨大部が生じる
本種と異なりアマモではなくイネを宿主とする
本種と異なり対になる交配型との対峙培養で配偶子嚢が誘導される
Phytophthora humicola
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じ「クレード6」に含まれる)
本種と異なりホモタリックである
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される