(仮訳)東南アジア産の食菌の普通種、Russula orientalovirescensはヨーロッパ産の類似種R. virescensとは異なる
Wisitrassameewong, K. et al. 2025. Russula orientalovirescens sp. nov., a common Southeast Asian edible fungus is different from the European look-alike R. virescens. PLOS ONE. Available at: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0322545 [Accessed August 28, 2025] 【R3-13115】2025/8/28投稿

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3行まとめ

従来ヨーロッパ産のRussula virescensと同定されてきた、東南アジアで広く消費されている緑色の食用きのこについて検討し、実際は別種であることを分子系統解析により明らかにした。
東南アジア産の大部分の標本に対して新種R. orientalovirescensを記載し、本種が中国、日本にまで広く分布することを示した。
本種はR. virescensとは担子胞子がより大きいこと、傘シスチジアがより豊富であることなどで区別された。
Thailand, Chiang Mai Province, Mae On District, Huay Kaew community forest

(新種)

Russula orientalovirescens Wisitr. & Raspé
語源…東洋のRussula virescens
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【よく似た種との区別】
Russula virescens(アイタケ)
タイに分布する
肉眼的形態に有意な差異がないほど類似している
傘表面が緑色
傘表面がひび割れる
ITS+rpb2+tef1およびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりスイス、チェコ、イタリア、スリランカ、ポーランド、デンマーク、フランス、ベルギー、ルーマニア、スロバキアにおける分布が知られている
本種より担子器の幅が狭い
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種より傘表皮の次端細胞のサイズが小さい
本種と異なり傘シスチジアの数が傘縁部付近において少ない
本種と異なり傘シスチジアが傘縁部付近において長い
ITS+rpb2+tef1およびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula viridirubrolimbata(フタイロベニタケ)
中国に分布する
子実体の野外での外観が非常に類似している
傘表面が緑色
傘表面がひび割れる
ITS+rpb2+tef1およびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘縁部付近が桃色から赤色を帯びる
ITS+rpb2+tef1およびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula parvovirescens
タイに分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり米国における分布が知られている
本種より子実体のサイズが小さい
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種より傘表皮の末端細胞および次端細胞が膨大する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula prasina
東南アジアに分布する
子実体が緑色
本種と異なり傘表面の縁部付近のみがひび割れる
Russula xanthovirens
東南アジアに分布する
子実体が緑色
本種と異なり傘表面の縁部付近のみがひび割れる
Russula aureoviridis
東南アジアに分布する
子実体が緑色
本種と異なり傘表面の縁部付近のみがひび割れる
Russula sribuabanensis
東南アジアに分布する
子実体が緑色
本種と異なり傘表面の縁部付近のみがひび割れる
Russula pseudocrustosa
傘が緑色
傘表面が小区画状
本種と異なり傘が帯黄褐色~帯赤褐色
本種と異なり胞子紋がクリーム色
本種より担子胞子の疣の丈が低い
Russula sribuabanensis
傘が緑色
傘表面が粉状
本種と異なり傘表面が顕著な小区画状でない
本種と異なり担子胞子の装飾が低い網目状
本種より子実層シスチジアのサイズが大きい
本種と異なり傘シスチジアが稀または欠如する

(その他掲載種)

Russula virescens (Schaeffer) Fries
アイタケ
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【よく似た種との区別】
Russula orientalovirescens
タイに分布する
肉眼的形態に有意な差異がないほど類似している
傘表面が緑色
傘表面がひび割れる
ITS+rpb2+tef1およびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりスイス、チェコ、イタリア、スリランカ、ポーランド、デンマーク、フランス、ベルギー、ルーマニア、スロバキアにおける分布が知られていない
本種より担子器の幅が広い
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種より傘表皮の次端細胞のサイズが大きい
本種と異なり傘シスチジアの数が傘縁部付近において多い
本種と異なり傘シスチジアが傘縁部付近において短い
ITS+rpb2+tef1およびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される