(仮訳)新熱帯産コウタケ属菌 (1):ガイアナ、プエルトリコ、およびベリーズ産の新種
Grupe, AC. et al., 2015. Sarcodon in the Neotropics I: new species from Guyana, Puerto Rico and Belize. Mycologia. … Available at: http://www.mycologia.org/content/early/2015/01/25/14-185.abstract [Accessed September 11, 2015].
【R3-02186】2015/09/12投稿

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3行まとめ

従来温帯~亜寒帯に分布し、針葉樹と関係を持つ種が主に知られていたコウタケ属において、熱帯において広葉樹と関係を持つ4新種を記載した。
ガイアナからSarcodon pakaraimensis、プエルトリコからS. portoricensisを記載した。
また、ベリーズの雲霧林においてコナラ属植物と関係を持つS. quercophilusおよびS. umbilicatusを記載した。
Guyana, Cuyuni-Mazurani, Pakaraima Mountains, Upper Mazaruni River Basin, within 0.5 km of base camp

(新種)

Sarcodon pakaraimensis A. Grupe & T.W. Henkel
語源…パカライマ(山地)産の
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【よく似た種との区別】
Sarcodon umbilicatus
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりガイアナではなくベリーズに分布する
本種と傘の色が異なる
本種と異なり傘表面が不規則な孔状という特徴を欠く
本種と異なり実質が露出すると桃色に変色するという特徴を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sarcodon atroviridis(オリーブハリタケ)
傘表面に孔および畝を有しその他の部分は平滑
傘が傷つくと黒変する
本種と異なりガイアナではなく北半球温帯に分布する
本種と異なり子実体が乾燥するとオリーブ色を帯びる
本種と異なり柄に内在する小鱗片を有するという特徴を欠く
本種と異なり柄が中空でない
本種と異なり実質が露出すると桃色に変色するという特徴を欠く
本種より担子胞子が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度最大86%)
Sarcodon thwaitesii
子実体の色が類似している
傘が黒変する
柄が成熟すると中空となる
本種と異なりガイアナではなく旧熱帯に分布する
本種と異なり柄に内在する小鱗片を有するという特徴を欠く
本種と異なり実質が露出すると桃色に変色するという特徴を欠く
本種と異なり傘表皮が密に織り合わさったマット状ではなく直立した毛被
Sarcodon bambusinus
新熱帯に分布する
傘の形状が類似している
子実層托が垂生しない
柄の長さが類似している
本種と傘の色が異なる
本種と異なり柄に内在する小鱗片を有するという特徴を欠く
本種と異なり柄が中空でない
本種と異なり実質が露出すると桃色に変色するという特徴を欠く
本種より担子胞子が長い
本種と異なり傘表皮が密に織り合わさったマット状ではない
Puerto Rico, Municipality Canovanas, Novanas, El Yunque National Forest, El Toro Trail

(新種)

Sarcodon portoricensis A. Grupe & T.J. Baroni
語源…プエルトリコ産の
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【よく似た種との区別】
Sarcodon atroviridis(オリーブハリタケ)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
傘がパッチ状に黒変する
子実層托が垂生しない
柄が無毛
担子胞子のサイズが類似している
本種と異なりプエルトリコではなく北半球温帯に分布する
本種と異なり傘表面が繊維状で中央部が小区画状ではない
本種と異なり柄の表面が繊維からなるマット状ではなく無毛~粉状
本種と異なり実質が黒色ではなく淡紫色~帯青灰色に変色する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度87%)
Sarcodon quercophilus
子実層托が直生する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりプエルトリコではなくベリーズに分布する
本種と傘の色が異なる
本種と異なり傘表面が繊維状で中央部が小区画状なのではなく圧着したフェルト状で縁部にやや条線をあらわす
本種と異なり傘が黒変するという特徴を欠く
本種と異なり柄が中実ではなく中空
本種と異なり実質が黒変するという特徴を欠く
本種より担子器のサイズが小さい
本種と異なり担子器が棍棒形ではなく短棍棒形
本種と異なり担子胞子の装飾が”exsculpate”で角が丸いのではなく”exsculpate”で角が外向きに突出する
本種より柄表皮の末端細胞の幅が狭い
本種と異なり柄表皮の末端細胞が類棍棒形~偽頭状ではなく蛇状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sarcodon thwaitesii
傘の形状が類似している
傘表面に小区画をあらわす
傘が黒変する
本種と異なり傘が帯灰褐色でない
本種と異なり柄が帯灰褐色でない
本種より担子胞子の幅が狭い
Sarcodon bambusinus
柄のサイズが類似している
柄が帯灰褐色
担子器の長さが類似している
担子胞子の形態が類似している
本種と異なりプエルトリコではなくトリニダード、ブラジルに分布する
本種と異なり低山の湿潤林ではなく低地の熱帯雨林に発生する
本種と異なり傘表面が繊維状で中央部が小区画状なのではなく長軟毛状~類糠状
本種と異なり柄が速やかに黒変するのではなく緩やかに汚褐色~帯黒色に変色する
本種より担子胞子の幅が狭い
Sarcodon quietus
柄が中実
実質が変色する
担子胞子の装飾が”exsculpate”
本種と異なりプエルトリコではなくコンゴに分布する
本種と異なり子実体が帯灰褐色ではなく顕著な帯オリーブ色
本種と異なり傘中央部表面が小区画状ではなく小鱗片状
本種と異なり子実層托が直生ではなく垂生する
Belize, Toledo,Cayo District, Chiquibul National Park, Maya Mountains, Doyle’s Delight

(新種)

Sarcodon quercophilus A. Grupe & D.J. Lodge
語源…コナラ属を好む
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【よく似た種との区別】
Sarcodon portoricensis
子実層托が直生する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりベリーズではなくプエルトリコに分布する
本種と傘の色が異なる
本種と異なり傘表面が圧着したフェルト状で縁部にやや条線をあらわすのではなく繊維状で中央部が小区画状
本種と異なり傘が黒変する
本種と異なり柄が中空ではなく中実
本種と異なり実質が黒変する
本種より担子器のサイズが大きい
本種と異なり担子器が短棍棒形ではなく棍棒形
本種と異なり担子胞子の装飾が”exsculpate”で角が外向きに突出するのではなく”exsculpate”で角が丸い
本種より柄表皮の末端細胞の幅が狭広い
本種と異なり柄表皮の末端細胞が蛇状ではなく類棍棒形~偽頭状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sarcodon atroviridis(オリーブハリタケ)
新鮮な子実体が黒ずんだ暗色
傘表面がフェルトのようなマット状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりベリーズではなく北半球温帯に分布する
本種と異なり傘が乾燥すると帯青灰色ではなく帯オリーブ色
本種と異なり傘縁部がやや条線状なのではなく平滑
本種より担子器が長い
本種と異なり柄表皮の末端細胞が蛇状に屈曲するという特徴を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度95%)
Sarcodon thwaitesii
子実体全体の色が類似している
柄が長い
柄が中空
担子器の長さが類似している
本種と異なりベリーズではなくマレーシア、ニューギニア、ニュージーランドに分布する
本種と異なりコナラ属の森林ではなくフタバガキ科/ブナ科あるいはナンキョクブナ属の森林に発生する
本種と異なり傘表面が圧着したフェルト状ではなく短い直立した毛被
本種と異なり傘縁部にやや条線をあらわすという特徴を欠く
本種と異なり柄表面が圧着したフェルト状ではなくやや無毛~綿毛状
本種より担子器の幅が広い
本種と異なり柄表皮の末端細胞が蛇状ではなく未分化
Sarcodon bambusinus
子実体のサイズが類似している
子実体の形状が類似している
担子器の長さが類似している
本種と傘の色が異なる
本種と異なり傘表面が圧着したフェルト状でない
本種と異なり傘縁部にやや条線をあらわすという特徴を欠く
本種と異なり実質が変色する
本種より担子器頂部の幅が狭い
本種より担子胞子の幅が狭い
Sarcodon procerus
子実体の色が類似している
傘縁部に条線をあらわす
柄が中空
実質が露出しても変色しない
本種と異なりベリーズではなくコンゴに分布する
本種より傘直径が大きい
本種と異なり子実層托が直生ではなく垂生する
本種より担子胞子が長い
本種より担子胞子の幅が狭い
本種と異なり担子胞子の装飾が”exsculpate”ではなく丸い
Belize, Toledo,Cayo District, Chiquibul National Park, Maya Mountains, Doyle’s Delight

(新種)

Sarcodon umbilicatus A. Grupe, T.J. Baroni & D.J. Lodge
語源…臍状の(傘の形状から)
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【よく似た種との区別】
Sarcodon pakaraimensis
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりベリーズではなくガイアナに分布する
本種と傘の色が異なる
本種と異なり傘表面が不規則な孔状
本種と異なり実質が露出すると桃色に変色する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sarcodon atroviridis
傘が凸形~広凸形
担子胞子の幅が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりベリーズではなく北半球温帯に分布する
本種と異なり傘が成熟すると常に暗褐色なのではなく帯青灰色、帯灰紫色、黒色
本種と異なり傘中央部が臍状に窪まない
本種と異なり傘表面がマット状の繊維状~小皺状ではなく綿毛状~フェルト状
本種と異なり柄が傘と同色でない
本種と異なり実質が暗色に変色しない
本種より担子胞子が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度82%)
Sarcodon thwaitesii
柄が成熟すると中空
担子器の長さが類似している
担子胞子のサイズが類似している
本種と傘の色が異なる
本種と異なり傘中央部が臍状に窪まない
本種と異なり傘表面が小皺状ではなく短い綿毛状
本種より子実層托が短い
Sarcodon bambusinus
傘が初め帯灰褐色
柄が傘と同色
子実層托の長さが類似している
実質が帯灰褐色に変色する
本種と異なり傘中央部が臍状に窪まない
本種と異なり傘表面がマット状の繊維状~小皺状ではなく長軟毛状~類糠状
本種より担子胞子の幅が狭い