2015年2月16日 (仮訳)薬用価値の高い「桑黄(メシマコブ)」の種の解明 Wu, S-H. et al., 2012. Species clarification for the medicinally valuable ‘sanghuang’ mushroom. Botanical Studies. Available at: http://ejournal.sinica.edu.tw/bbas/content/2012/1/Bot531-13.pdf [Accessed February 16, 2015]. 【R3-01563】2015/02/16投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ 中国、日本、韓国などで古くから薬用きのことして珍重されてきた桑黄(メシマコブ)を含むグループの形態学的検討および分子系統解析を行った。 その結果を基に、中国・日本・韓国・台湾に分布し、クワ属樹木のみを宿主とする菌を真の桑黄と認め、Inonotus sanghuangとして新種記載した。 本種や新種I. weigelaeを含む、アジアに分布するI. baumii-I. linteusグループの6種はいずれも異なる宿主に対して特異性を有していた。 中国吉林省白山市 (新種) Inonotus sanghuang Sheng H. Wu, T. Hatt. & Y.C. Dai メシマコブ 語源…中国語名の「桑黄 (sāng huáng)」から 【よく似た種との区別】 Inonotus baumii(エゾキコブタケ) 日本・中国・韓国に分布する 形態的に類似している(かつて本種にこの種の学名が充てられたことがあった) 子実体が傘状 子実体が常に無柄 傘表面に深い溝線を有する 薄い殻皮を欠く ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりクワ属ではなく主にハシドイ属植物を宿主とする 本種と異なり傘が扁平・中高扁平・凸形・向軸方向に平ら・僅かに凸形・僅かに凹形ではなく扁平~類蹄形 本種と異なり傘の縁部がKOHで暗赤色に呈色しない 本種と異なり孔口面が黄金色・帯褐黄色・黄褐色ではなく淡褐色~褐色 ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Inonotus vaninii 中国に分布する 形態的に類似している(同種と見なされたこともあった) 傘の縁部がKOHで赤変する 孔口面が黄金色 ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりクワ属ではなくヤマナラシ属植物のみを宿主とする 本種と異なり子実体が傘状ではなく背着生~傘状 本種と異なり傘の縁部の黄色の領域が狭く、成熟とともに消失するのではなく、幅広く永続的 本種と異なり傘表面の溝線が顕著に深いのではなく中程度に深い ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Inonotus linteus 形態的に類似している(かつて本種にこの種の学名が充てられたことがあった) ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり東アジアではなくアメリカ大陸およびアフリカ大陸の熱帯域に分布する 本種と異なりクワ属樹木を宿主としない 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種と異なり担子胞子が広楕円形ではなく類球形 ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される 長野県茅野市 (新種) Inonotus weigelae T. Hatt. & Sheng H. Wu ウツギサルノコシカケ 語源…タニウツギ属の 【よく似た種との区別】 Inonotus lonicericola アジアに分布する 肉眼的形態が類似している ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりタニウツギ属ではなくスイカズラ属植物を宿主とする 本種より担子胞子のサイズが小さい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Inonotus baumii(エゾキコブタケ) アジアに分布する 顕微鏡的形質が類似している ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりタニウツギ属ではなく主にハシドイ属植物を宿主とする 本種と異なり常に無柄 本種と異なり傘が扁平ではなく扁平~類蹄形 本種と異なり傘表面に黒色の薄い殻皮を欠く 本種と異なり傘の縁部が薄く尖るのではなく厚く鈍い ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Inonotus lonicerinus アジアに分布する ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりタニウツギ属ではなくスイカズラ属植物を宿主とする 本種より孔口のサイズが大きい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Inonotus baumii (Pilát) T. Wagner & M. Fisch. エゾキコブタケ 【よく似た種との区別】 Inonotus sanghuang(メシマコブ) 日本・中国・韓国に分布する 形態的に類似している(かつて当該種に本種の学名が充てられたことがあった) 子実体が傘状 子実体が常に無柄 傘表面に深い溝線を有する 薄い殻皮を欠く ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり主にハシドイ属ではなくクワ属植物を宿主とする 本種と異なり傘が扁平~類蹄形ではなく扁平・中高扁平・凸形・向軸方向に平ら・僅かに凸形・僅かに凹形 本種と異なり傘の縁部がKOHで暗赤色に呈色する 本種と異なり孔口面が淡褐色~褐色ではなく黄金色・帯褐黄色・黄褐色 ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Inonotus lonicericola 中国・極東ロシアに分布する ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり主にハシドイ属ではなくスイカズラ属植物を宿主とする 本種より担子胞子のサイズが小さい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Inonotus weigelae(ウツギサルノコシカケ) アジアに分布する 顕微鏡的形質が類似している ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり主にハシドイ属ではなくタニウツギ属植物を宿主とする 本種と異なり常に無柄という特徴を欠く 本種と異なり傘が扁平~類蹄形ではなく扁平 本種と異なり傘表面に黒色の薄い殻皮を有する 本種と異なり傘の縁部が厚く鈍いのではなく薄く尖る ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Inonotus lonicericola (Parmasto) Y.C. Dai 【よく似た種との区別】 Inonotus baumii 中国・極東ロシアに分布する ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりスイカズラ属ではなくハシドイ属植物を宿主とする 本種より担子胞子のサイズが大きい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Inonotus weigelae(ウツギサルノコシカケ) アジアに分布する 肉眼的形態が類似している ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりスイカズラ属ではなくタニウツギ属植物を宿主とする 本種より担子胞子のサイズが大きい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される (新組み合わせ) Inonotus lonicerinus (Bondartsev) Sheng H. Wu, Y.C. Dai & T. Hattori 旧名:Phellinus lonicerinus (Bondartsev) Bondartsev & Singerなど (基礎異名はFomes lonicerinus Bondartsev) 【よく似た種との区別】 Inonotus weigelae(ウツギサルノコシカケ) アジアに分布する ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりスイカズラ属ではなくタニウツギ属植物を宿主とする 本種より孔口のサイズが小さい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Inonotus vaninii (Ljub.) T. Wagner & M. Fisch. 【よく似た種との区別】 Inonotus sanghuang(メシマコブ) 中国に分布する 形態的に類似している(同種と見なされたこともあった) 傘の縁部がKOHで赤変する 孔口面が黄金色 ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりヤマナラシ属ではなくクワ属植物のみを宿主とする 本種と異なり子実体が背着生~傘状ではなく傘状 本種と異なり傘の縁部の黄色の領域が広く永続的なのではなく、狭くて成熟とともに消失する 本種と異なり傘表面の溝線が中程度に深いのではなく顕著に深い ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される