(仮訳)分類が困難な菌類における種の境界付け:Hymenogaster属の事例
Stielow, B. et al., 2011. Species Delimitation in Taxonomically Difficult Fungi: The Case of Hymenogaster. PLOS ONE. …. Available at: http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0015614 [Accessed February 2, 2016].
【R3-02620】2016/02/03投稿

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3行まとめ

20年間で採集された140点を超える中欧産Hymenogaster属菌の標本を基に、本属における種の境界を再検討した。
その結果、19世紀に記載された種が同種である例がしばしばあった一方、H. niveusが7種の隠蔽種からなることなどが明らかになった。
ドイツおよびハンガリーで採集されたH. huthiiおよびH. intermediusを新種記載し、本属菌の検索表を掲載した。
Stolberg, Sachsen-Anhalt, Germany (Harz mountain range, Biosphere Reserve Southern Harz)

(新種)

Hymenogaster huthii Stielow, Bratek & Hensel
語源…ドイツの菌学者、Manfred Huth氏に献名
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster pruinatus
形態的に類似している(誤同定されてきた)
外皮が白色で部分的に帯灰褐色
グレバが暗黒褐色を呈する
臭いが心地よい芳香臭
本種と異なり外皮が成熟時ブリリアントホワイトではなく白色で帯黄色~帯褐色の斑点が散在する
本種と異なり担子胞子が不透明な暗褐色ではなく透明な淡褐色
本種と異なり担子胞子が幅広い長楕円形ではなくレモン形
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター13ではなく5)
Hymenogaster niveus
外皮がブリリアントホワイト
本種より担子胞子の平均長が短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター13ではなく0、3、7、15、20、21、22)
Hymenogaster griseus
担子胞子の表面が疣状で強い皺状
本種と異なり外皮がブリリアントホワイトでない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター13ではなく18)
Stolberg, Sachsen-Anhalt, Germany (Harz mountain range, Biosphere Reserve Southern Harz)

(新種)

Hymenogaster intermedius Stielow, Bratek & Hensel
語源…中間の(形態的に複数種の中間的性質を有することから)
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster tener(シロツブタケ)
顕微鏡的形態がほぼ同一
担子胞子が小型
本種と異なり子実体が早春に発生する
本種と異なり外皮がブリリアントホワイト
本種と異なり臭いが心地よい穀粉臭またはキュウリ臭ではなく心地よい穀粉臭で成熟すると不快臭
本種と異なり担子胞子の装飾が小疣状~疣状ではなく顕著な刺状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター6ではなく11)
Hymenogaster arenarius(マメツブタケ)
顕微鏡的形態がほぼ同一
担子胞子が小型
担子胞子の装飾が小疣状~疣状
本種と異なり外皮が類白色~クリーム黄褐色ではなく灰白色~褐灰洋紅色
本種と異なり臭いが心地よい穀粉臭またはキュウリ臭ではなく非常に不快な腐敗臭~ニンニク臭
本種と異なり担子胞子が卵状レモン形ではなく広楕円形、レモン形、紡錘状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター6ではなく1)
Hymenogaster rehsteineri
肉眼的形態が類似している(誤同定された例がある)
外皮が淡い帯褐灰色
本種より担子胞子が顕著に長い
本種より担子胞子のQ値が大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター6ではなく8、10、14)

(その他掲載種)

Hymenogaster arenarius Tul. & C. Tul.
マメツブタケ
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster niveus
担子胞子の形態がほぼ同一
本種と異なり外皮が帯灰色~帯褐色ではなくブリリアントホワイト
本種と異なり臭いが非常に不快な腐敗臭~ニンニク臭ではない
本種と異なり担子胞子が広楕円形、レモン形、紡錘状ではなく卵状レモン形
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター1ではなく0、3、7、15、20、21、22)
Hymenogaster intermedius
顕微鏡的形態がほぼ同一
担子胞子が小型
担子胞子の装飾が小疣状~疣状
本種と異なり外皮が灰白色~褐灰洋紅色ではなく類白色~クリーム黄褐色
本種と異なり臭いが非常に不快な腐敗臭~ニンニク臭ではなく心地よい穀粉臭またはキュウリ臭
本種と異なり担子胞子が広楕円形、レモン形、紡錘状ではなく卵状レモン形
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター1ではなく6)

(その他掲載種)

Hymenogaster bulliardii Vittad.
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster luteus
担子胞子が平滑
担子胞子にペリスポアを欠く
本種と異なり外皮が白色で類白色を帯びる帯黒褐色を呈するのではなく白色~淡色
本種と異なりグレバが帯赤色ではなく帯黄色
本種と異なり臭いが不快臭ではなく心地よい果実臭
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター2ではなく12)
Hymenogaster citrinus
担子胞子が平滑
担子胞子にペリスポアを欠く
本種と異なり外皮が白色で類白色を帯びる帯黒褐色を呈するのではなく白色、淡灰白色、灰色、帯黄色
本種と異なりグレバが帯赤色ではなく淡褐黒色~暗黒色
本種と異なり臭いが不快臭ではなく甘い果実臭、酸っぱい果実臭、または腐敗臭
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター2ではなく17)

(その他掲載種)

Hymenogaster citrinus Vittad.
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster bulliardii
担子胞子が平滑
担子胞子にペリスポアを欠く
本種と異なり外皮が白色、淡灰白色、灰色、帯黄色ではなく白色で類白色を帯びる帯黒褐色を呈する
本種と異なりグレバが淡褐黒色~暗黒色ではなく帯赤色
本種と異なり臭いが甘い果実臭、酸っぱい果実臭、または腐敗臭ではなく不快臭
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター17ではなく2)
Hymenogaster luteus
担子胞子が平滑
担子胞子にペリスポアを欠く
本種と異なり外皮が白色、淡灰白色、灰色、帯黄色ではなく白色~淡色
本種と異なりグレバが淡褐黒色~暗黒色ではなく帯黄色
本種と異なり臭いが甘い果実臭、酸っぱい果実臭、または腐敗臭ではなく心地よい果実臭
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター17ではなく12)

(その他掲載種)

Hymenogaster griseus Vittad.
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster rehsteineri
本種と異なり子実体の色の変異が非常に大きいのではなく灰黄褐色
本種と異なり担子胞子が主に非対称の紡錘状微突形ではなく対称的な楕円状槍形
本種と異なり担子胞子が強い疣状で部分的に畝状ではなく疣状で僅かに刺状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター18ではなく8、10、14)
Hymenogaster pruinatus
形態的に類似している(区別が不可能と見られる)
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター18ではなく5)
Hymenogaster huthii
担子胞子の表面が疣状で強い皺状
本種と異なり外皮がブリリアントホワイト
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター18ではなく13)
Hymenogaster megasporus
本種と異なり外皮が淡い紫色~紫色を帯びる
本種より担子胞子のサイズが大きいことが多い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター18ではなく4)

(その他掲載種)

Hymenogaster luteus Vittad.
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster bulliardii
担子胞子が平滑
担子胞子にペリスポアを欠く
本種と異なり外皮が白色~淡色ではなく白色で類白色を帯びる帯黒褐色を呈する
本種と異なりグレバが帯黄色ではなく帯赤色
本種と異なり臭いが心地よい果実臭ではなく不快臭
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター12ではなく2)
Hymenogaster citrinus
担子胞子が平滑
担子胞子にペリスポアを欠く
本種と異なり外皮が白色~淡色ではなく白色、淡灰白色、灰色、帯黄色
本種と異なりグレバが帯黄色ではなく淡褐黒色~暗黒色
本種と異なり臭いが心地よい果実臭ではなく甘い果実臭、酸っぱい果実臭、または腐敗臭
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター12ではなく17)

(その他掲載種)

Hymenogaster megasporus Soehner
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster griseus
本種と異なり外皮が淡い紫色~紫色を帯びるという特徴を欠く
本種より担子胞子のサイズが小さいことが多い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター4ではなく18)

(その他掲載種)

Hymenogaster niveus Vittad.
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster huthii
外皮がブリリアントホワイト
本種より担子胞子の平均長が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター0、3、7、15、20、21、22ではなく13)
Hymenogaster arenarius(マメツブタケ)
担子胞子の形態がほぼ同一
本種と異なり外皮がブリリアントホワイトではなく帯灰色~帯褐色
本種と異なり臭いが非常に不快な腐敗臭~ニンニク臭
本種と異なり担子胞子が卵状レモン形ではなく広楕円形、レモン形、紡錘状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター0、3、7、15、20、21、22ではなく1)
Hymenogaster rehsteineri
担子胞子が帯緑色
担子胞子がレモン形
担子胞子の装飾が小疣状~刺状、乳頭状
本種より担子胞子の平均長が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター0、3、7、15、20、21、22ではなく8、10、14)

(その他掲載種)

Hymenogaster pruinatus R. Hesse
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster huthii
形態的に類似している(誤同定されてきた)
外皮が白色で部分的に帯灰褐色
グレバが暗黒褐色を呈する
臭いが心地よい芳香臭
本種と異なり外皮が成熟時白色で帯黄色~帯褐色の斑点が散在するのではなくブリリアントホワイト
本種と異なり担子胞子が透明な淡褐色ではなく不透明な暗褐色
本種と異なり担子胞子がレモン形ではなく幅広い長楕円形
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター5ではなく13)
Hymenogaster griseus
形態的に類似している(区別が不可能と見られる)
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター5ではなく18)

(その他掲載種)

Hymenogaster rehsteineri Bucholtz
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster griseus
本種と異なり子実体が灰黄褐色ではなく色の変異が非常に大きい
本種と異なり担子胞子が主に対称的な楕円状槍形ではなく非対称の紡錘状微突形
本種と異なり担子胞子が疣状で僅かに刺状ではなく強い疣状で部分的に畝状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター8、10、14ではなく18)
Hymenogaster niveus
担子胞子が帯緑色
担子胞子がレモン形
担子胞子の装飾が小疣状~刺状、乳頭状
本種より担子胞子の平均長が短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター8、10、14ではなく0、3、7、15、20、21、22)
Hymenogaster intermedius
肉眼的形態が類似している(誤同定された例がある)
外皮が淡い帯褐灰色
本種より担子胞子が顕著に短い
本種より担子胞子のQ値が小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター8、10、14ではなく6)

(その他掲載種)

Hymenogaster tener Berk. & Broome
シロツブタケ
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster intermedius
顕微鏡的形態がほぼ同一
担子胞子が小型
本種と異なり子実体が早春に発生する
本種と異なり外皮がブリリアントホワイトでない
本種と異なり臭いが心地よい穀粉臭で成熟すると不快臭ではなく心地よい穀粉臭またはキュウリ臭
本種と異なり担子胞子の装飾が顕著な刺状ではなく小疣状~疣状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター11ではなく6)

(その他掲載種)

Hymenogaster thwaitesii Berk. & Broome
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster griseus
担子胞子が暗褐色
担子胞子が球形~類球形で頂部が丸い
担子胞子の装飾が疣状
グレバの細胞が密に扁圧される
本種と異なり外皮が黄褐色ではなく色の変異が非常に大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クラスター16ではなく18)

(その他掲載種)

Hymenogaster gardneri Zeller & C.W. Dodge
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【よく似た種との区別】
Hymenogaster raphanodorus
乾燥した環境に限って生息する
担子胞子の形状が同一
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Hymenogaster rubyensis
乾燥した環境に限って生息する
担子胞子の形状が同一
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される