(仮訳)オーストラリア産のホースヘア菌の解明:Marasmius crinis-equiと関連分類群
Guard, FE. et al. 2024. Untangling horsehair fungi in Australia: Marasmius crinis-equi (Marasmiaceae) and related taxa. Mycological Progress. Available at: https://link.springer.com/article/10.1007/s11557-024-01995-9 [Accessed September 30, 2024] 【R3-12115】2024/9/30投稿

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3行まとめ

オーストラリア産のMarasmius crinis-equiの分類学的混乱について、形態学的検討および分子系統解析による解決を試みた。
M. crinis-equiのエピタイプ標本を指定したほか、本種が複合種であることを示し、近縁種として3新種を記載した。
これらの種は互いに形態的に非常に類似しており、一部はオーストラリア東部において分布域が重複していた。
Australia, Queensland, Cow Bay, Daintree region

(新種)

Marasmius kabakada F.E. Guard, Albert-Mitchell, Lebel, Dearnaley
語源…先住民の言葉で「雨が多い場所」より
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【よく似た種との区別】
Marasmius crinis-equi(ウマノケタケ)
オーストラリアに分布する
傘のサイズが非常に類似している
襞の枚数の範囲が重なる
担子胞子のサイズの範囲が重なる
傘表皮の箒状細胞のサイズの範囲が重なる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より傘のサイズが僅かに大きい
本種より襞の枚数が僅かに多い
本種より柄が長い
本種と異なり柄が時に帯赤褐色で頂部が淡色なのではなく常に黒色で頂部が淡色
本種よりバシディオールの幅が狭い
本種と異なりバシディオールが紡錘状ではなく円筒形
本種より縁シスチジア本体のサイズが僅かに大きい
本種と異なり縁シスチジアの小剛毛が鈍頭のではなくやや尖る
本種と異なり傘表皮の箒状細胞のサイズが僅かに大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius kabakada
オーストラリアに分布する
形態的に類似している(識別困難である)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘が新鮮時帯黄褐色~シエンナ色になる傾向がある
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Australia, Queensland, Girramay National Park

(新種)

Marasmius tropicus F.E. Guard, T. Lebel & Dearnaley
語源…熱帯の
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【よく似た種との区別】
Marasmius kabakada
オーストラリアに分布する
形態的に類似している(識別困難である)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘が新鮮時帯黄褐色~シエンナ色になる傾向がない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius crinis-equi(ウマノケタケ)
オーストラリアに分布する
形態的に類似している(識別困難である)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘が新鮮時帯黄褐色~シエンナ色になる傾向がない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Australia, Queensland, Balmoral Ridge

(新種)

Marasmius perumbilicatus F.E. Guard, T. Lebel, Dearnaley
語源…per+臍の(傘の形状から)
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【よく似た種との区別】
Marasmius crinis-equi(ウマノケタケ)
オーストラリアに分布する
形態的に類似している(この種に誤同定されたことがある)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり気生である
本種と異なり子実体が疎らに発生する
本種と異なり傘が帯褐橙色~褐色
本種より襞の枚数がしばしば少ない
本種と異なり柄が非常に短い
本種と異なり根状菌糸束を豊富に生じる
本種と異なり根状菌糸束が黒色
本種より担子胞子のサイズがずっと小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius guyanensis
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくガイアナ、タイ、インドネシア、マレーシア、カメルーン、ブラジルなどに分布する
本種と異なり傘が黄色~帯黄橙色
本種より襞の枚数が多い
本種より柄が短い
本種より担子胞子のサイズの範囲が広い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Australia, Victoria, Tanjil South

(新種)

Marasmius argillaceus F.E. Guard, Laidlaw, T. Lebel, Dearnaley
語源…粘土色の(傘の色から)
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【よく似た種との区別】
Marasmius crinis-equi(ウマノケタケ)
オーストラリアに分布する
形態的に類似している(この種に誤同定されたことがある)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり葉のリターに生じるのではなく気生の根状菌糸束から生じる
本種より子実体のサイズが小さい
本種と襞の数が異なる
本種より担子胞子のサイズが顕著に短い
本種と異なり担子胞子が棍棒形でない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius brevicollus
形態的に類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくタイ、マレーシアなどに分布する
本種より傘のサイズが小さい
本種より襞の枚数が少ない
本種より担子胞子が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius purpureobrunneolus
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくタイ、インドネシアなどに分布する
本種より傘のサイズが僅かに小さい
本種より担子胞子のサイズが小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius chrysocephalus
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくガイアナなどに分布する
本種と異なり傘が黄金色
本種と異なり根状菌糸束が黒色
本種より担子胞子が短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius sanguirotalis
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくブラジルなどに分布する
本種より傘のサイズが僅かに小さい
本種と異なり傘がより暗色の帯紫褐色
本種より柄が短い
本種より柄の幅が広い
本種より担子胞子の平均サイズが小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius rubrobrunneus
形態的に非常に類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくマダガスカルなどに分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Australia, New South Wales, Rocky Creek Dam Road, Big Scrub Loop walking track

(その他掲載種)

Marasmius crinis-equi F. Mueller ex Kalchbrenner
ウマノケタケ
※本種のエピタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Marasmius kabakada
オーストラリアに分布する
傘のサイズが非常に類似している
襞の枚数の範囲が重なる
担子胞子のサイズの範囲が重なる
傘表皮の箒状細胞のサイズの範囲が重なる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より傘のサイズが僅かに小さい
本種より襞の枚数が僅かに少ない
本種より柄が短い
本種と異なり柄が常に黒色で頂部が淡色なのではなく時に帯赤褐色で頂部が淡色
本種よりバシディオールの幅が広い
本種と異なりバシディオールが円筒形ではなく紡錘状
本種より縁シスチジア本体のサイズが僅かに小さい
本種と異なり縁シスチジアの小剛毛がやや尖るのではなく鈍頭
本種と異なり傘表皮の箒状細胞のサイズが僅かに小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius tropicus
オーストラリアに分布する
形態的に類似している(識別困難である)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘が新鮮時帯黄褐色~シエンナ色になる傾向がある
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius perumbilicatus
オーストラリアに分布する
形態的に類似している(本種に誤同定されたことがある)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり気生でない
本種と異なり子実体が疎らに発生するという特徴を欠く
本種と異なり傘が帯褐橙色~褐色でない
本種より襞の枚数がしばしば少ないという特徴を欠く
本種と異なり柄が非常に短いという特徴を欠く
本種と異なり根状菌糸束を豊富に生じるという特徴を欠く
本種と異なり根状菌糸束が黒色でない
本種より担子胞子のサイズがずっと小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius argillaceus
オーストラリアに分布する
形態的に類似している(本種に誤同定されたことがある)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり気生の根状菌糸束から生じるのではなく葉のリターに生じる
本種より子実体のサイズが大きい
本種と襞の数が異なる
本種より担子胞子のサイズが顕著に長い
本種と異なり担子胞子が棍棒形である
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される