(仮訳)退化的な子座を持つ新種のアリの病原菌、Ophiocordyceps pulvinata(コブガタアリタケ)
Kepler, R., Kaitsu, Y. & Tanaka, E., 2011. Ophiocordyceps pulvinata sp. nov., a pathogen of ants with a reduced stroma. Mycoscience. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s10267-010-0072-5 [Accessed November 27, 2013].
【R3-00047】2013/11/28投稿

※2013年に、本種に関する続報(本種に寄生する可能性のある別種のOphiocordyceps属新種)が発表されましたこちらをご覧ください。

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3行まとめ

日本の福島県から、ムネアカオオアリに発生する冬虫夏草、コブガタアリタケ(Ophiocordyceps pulvinata)を新種記載した。
本種は子座に柄を持たないこと、子嚢殻が表在性であることなどから、従来の文献にはTorrubiella sp.として掲載されてきた。
しかし、子嚢や子嚢胞子の形態、分子系統解析の結果は、本種がOphiocordyceps属に含まれることを支持した。
福島県

(新種)

Ophiocordyceps pulvinata Kepler, Kaitsu & Spatafora
語源…クッション形の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Ophiocordyceps unilateralis(タイワンアリタケ)
日本に分布する
子座が褐色を帯びる
子嚢殻が埋生する
子嚢が円筒形ではなく棍棒形
子嚢胞子が分節しない
nrSSU+nrLSU+EF1-α+RPB1+RPB2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりムネアカオオアリではなくトゲアリを宿主とする
本種と異なり柄を有し、柄表面に子嚢殻を形成する
本種より子嚢のサイズが小さい
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
nrSSU+nrLSU+EF1-α+RPB1+RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Ophiocordyceps formicivora
柄が時に退化的またはほとんど欠く
本種と異なり基本的には柄を有し、柄表面に子嚢殻を形成する
本種と異なり子嚢殻が埋生ではなく半埋生
Ophiocordyceps unilateralis var. clavata(クビオレアリタケ)
日本に分布する
子座ががっしりとした棍棒形になることがある
本種と異なり頑丈な柄を持つ
Ophiocordyceps kniphofiodes
アリを宿主とする
子嚢の形態が類似している
子嚢胞子の形態が類似している
本種と異なり頭部が明色
本種と異なり長い糸状の柄を持つ
Ophiocordyceps cucumispora
肉眼的形態が類似する
子嚢胞子が分節して個々の部分胞子がキュウリ形になる
Torrubiella formicarum
アリを宿主とする
子嚢殻が宿主全体を覆う
子嚢殻が単生するか複数がまとまる
子嚢胞子が分節する