2014年4月19日 (仮訳)イギリスにおいてアオキおよびその他の観賞植物に根腐病を起こす新種Phytophthora pachypleura Henricot, B., Pérez Sierra, A., & Jung, T., 2014. Phytophthora pachypleura sp. nov., a new species causing root rot of Aucuba japonica and other ornamentals in the United Kingdom. Plant Pathology. Available at: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ppa.12194/abstract [Accessed April 19, 2014]. 【R3-00621】2014/04/19投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ イギリスでアオキの枯死に関係するPhytophthora citricola種複合体の未記載種を、i>P. pachypleuraとして新種記載した。 本種は複数遺伝子に基づく分子系統解析では独自のクレードを形成し、形態的には顕著に厚壁の卵胞子を形成することで特徴づけられた。 本種はP. plurivoraおよびP. multivoraよりもアオキに対する病原性が強く、他の観賞植物に対する病原性も示唆された。 (編集注)Phytophthora taxon ‘emzansi’ に関する情報は、正式に記載されてから追加します。 United Kingdom, Cheshire (新種) Phytophthora pachypleura B. Henricot, A. Pérez Sierra & T. Jung 語源…厚い壁の(卵胞子の形態から) 【よく似た種との区別】 Phytophthora acerina 同じクレード2aのPhytophthora citricola種複合体に含まれる 遊走子嚢の形状が類似している 造精器が側着性 最適生長温度が25°C ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析でいずれも近縁 本種と異なりイギリスではなくイタリアに分布する 本種と異なりアオキではなくカエデ属の樹木を宿主とする 本種より遊走子嚢の長軸の平均が短い 本種より造卵器のサイズが大きい 本種より卵胞子のサイズが大きい 本種より卵胞子の壁が薄い(”wall index”の値が小さい) 本種より充満性の卵胞子の割合が小さい 本種より不稔の卵胞子の割合が大きい 本種よりV8ジュース培地、各温度でのコロニーの生長が速い ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析でいずれも明瞭に区別される(ITSに4-5塩基、β-チューブリンに4塩基、EF1-αに7-17塩基、cox1に13-15塩基、nadh1に14塩基の差異) Phytophthora capensis 同じクレード2aのPhytophthora citricola種複合体に含まれる 樹木に根腐病を起こす 遊走子嚢の形状が類似している 卵胞子の壁が厚い 造精器が側着性 ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析でいずれも近縁 本種と異なりイギリスではなく南アフリカに分布する 本種より遊走子嚢のサイズが小さい 本種より造卵器のサイズが小さい 本種より卵胞子のサイズが小さい 本種より卵胞子の壁が薄い(”wall index”の値が小さい) 本種と異なり最適生長温度が25°Cではなく22.5°C ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Phytophthora citricola(狭義) 同じクレード2aのPhytophthora citricola種複合体に含まれる 遊走子嚢の形状が類似している 造卵器のサイズが類似している 造精器が側着性 最適生長温度が25°C ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析でいずれも近縁 本種と異なりアオキではなくミカン属の樹木を宿主とする 本種より遊走子嚢のサイズが小さい 本種より卵胞子のサイズが大きい 本種より卵胞子の壁が薄い(”wall index”の値が小さい) 本種より充満性の卵胞子の割合が小さい 本種よりV8ジュース培地、各温度でのコロニーの生長が速い ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSに3-4塩基、β-チューブリンに4-5塩基、EF1-αに4-17塩基、cox1に9-18塩基、nadh1に14塩基の差異) Phytophthora multivora 同じクレード2aのPhytophthora citricola種複合体に含まれる イギリスに分布する 遊走子嚢の形状が類似している 卵胞子の壁が厚い 造精器が側着性 最適生長温度が25°C ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析でいずれも近縁 本種より遊走子嚢のサイズが小さい 本種より造卵器のサイズが小さい 本種より卵胞子のサイズが小さい 本種より卵胞子の壁が薄い(”wall index”の値が小さい) 本種より充満性の卵胞子の割合が小さい ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される 本種よりアオキに対する接種試験で形成される病変の長さが顕著に短い(有意差あり) 本種よりツツジ属、イチイ属、バラ属樹木に対する接種試験で形成される病変の長さが顕著に長い Phytophthora pini 同じクレード2aのPhytophthora citricola種複合体に含まれる 遊走子嚢の形状が類似している 造精器が側着性 最適生長温度が25°C ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析でいずれも近縁 本種と異なりアオキではなくマツ属樹木やヨーロッパブナなどを宿主とする 本種より遊走子嚢の長軸の平均が短い 本種より造卵器のサイズが大きい 本種より卵胞子のサイズが大きい 本種より卵胞子の壁が薄い(”wall index”の値が小さい) 本種より充満性の卵胞子の割合が小さい 本種よりV8ジュース培地、各温度でのコロニーの生長が速い 本種と異なり最適生長温度が25°Cではなく30°C ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSに5-7塩基、β-チューブリンに5-6塩基、EF1-αに5-19塩基、cox1に12-19塩基、nadh1に12-13塩基の差異) Phytophthora plurivora 同じクレード2aのPhytophthora citricola種複合体に含まれる イギリスに分布する 遊走子嚢の形状が類似している 卵胞子のサイズの範囲が重なる 造精器が側着性 最適生長温度が25°C ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析でいずれも近縁 本種と異なり多数の植物種が宿主として知られている 本種より遊走子嚢の長軸が短い 本種より造卵器のサイズが小さい 本種より卵胞子の壁が薄い(”wall index”の値が小さい) 本種よりV8ジュース培地、各温度でのコロニーの生長が速い ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSに5-7塩基、β-チューブリンに5塩基、EF1-αに6-14塩基、cox1に16-19塩基、nadh1に10塩基の差異) 本種よりアオキに対する接種試験で形成される病変の長さが顕著に短い(有意差あり) 本種よりツツジ属、ガマズミ属、イチイ属、バラ属樹木に対する接種試験で形成される病変の長さが顕著に長い Phytophthora cinnamomi アオキに対して病原性を持つ 本種よりアオキに対する接種試験で形成される病変の長さが顕著に短い(有意差あり) 本種よりイチイ属樹木に対する接種試験で形成される病変の長さが顕著に長い ITS、β-チューブリン、EF1-α、cox1、nadh1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される