(仮訳)タイ北部および北東部産の予想外に多数のSutorius属新種
Vadthanarat, S. et al., 2021. An Unexpectedly High Number of New Sutorius (Boletaceae) Species From Northern and Northeastern Thailand. Frontiers in Microbiology. Available at: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2021.643505/full [Accessed September 11, 2021] 【R3-08770】2021/9/11投稿

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3行まとめ

タイ北部および北東部で採集されたSutorius属菌の形態学的検討および分子系統解析を実施した。
S. mucosusなど7新種を記載し、Tylopilus maculatoidesSutorius属に移した。
その結果、記載されている11種の本属菌のうち8種が調査地域に産することが示された。
Thailand, Chiang Mai Province, Mae Taeng District, Pha Deng village

(新種)

Sutorius mucosus Vadthanarat, Raspé & Lumyong
語源…粘性の(ゼラチン化した傘表皮の性状から)
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【よく似た種との区別】
Sutorius pachypus
タイに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種より柄の平均幅が広い
本種より柄が淡色
本種と異なり柄表面により暗色小粒状の小鱗片を伴うという特徴を欠く
本種と異なり側シスチジアを有する
本種と異なり縁シスチジアを有する
本種と異なり傘表皮が粘質毛状被で末端細胞が紡錘形~小嚢形で頂部が丸い~先細りになるのではなく柵状被状で末端細胞が先端が丸いかやや尖る類円筒形である
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius australiensis
傘表皮が毛状被である
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイではなくオーストラリアに分布する
本種と異なり傘表面がやや粘性~蝋状でない
本種と異なり傘表皮が粘質毛状被で末端細胞が紡錘形~小嚢形で頂部が丸い~先細りになるのではなく毛状被で細長い~円筒形鈍頭の末端細胞を有する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius rubinus
タイに分布する
傘表皮が毛状被である
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり縁シスチジアを有する
本種と異なり傘表皮の末端細胞が紡錘形~小嚢形で頂部が丸い~先細りになるのではなく紡錘形~広紡錘形で頂部が鋭尖形~やや鋭頭または鋭頭
本種と異なり傘表皮が強くゼラチン化するという特徴を欠く
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thailand, Chiang Mai Province, Mae On District, Pok village

(新種)

Sutorius obscuripellis Vadthanarat, Raspé & Lumyong
語源…暗色の皮の(傘表皮の色から)
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【よく似た種との区別】
Sutorius ubonensis
タイに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり乾燥したフタバガキ林に生息する
本種より子実体のサイズが大きい
本種より孔口が暗色
本種と異なり側シスチジアを有する
本種と傘表皮の構造が異なる
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius subrufus
アジアに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイではなく中国などに分布する
本種より子実体のサイズが大きい
本種と異なり柄が傷つくとより赤色を帯びる
本種と異なり肉が傷つくとより赤色を帯びる
本種と異なり側シスチジアを有する
本種と異なり傘表皮が褐色~暗褐色ではなく無色である
本種と異なり傘表皮がKOH中で無色~帯褐黄色または淡褐色ではなく帯黄色である
本種と異なり傘表皮が毛状被で円筒形の菌糸と棍棒形または類棍棒形鈍頭の末端細胞からなる
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius pseudotylopilus
タイに分布する
傘表皮が絡み合った毛状被である
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が小型~中型ではなく中型
本種より傘の直径が大きい
本種と異なり傘表皮がKOH中で褐色なのではなくほとんどの場合無色~帯黄淡褐色
本種と異なり傘表皮が円筒形の菌糸からなり末端細胞が円筒形で先端が丸い~やや尖るのではなく円筒形の菌糸からなり末端細胞が円筒形で僅かに巻く
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thailand, Chiang Mai Province, Mae Taeng District, Behind Wat Pah Deng

(新種)

Sutorius pachypus Vadthanarat, Raspé & Lumyong
語源…厚い柄の(柄の太さから)
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【よく似た種との区別】
Sutorius rubinus
タイに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種より子実体が赤色を帯びる
本種より柄の平均幅が狭い
本種と異なり柄表面により暗色小粒状の小鱗片を伴う
本種と異なり側シスチジアを有するのではなく欠く
本種と異なり傘表皮が柵状被で類円筒形の先端が丸い~やや尖る末端細胞を有するのではなく毛状被で末端細胞が紡錘形~広紡錘形で先端が尖る
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius australiensis
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイではなくオーストラリアに分布する
本種と異なり孔口が幼時より暗色の紫褐色
本種より柄の幅が狭い
本種と異なり柄表面により暗色小粒状の小鱗片を伴う
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius mucosus
タイに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種より柄の平均幅が狭い
本種より柄が濃色
本種と異なり柄表面により暗色小粒状の小鱗片を伴う
本種と異なり側シスチジアを欠く
本種と異なり縁シスチジアを欠く
本種と異なり傘表皮が柵状被状で末端細胞が先端が丸いかやや尖る類円筒形であるのではなく粘質毛状被で末端細胞が紡錘形~小嚢形で頂部が丸い~先細りになる
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius subrufus
アジアに分布する
側シスチジアを頻繁に生じる
傘表皮の末端細胞が円筒形で先端が鈍頭~丸い
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイではなく中国などに分布する
本種より柄が長い
本種より柄の幅が狭い
本種と異なり柄が円筒形ではなく類円筒形
本種と異なり柄表面が傷ついても変色しないのではなく通常赤変する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thailand, Chiang Mai Province, Mae On District, Ban Huay Keaw communit forest

(新種)

Sutorius pseudotylopilus Vadthanarat, Raspé & Lumyong
語源…偽のTylopilus属の
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【よく似た種との区別】
Sutorius eximius(ウラグロニガイグチ)
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイではなく北米などに分布する
本種と異なり肉が傷ついても変色しない
本種と異なり側シスチジアを有する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius obscuripellis
タイに分布する
傘表皮が絡み合った毛状被である
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が中型ではなく小型~中型
本種より傘の直径が小さい
本種と異なり傘表皮がKOH中でほとんどの場合無色~帯黄淡褐色なのではなく褐色
本種と異なり傘表皮が円筒形の菌糸からなり末端細胞が円筒形で僅かに巻くのではなく円筒形の菌糸からなり末端細胞が円筒形で先端が丸い~やや尖る
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thailand, Chiang Mai Province, Mae Taeng District, Pha Deng village

(新種)

Sutorius rubinus Vadthanarat, Raspé & Lumyong
語源…赤い(子実体の色から)
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【よく似た種との区別】
Sutorius pachypus
タイに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種ほど子実体が赤色を帯びない
本種より柄の平均幅が広い
本種と異なり柄表面により暗色小粒状の小鱗片を伴うという特徴を欠く
本種と異なり側シスチジアを欠くのではなく有する
本種と異なり傘表皮が毛状被で末端細胞が紡錘形~広紡錘形で先端が尖るのではなく柵状被で類円筒形の先端が丸い~やや尖る末端細胞を有する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius australiensis
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイではなくオーストラリアに分布する
本種と異なり孔口が幼時暗紫褐色
本種と異なり傘表皮が絡み合った毛状被で末端細胞が紡錘形~広紡錘形で先端が尖るか先細りになるのではなく毛状被で細長い~円筒形鈍頭の末端細胞を有する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius mucosus
タイに分布する
傘表皮が毛状被である
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり縁シスチジアを欠く
本種と異なり傘表皮の末端細胞が紡錘形~広紡錘形で頂部が鋭尖形~やや鋭頭または鋭頭ではなく紡錘形~小嚢形で頂部が丸い~先細りになる
本種と異なり傘表皮が強くゼラチン化する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius maculatoides
タイに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が帯赤暗褐色~帯赤褐色ではなく暗ライラック色~帯紫色~帯赤褐色
本種と異なり孔口が初め帯灰橙色なのではなく初めライラック灰色
本種と異なり傘表皮の末端細胞が紡錘形~広紡錘形で先端が尖るか先細りになるのではなく紡錘形で先細りになる
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thailand, Ubon Ratchathani Province, Trakan Phuet Phon District, Ban Huay Fai community forest

(新種)

Sutorius ubonensis Vadthanarat, Raspé & Lumyong
語源…ウボン(ラーチャターニー)産の
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【よく似た種との区別】
Sutorius eximius(ウラグロニガイグチ)
形態的に類似している(当初この種と同定された)
子実体の肉眼的形態が特に幼時類似している
側シスチジアの形状が類似している
縁シスチジアの形状が類似している
柄シスチジアの形状が類似している
傘表皮細胞の形状が類似している
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイではなく北米などに分布する
本種と異なり傘表皮が僅かにゼラチン化した圧着毛菌糸被ではなく毛状被である
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius obscuripellis
タイに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり乾燥したフタバガキ林に生息するという特徴を欠く
本種より子実体のサイズが小さい
本種より孔口が明色
本種と異なり側シスチジアを欠く
本種と傘表皮の構造が異なる
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sutorius subrufus
アジアに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイではなく中国などに分布する
本種と異なりフタバガキ林ではなくマテバシイ属などブナ科樹木が優占する森林に生息する
本種より子実体が時に幼時淡色
本種より孔口が特に幼時淡色
本種と異なり柄が傷つくと赤変する
本種と異なり肉が傷つくと赤変する
本種と異なり傘表皮が僅かにゼラチン化した圧着毛菌糸被ではなく毛状被で末端細胞が棍棒形または類棍棒形鈍頭
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thailand, Chiang Mai Province, Mae Taeng District, Baan Mae Sae, Highway 1095 at km 55

(新種)

Sutorius vellingae Vadthanarat, Raspé & Lumyong
語源…採集者のElse C. Vellinga氏に献名
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(新組み合わせ)

Sutorius maculatoides (E. Horak) Vadthanarat, Raspé & Lumyong
旧名:Tylopilus maculatoides E. Horak
(基礎異名はBoletus maculatus Corner)
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【よく似た種との区別】
Sutorius rubinus
タイに分布する
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が暗ライラック色~帯紫色~帯赤褐色ではなく帯赤暗褐色~帯赤褐色
本種と異なり孔口が初めライラック灰色なのではなく初め帯灰橙色
本種と異なり傘表皮の末端細胞が紡錘形で先細りになるのではなく紡錘形~広紡錘形で先端が尖るか先細りになる
atp6+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される