(仮訳)コウジカビ属Versicolores節:9新種および複数遺伝子に基づく系統解析
Jurjevic, Z., Peterson, SW. & Horn, BW., 2012. Aspergillus section Versicolores: nine new species and multilocus DNA sequence based phylogeny. IMA Fungus … Available at: http://europepmc.org/articles/PMC3399103 [Accessed March 17, 2014].
【R3-00513】2014/03/17投稿

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3行まとめ

コウジカビ属Versicolores節の菌株を用いて、複数遺伝子に基づく分子系統解析を行った。
その結果に基づき、Aspergillus austroafricanusなど9種の新種を記載した。
また、A. amoenusなど5種を独立した種として認めた。
South Africa: Capetown

(新種)

Aspergillus austroafricanus Jurjevic, S. W. Peterson & B. W. Horn
語源…南アフリカの
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【よく似た種との区別】
Aspergillus amoenus
分生子が平滑
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA37°Cで生育できる
本種よりCYA25°Cでの生長が速い
本種よりCY20-25°Cでの生長が遅い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がCではなくAおよびG
Aspergillus tabacius
分生子が平滑
CYA37°Cで生育しない
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA培地で帯赤色の水溶性色素を産生しない
本種よりCYA25°Cでの生長が速い
本種よりMEA25°Cでの生長が遅い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がCではなくA
USA, California

(新種)

Aspergillus creber Jurjevic, S. W. Peterson & B. W. Horn
語源…多数の
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【よく似た種との区別】
Aspergillus protuberus
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地で生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がI・K・L・NではなくA
Aspergillus puulaauensis
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりM40Y培地で安定して球形のヒューレ細胞を形成するという特徴を持つ
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がI・K・L・NではなくJ
Aspergillus jensenii
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地で生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がI・K・L・NではなくDおよびM
USA, New Jersey

(新種)

Aspergillus cvjetkovicii Jurjevic, S. W. Peterson & B. W. Horn
語源…ザグレブ大学のBogdan Cvjetkovićに献名
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【よく似た種との区別】
Aspergillus venenatus
分生子の装飾がトゲ状
CYA37°Cで生育しない
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
ITS領域の遺伝子型がD
本種と異なりCYA培地で帯赤色の水溶性色素を産生しない
本種よりMEA25°C、CY20-25°Cでの生長が遅い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Aspergillus sydowii
分生子の装飾がトゲ状
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA37°Cで生育する
本種よりMEA25°C、CY20-25°Cでの生長が速い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がDではなくEおよびF
Aspergillus tennesseensis
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
ITS領域の遺伝子型がD
本種と異なり分生子が微細な粗面ではなくトゲ状
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
USA, California

(新種)

Aspergillus fructus Jurjevic, S. W. Peterson & B. W. Horn
語源…果実の
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【よく似た種との区別】
Aspergillus versicolor
形態的に非常に類似している
分生子が粗面
CYA37℃で生育する
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
ITS領域の遺伝子型がA
本種より分生子柄が長く、150-400 μmではなく200-750 μmに達する
本種よりCYA、CY20、M60Yの各培地での生長が速い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
USA, Montana

(新種)

Aspergillus jensenii Jurjevic, S. W. Peterson & B. W. Horn
語源…本種をAspergillus globosusとして初めに記載したC. N. Jensenに献名
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【よく似た種との区別】
Aspergillus protuberus
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地で生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がDおよびMではなくA
Aspergillus puulaauensis
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
M40Y培地でヒューレ細胞を形成することがある
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA培地でのコロニーが褐色でない
本種と異なりCYA培地でのリバースが黄褐色を帯びたオリーブ色~暗い琥珀色でない
本種と異なりCYA培地での分生子が”celandine green”に近い色をしていない
本種と異なりM40Y培地で安定して球形のヒューレ細胞を形成するという特徴を持つ
本種よりM60Y25°Cでの生長が遅い
本種と異なりITS領域の遺伝子型がDおよびMではなくJ
Aspergillus creber
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地で生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がDおよびMではなくI・K・L・N
USA, Hawaii

(新種)

Aspergillus puulaauensis Jurjevic, S. W. Peterson & B. W. Horn
語源…プウラアウ産の(ハワイのハイウェイの名称)
※ハワイ島に”Pu‘ulā‘au”という地名があるが、Wikipediaなどには”Pu‘ulā‘au highway”という高速道路は確認することができなかった(2014年3月17日調べ)
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【よく似た種との区別】
Aspergillus protuberus
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA培地で深紅色に近い赤色の滲出物を産生する
本種と異なりCYA培地で黄色の水溶性色素を産生する
本種と異なりMEA培地でのコロニーが綿毛状
本種と異なりM40Y培地で安定して球形のヒューレ細胞を形成するという特徴を持たない
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がJではなくA
Aspergillus creber
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりM40Y培地で安定して球形のヒューレ細胞を形成するという特徴を持たない
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がJではなくI・K・L・N
Aspergillus jensenii
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
M40Y培地でヒューレ細胞を形成することがある
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA培地でのコロニーが褐色
本種と異なりCYA培地でのリバースが黄褐色を帯びたオリーブ色~暗い琥珀色
本種と異なりCYA培地での分生子が”celandine green”に近い色をしている
本種と異なりM40Y培地で安定して球形のヒューレ細胞を形成するという特徴を持たない
本種よりM60Y25°Cでの生長が速い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がJではなくDおよびM
India, Karnataka

(新種)

Aspergillus subversicolor Jurjevic, S. W. Peterson & B. W. Horn
語源…Aspergillus versicolorの近く、あるいは基部の(編集注:「基部 (foot)」が何を指すかは明記されていないが、分子系統で基部(ベーサル)に位置することを指すか?)
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【よく似た種との区別】
Aspergillus versicolor
CYA37°Cで生育する
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種より多くのスタンダード培地で生長が速い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がIではなくB
USA, Tennessee

(新種)

Aspergillus tennesseensis Jurjevic, S. W. Peterson & B. W. Horn
語源…テネシー産の
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【よく似た種との区別】
Aspergillus cvjetkovicii
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
ITS領域の遺伝子型がD
本種と異なり分生子がトゲ状ではなく微細な粗面
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
USA, Tennessee

(新種)

Aspergillus venenatus Jurjevic, S. W. Peterson & B. W. Horn
語源…毒の(マイコトキシンを産生することから)
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【よく似た種との区別】
Aspergillus cvjetkovicii
分生子の装飾がトゲ状
CYA37°Cで生育しない
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
ITS領域の遺伝子型がD
本種と異なりCYA培地で帯赤色の水溶性色素を産生する
本種よりMEA25°C、CY20-25°Cでの生長が速い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Aspergillus sydowii
分生子の装飾がトゲ状
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA37°Cで生育する
本種より多くのスタンダード培地で生長が速い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がDではなくEおよびF

(その他掲載種)

Aspergillus amoenus M. Roberg
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【よく似た種との区別】
Aspergillus austroafricanus
分生子が平滑
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA37°Cで生育できない
本種よりCYA25°Cでの生長が遅い
本種よりCY20-25°Cでの生長が速い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がAおよびGではなくC
Aspergillus tabacinus
分生子が平滑
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
ITS領域の遺伝子型がA
本種と異なりCYA37°Cで生育する
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がGでない

(その他掲載種)

Aspergillus protuberus Muntañola-Cvetković
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【よく似た種との区別】
Aspergillus puulaauensis
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA培地で深紅色に近い赤色の滲出物を産生しない
本種と異なりCYA培地で黄色の水溶性色素を産生しない
本種と異なりMEA培地でのコロニーが綿毛状でない
本種と異なりM40Y培地で安定して球形のヒューレ細胞を形成するという特徴を持つ
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がAでなくJ
Aspergillus creber
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地で生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がAでなくI・K・L・N
Aspergillus jensenii
分生子が粗面
CYA37°Cで生育しない
多くのスタンダード培地で生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がAでなくDおよびM

(その他掲載種)

Aspergillus sydowii (Bain. & Sart.) Thom & Church
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【よく似た種との区別】
Aspergillus venenatus
分生子の装飾がトゲ状
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA37°Cで生育しない
本種より多くのスタンダード培地で生長が遅い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がEおよびFではなくD
Aspergillus cvjetkovicii
分生子の装飾がトゲ状
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA37°Cで生育しない
本種よりMEA25°C、CY20-25°Cでの生長が遅い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がEおよびFではなくD

(その他掲載種)

Aspergillus tabacinus Nakaz et al.
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【よく似た種との区別】
Aspergillus austroafricanus
分生子が平滑
CYA37°Cで生育しない
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA培地で帯赤色の水溶性色素を産生する
本種よりCYA25°Cでの生長が遅い
本種よりMEA25°Cでの生長が速い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がAおよびHではなくC
Aspergillus amoenus
分生子が平滑
多くのスタンダード培地での生長速度の範囲が重なる
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりCYA37°Cで生育する
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がAおよびHではなくAおよびG

(その他掲載種)

Aspergillus versicolor (Vuill.) Tirab.
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【よく似た種との区別】
Aspergillus subversicolor
CYA37°Cで生育する
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
本種より多くのスタンダード培地で生長が遅い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
本種と異なりITS領域の遺伝子型がAではなくB
Aspergillus fructus
形態的に非常に類似している
分生子が粗面
CYA37℃で生育する
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で近縁
ITS領域の遺伝子型がA
本種より分生子柄が短く、200-750 μmではなく150-400 μmにとどまる
本種よりCYA、CY20、M60Yの各培地での生長が遅い
CF+Mcm7+RPB2+Tsr1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される