(仮訳)クイーンズランド植物病原菌ハーバリウム (BRIP) のAlcornコレクションにおいて同定されたBipolaris属8新種
Tan, Y-P., Crous, PW. & Shivas, RG., 2016. Eight novel Bipolaris species identified from John L. Alcorn’s collections at the Queensland Plant Pathology Herbarium (BRIP). Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-016-1240-6 [Accessed September 13, 2017].
【R3-04389】2017/09/13投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

クイーンズランド植物病原菌ハーバリウム (BRIP) 収蔵のBipolaris属菌の標本を再検討し、8新種を記載した。
これらの新種はいずれもオーストラリアにおいてイネ科植物の葉の病斑から分離された。
ITS、GAPDH、EF1-α、nrLSUの複数遺伝子を解析し、種の境界の決定にはGCPSRの考え方を適用した。
Australia, Queensland, Leyburn

(新種)

Bipolaris austrostipae Y.P. Tan & R.G. Shivas
語源…Austrostipa属の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Bipolaris cynodontis
同じイネ科植物を宿主とする
分生子のサイズの範囲が重なる
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくハンガリーなどに分布する
本種と異なりCynodon dactylonなどが宿主として知られている
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(GAPDHに432/443塩基一致、0塩基のギャップ、EF1-αに3塩基の差異)
Bipolaris axonopicola
オーストラリアに分布する
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりAustrostipa属ではなくAxonopus属植物を宿主とする
本種と異なり分生子が僅かに屈曲するのではなく直線状
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSが450/457塩基一致、2/457塩基のギャップ[98%]、GAPDHが431/441塩基一致、0塩基のギャップ[98%]、EF1-αが866/875塩基一致、0塩基のギャップ[99%])
Australia, Queensland, Peregian Beach

(新種)

Bipolaris axonopicola Y.P. Tan & R.G. Shivas
語源…Axonopus属の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Bipolaris cynodontis
同じイネ科植物を宿主とする
分生子のサイズの範囲が重なる
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくハンガリーなどに分布する
本種と異なりCynodon dactylonなどが宿主として知られている
本種と異なり分生子が直線状ではなく屈曲する
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSが451/457塩基一致、2/457塩基のギャップ[99%]、GAPDHが427/441塩基一致、0塩基のギャップ[97%]、EF1-αが865/873塩基一致、0塩基のギャップ[99%])
Bipolaris austrostipae
オーストラリアに分布する
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりAxonopus属ではなくAustrostipa属植物を宿主とする
本種と異なり分生子が直線状ではなく僅かに屈曲する
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSが450/457塩基一致、2/457塩基のギャップ[98%]、GAPDHが431/441塩基一致、0塩基のギャップ[98%]、EF1-αが866/875塩基一致、0塩基のギャップ[99%])
Australia, Queensland, Bamaga

(新種)

Bipolaris bamagaensis Y.P. Tan & R.G. Shivas
語源…バマガ産の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Bipolaris chloridis
オーストラリアに分布する
同じイネ科植物を宿主とする
分生子のサイズの範囲が重なる
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりChloris gayanaなどが宿主として知られている
本種より分生子柄がずっと長い
本種と異なり分生子が典型的には直線状~僅かに屈曲するのではなくほとんどの場合屈曲する
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(GAPDHに2塩基、EF1-αに2塩基の差異)
Australia, Queensland, Mount Molloy

(新種)

Bipolaris shoemakeri Y.P. Tan & R.G. Shivas
語源…菌学者および植物病理学者のRobert Alan Shoemaker教授に献名
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Bipolaris cynodontis
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくハンガリーなどに分布する
本種と異なりCynodon dactylonなどが宿主として知られている
本種より分生子柄のサイズが小さい
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Bipolaris oryzae
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくタイなどに分布する
本種と異なりイネなどが宿主として知られている
本種より分生子柄のサイズが小さい
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Bipolaris setariae
本種より分生子柄のサイズが小さい
Bipolaris secalis
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくアルゼンチンなどに分布する
本種と異なりSecale cerealeなどが宿主として知られている
本種より分生子柄のサイズが小さい
本種と異なり分生子柄が直線状~屈曲するのではなく頂部が膝折状
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSに2塩基、GAPDHに2塩基、EF1-αに2塩基の差異)
Bipolaris subramanianii
オーストラリアに分布する
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりIschaemum rugosum var. segetumではなくSetaria sphacelataを宿主とする
本種より分生子柄が短い
本種より分生子が僅かに長い
本種より分生子の幅が僅かに狭い
本種と異なり分生子が僅かに屈曲するのではなく典型的には直線状
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSが452/461塩基一致、3/461塩基のギャップ[98%]、GAPDHに4塩基の差異、EF1-αに6塩基の差異)
Australia, Queensland, Peregian Beach

(新種)

Bipolaris simmondsii Y.P. Tan & R.G. Shivas
語源…植物病理学者のJohn Howard (Jack) Simmonds博士に献名
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Bipolaris heveae
同じシバ属植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなく日本、ナイジェリアなどに分布する
本種と異なりZoysia macranthaではなくパラゴムノキ属植物、Z. japonicaなどを宿主とする
本種と異なり分生子に不明瞭なへそを有するのではなく時に僅かに突出するへそを有する
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSに3塩基、GAPDHが435/443塩基一致で0塩基のギャップ、EF1-αに7塩基の差異)
Australia, Queensland, Atherton

(新種)

Bipolaris sivanesaniana Y.P. Tan & R.G. Shivas
語源…菌学者および植物病理学者のAsaipillai Sivanesan博士に献名
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Bipolaris setariae
同じスズメノヒエツナギ属およびエノコログサ属植物を宿主とする
本種より分生子柄が長い
Bipolaris oryzae
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくタイなどに分布する
本種と異なりイネなどが宿主として知られている
本種より分生子が長い
本種と異なり分生子の隔壁数が8ではなく14
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSに1塩基、EF1-αに1塩基の差異)
Bipolaris panici-milacei
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなく日本などに分布する
本種と異なりキビなどが宿主として知られている
本種より分生子柄が短い
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSに1塩基、GAPDHに1塩基、EF1-αに1塩基の差異)
Bipolaris woodii
オーストラリアに分布する
同じスズメノヒエツナギ属植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりPaspalidium distansではなくP. caespitosumを宿主とする
本種より分生子柄が短い
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Australia, Queensland, Maclean Bridge

(新種)

Bipolaris subramanianii Y.P. Tan & R.G. Shivas
語源…菌学者および植物病理学者のC.V. Subramanian教授に献名
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Bipolaris cynodontis
同じSetaria sphaecelataを宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくハンガリーなどに分布する
本種と異なりCynodon dactylonなどが宿主として知られている
本種より分生子柄が短い
本種より分生子が短い
本種と異なり分生子が典型的には直線状~類円筒形なのではなく僅かに屈曲し中ほどが最も幅広く、丸まった末端にかけて先細りになる
Bipolaris zeicola
同じSetaria sphaecelataを宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなく米国などに分布する
本種と異なりトウモロコシなどが宿主として知られている
本種より分生子柄が短い
本種と異なり分生子が典型的には直線状~類円筒形なのではなく僅かに屈曲し中ほどが最も幅広く、丸まった末端にかけて先細りになる
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Bipolaris maydis
同じSetaria sphaecelataを宿主とする
本種と異なりオーストラリアではなく日本などに分布する
本種と異なりトウモロコシなどが宿主として知られている
本種と異なり分生子が典型的には直線状~類円筒形なのではなく顕著に屈曲する
Bipolaris shoemakeri
オーストラリアに分布する
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりSetaria sphacelataではなくIschaemum rugosum var. segetumを宿主とする
本種より分生子柄が長い
本種より分生子が僅かに短い
本種より分生子が僅かに幅広い
本種と異なり分生子が典型的には直線状なのではなく僅かに屈曲する
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSが452/461塩基一致、3/461塩基のギャップ[98%]、GAPDHに4塩基の差異、EF1-αに6塩基の差異)
Bipolaris secalis
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなくアルゼンチンなどに分布する
本種と異なりSecale cerealeなどが宿主として知られている
本種より分生子柄が短い
本種より分生子が一様に濃色
本種より分生子の隔壁数が多い
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSが453/460塩基一致、2/460塩基のギャップ[98%]、GAPDHに4塩基の差異、EF1-αに6塩基の差異)
Australia, Queensland, Goondiwindi

(新種)

Bipolaris woodii Y.P. Tan & R.G. Shivas
語源…Peter Wood博士に献名
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Bipolaris setariae
同じスズメノヒエツナギ属植物を宿主とする
本種と異なりPaspalidium caespitosumではなくP. flavidumなどを宿主とする
Bipolaris sivanesaniana
オーストラリアに分布する
同じスズメノヒエツナギ属植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりPaspalidium caespitosumではなくP. distansを宿主とする
本種より分生子柄が長い
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Bipolaris microstegii
同じイネ科植物を宿主とする
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなく米国などに分布する
本種と異なりスズメノヒエツナギ属植物ではなくアシボソなどを宿主とする
本種より分生子柄が長い
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSが452/461塩基一致、4/461塩基のギャップ[98%]、GAPDHに3塩基の差異、EF1-αに3塩基の差異)
Bipolaris victoriae
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなく米国などに分布する
本種と異なりスズメノヒエツナギ属植物ではなくカラスムギなどを宿主とする
本種より分生子のサイズが僅かに大きい
本種より分生子が明色
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSが454/461塩基一致、4/461塩基のギャップ[98%]、GAPDHに4塩基の差異、EF1-αに2塩基の差異)
Bipolaris zeicola
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストラリアではなく米国などに分布する
本種と異なりトウモロコシなどが宿主として知られている
本種と異なり分生子に明瞭なへそを欠く
ITS+GAPDH+EF1-α+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(ITSが452/462塩基一致、5/462塩基のギャップ[98%]、GAPDHに4塩基の差異、EF1-αに1塩基の差異)