(仮訳)Fusarium oxysporumのエピタイプ指定 – 分類学的混沌の解消
Lombard, L. et al., 2018. Epitypification of Fusarium oxysporum – clearing the taxonomic chaos. Persoonia. Available at: https://www.ingentaconnect.com/content/nhn/pimj/pre-prints/content-nbc-persoonia-0481 [Accessed April 26, 2019] 【R3-06163】2019/4/26投稿

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3行まとめ

経済的に重要かつ普通種であるにもかかわらず複合種であることが知られ、タイプ由来菌株が存在しないなど分類学的混乱が続いてきたFusarium oxysporumのエピタイプ標本を指定した。
ドイツ、ベルリンの畑地で採集されたジャガイモ塊茎から分離された菌株をエピタイプ標本とした。
複数遺伝子に基づく分子系統解析で21種の系統学的種が見出され、そのうち15種を新種として記載した。
Netherlands, Oostenbrink

(新種)

Fusarium callistephi L. Lombard & Crous
語源…エゾギク属の
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【よく似た種との区別】
Fusarium cugenangense
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードIIIに含まれる)
本種と異なりオランダおよび南アフリカではなくドイツ、中国、ニュージーランド、オーストラリアなどに分布する
本種と異なりCallistephus chinensisおよびAgathosma betulinaではなくクロッカス属、ワタ属、ソラマメ属植物やヒトから分離される
本種と異なり大分生子の隔壁数が3-4(-5)ではなく3-6
本種と異なり小分生子の隔壁数が最大3
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium elaeidis
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードIIIに含まれる)
本種と異なりオランダおよび南アフリカではなくコンゴ民主共和国に分布する
本種と異なりCallistephus chinensisおよびAgathosma betulinaではなくアブラヤシ属植物から分離される
本種と異なりポリフィアライドを気生菌糸から容易に形成する
本種と異なり大分生子の隔壁数が3-4(-5)ではなく(1-)3-5
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
South Africa, KwaZulu-Natal Province

(新種)

Fusarium carminascens L. Lombard, Crous & Lampr.
語源…洋紅色になる(PDA培地における気生菌糸からの滲出物の色から)
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【よく似た種との区別】
Fusarium fabacearum
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
南アフリカに分布する
同じトウモロコシを宿主とする
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードIIIに含まれる)
本種と異なりダイズが宿主として知られている
本種と異なりポリフィアライドを気生菌糸から形成するという特徴を欠く
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium glycines
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
南アフリカに分布する
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードIIIに含まれる)
本種と異なりアルゼンチン、イタリアにおける分布が知られている
本種と異なりトウモロコシではなくアマ属、メボウキ属、ダイズなどを宿主とする
本種と異なりポリフィアライドを気生菌糸から形成するという特徴を欠く
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium libertatis
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
南アフリカに分布する
ポリフィアライドを形成する
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードIIIに含まれる)
本種と異なりトウモロコシではなくAspalathus属植物および岩石表面から分離される
本種と異なり大分生子の隔壁数が最大5ではなく最大3
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードIIIではなくIIに含まれる)
Germany, Schluchtern

(新種)

Fusarium contaminatum L. Lombard & Crous
語源…汚染の(汚染された食料から分離されたことから)
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【よく似た種との区別】
Fusarium pharetrum
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
SNA培地で厚壁胞子を形成しない
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードVIIに含まれる)
本種と異なりドイツ、オランダではなく南アフリカに分布する
本種と異なり汚染された乳製品やジュースではなくAloidendron dichotomumを宿主とする
本種より大分生子のサイズがずっと大きい
本種と異なり大分生子の隔壁数が2-3ではなく3(-4)
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium veterinarium
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
オランダに分布する
乳製品から分離される
SNA培地で厚壁胞子を形成しない
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードVIIに含まれる)
本種と異なり米国における分布が知られている
本種と異なりドイツにおける分布が知られていない
本種と異なりマウスやペンギン、イヌ、動物の糞などから分離される
本種より大分生子が僅かに小さい
本種と異なり大分生子の隔壁数が2-3ではなく1-(2-)3
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Netherlands

(新種)

Fusarium curvatum L. Lombard & Crous
語源…屈曲する(スポロドキアの分生子の形状から)
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【よく似た種との区別】
Fusarium nirenbergiae
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
オランダに分布する
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードVIIIに含まれる)
本種と異なりドイツにおける分布が知られていない
本種と異なり米国、ブラジル、南アフリカにおける分布が知られている
本種と異なりMatthiola incana、トックリラン属、セイヨウキヅタではなくライムギ、バショウ属などを宿主とする
本種と異なりポリフィアライドを気生菌糸から形成するという特徴を欠く
本種と大分生子の形態が異なる
本種と異なりSNA培地で厚壁胞子を形成する
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium libertatis
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
ポリフィアライドを形成する
本種と異なりドイツおよびオランダではなく南アフリカに分布する
本種と異なりMatthiola incana、トックリラン属、セイヨウキヅタではなくAspalathus属植物および岩石表面から分離される
本種と異なり大分生子の隔壁数が最大5ではなく最大3
本種と異なり大分生子の隔壁数が最大5ではなく最大3
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードVIIIではなくIIに含まれる)
Zaire

(新種)

Fusarium elaeidis L. Lombard & Crous
語源…アブラヤシ属の
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【よく似た種との区別】
Fusarium callistephi
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードIIIに含まれる)
本種と異なりコンゴ民主共和国ではなくオランダおよび南アフリカに分布する
本種と異なりアブラヤシ属植物ではなくCallistephus chinensisおよびAgathosma betulinaから分離される
本種と異なりポリフィアライドを気生菌糸から容易に形成するという特徴を欠く
本種と異なり大分生子の隔壁数が(1-)3-5ではなく3-4(-5)
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium libertatis
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
ポリフィアライドを形成する
本種と異なりコンゴ民主共和国ではなく南アフリカに分布する
本種と異なりアブラヤシ属植物ではなくAspalathus属植物および岩石表面から分離される
本種と異なり大分生子の隔壁数が最大5ではなく最大3
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードIIIではなくIIに含まれる)
South Africa, North West Province

(新種)

Fusarium fabacearum L. Lombard, Crous & Lampr.
語源…マメ科の
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【よく似た種との区別】
Fusarium carminascens
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
南アフリカに分布する
同じトウモロコシを宿主とする
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードIIIに含まれる)
本種と異なりダイズが宿主として知られていない
本種と異なりポリフィアライドを気生菌糸から形成する
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
South Africa, North West Province

(新種)

Fusarium glycines L. Lombard, Crous & Lampr.
語源…ダイズ属の
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【よく似た種との区別】
Fusarium carminascens
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
南アフリカに分布する
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードIIIに含まれる)
本種と異なりアルゼンチン、イタリアにおける分布が知られていない
本種と異なりアマ属、メボウキ属、ダイズなどではなくトウモロコシを宿主とする
本種と異なりポリフィアライドを気生菌糸から形成する
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Ivory Coast, Bouaké

(新種)

Fusarium gossypinum L. Lombard & Crous
語源…ワタ属の
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South Africa, Northern Cape Province, Prieska

(新種)

Fusarium hoodiae L. Lombard, Crous & Lampr.
語源…Hoodia属の
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Morocco

(新種)

Fusarium languescens L. Lombard & Crous
語源…萎凋の(本種に関連する症状から)
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South Africa, Western Cape Province, Robben Island, Van Riebeeck’s Quarry

(新種)

Fusarium libertatis L. Lombard & Crous
語源…自由の(奴隷労働が行われていたロベン島の岩石表面から分離されたことから)
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【よく似た種との区別】
Fusarium carminascens
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
南アフリカに分布する
ポリフィアライドを形成する
本種と異なりAspalathus属植物および岩石表面ではなくトウモロコシから分離される
本種と異なり大分生子の隔壁数が最大3ではなく最大5
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードIIではなくIIIに含まれる)
Fusarium curvatum
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
ポリフィアライドを形成する
本種と異なり南アフリカではなくドイツおよびオランダに分布する
本種と異なりAspalathus属植物および岩石表面ではなくMatthiola incana、トックリラン属、セイヨウキヅタから分離される
本種と異なり大分生子の隔壁数が最大3ではなく最大5
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードIIではなくVIIIに含まれる)
Fusarium elaeidis
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
ポリフィアライドを形成する
本種と異なり南アフリカではなくコンゴ民主共和国に分布する
本種と異なりAspalathus属植物および岩石表面ではなくアブラヤシ属植物から分離される
本種と異なり大分生子の隔壁数が最大3ではなく最大5
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードIIではなくIIIに含まれる)
Netherlands, Aalsmeer

(新種)

Fusarium nirenbergiae L. Lombard & Crous
語源…分類学者のH.I. Nirenberg教授に献名
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【よく似た種との区別】
Fusarium curvatum
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
オランダに分布する
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードVIIIに含まれる)
本種と異なりドイツにおける分布が知られている
本種と異なり米国、ブラジル、南アフリカにおける分布が知られていない
本種と異なりライムギ、バショウ属などではなくMatthiola incana、トックリラン属、セイヨウキヅタを宿主とする
本種と異なりポリフィアライドを気生菌糸から形成する
本種と大分生子の形態が異なる
本種と異なりSNA培地で厚壁胞子を形成しない
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Germany, Berlin

(その他掲載種)

Fusarium oxysporum Schltdl.
※本種のエピタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Fusarium triseptatum
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードVに含まれる)
本種と異なりカーネーション葉上にスポロドキアを豊富に形成するという特徴を欠く
本種より1-2隔壁の大分生子のサイズが小さい
本種より3-5隔壁の大分生子のサイズが大きい
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
South Africa

(新種)

Fusarium pharetrum L. Lombard & Crous
語源…矢筒の(南アフリカの先住民、サン族が本種の宿主、Aloidendronの枝から矢筒を作ったことから)
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【よく似た種との区別】
Fusarium contaminatum
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
SNA培地で厚壁胞子を形成しない
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードVIIに含まれる)
本種と異なり南アフリカではなくドイツ、オランダに分布する
本種と異なりAloidendron dichotomumではなく汚染された乳製品やジュースを宿主とする
本種より大分生子のサイズがずっと小さい
本種と異なり大分生子の隔壁数が3(-4)ではなく2-3
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
USA

(新種)

Fusarium triseptatum L. Lombard & Crous
語源…3隔壁の(大分生子の隔壁数から)
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【よく似た種との区別】
Fusarium oxysporum
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードVに含まれる)
本種と異なりカーネーション葉上にスポロドキアを豊富に形成する
本種より1-2隔壁の大分生子のサイズが大きい
本種より3-5隔壁の大分生子のサイズが小さい
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Netherlands

(新種)

Fusarium veterinarium L. Lombard & Crous
語源…獣医の
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【よく似た種との区別】
Fusarium contaminatum
同じFusarium oxysporum複合種に含まれる
オランダに分布する
乳製品から分離される
SNA培地で厚壁胞子を形成しない
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードVIIに含まれる)
本種と異なり米国における分布が知られていない
本種と異なりドイツにおける分布が知られている
本種と異なりマウスやペンギン、イヌ、動物の糞などから分離された例がない
本種より大分生子が僅かに大きい
本種と異なり大分生子の隔壁数が1-(2-)3ではなく2-3
cmdA+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される