(仮訳)極東ロシアの菌類 (2):ホウライタケ属およびCryptomarasmius属の新種および新産種
Kiyashko, AA. et al., 2014. Fungi of the Russian Far East 2. New species and new records of Marasmius and Cryptomarasmius (Basidiomycota). Phytotaxa. Available at: http://biotaxa.org/Phytotaxa/article/view/phytotaxa.186.1.1 [Accessed July 24, 2015].
【R3-02038】2015/07/24投稿

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3行まとめ

極東ロシアの菌類相調査において採集されたホウライタケ属およびCryptomarasmius属菌を検討した。
新種Marasmius macrocystidiosusおよびM. insolitusおよび新変種M. cohaerens var. mandshuricusを記載した。
Marasmius cf. ochroleucusM. occultatiformis、およびCryptomarasmius aucubaeを新産種として報告した。
Russian Federation, Primorsky Territory, Sikhote-Alinsky State Nature Reserve, Golubichnaya bay

(新種)

Marasmius macrocystidiosus Kiyashko & E.F. Malysheva
語源…大型のシスチジアの
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【よく似た種との区別】
Marasmius nigrodiscus
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりロシアではなく北米に分布する
本種より柄が長い
本種と異なり柄の基部にかけて幅広くなるという特徴を欠く
本種と異なり柄の全体が粉状ではなく頂部のみが粉状で下部に絹状条線を有する
本種より担子胞子が短い
本種より担子胞子の幅が広い
本種より担子胞子のQ値が小さい
本種と異なり担子胞子がいくぶん楕円形、腎臓形、豆形ではなく倒卵形~楕円形
本種と異なり柄表面の菌糸に結晶を伴わない
本種と異なり柄シスチジアに結晶を伴わない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(12%の差異)
Marasmius lilacinitinctus
本種より子実体が暗色で顕著に紫色を帯びる
本種より担子胞子が短い
本種と異なり担子胞子がいくぶん楕円形、腎臓形、豆形ではなく卵形、涙形、楕円形
本種より縁シスチジアの幅が広い
本種と異なり縁シスチジアが広紡錘状、棍棒形。類円筒形ではなく嚢形~広棍棒形
Marasmius brunneospermus(アミガサホウライタケ)
東アジアに分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり胞子紋が独特の褐色
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種より側シスチジアが短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(9.5%の差異)
Marasmius notandus
本種と異なり極東ロシアではなくボルネオ島に分布する
本種より傘が暗色
本種と異なり側シスチジアに短いかまたは長い先端部を有する
本種と異なり縁シスチジアに短いかまたは長い先端部を有する
本種より柄シスチジアのサイズが大きい
本種と異なり柄シスチジアの先端が糸状
本種と異なりクランプを欠く
Marasmius cystidiosus
子実体がモリノカレバタケ型
本種と異なり柄表面が粉状ではなく無毛で光沢を有する
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子が腎臓形でない
本種より側シスチジアが短い
本種と異なり柄シスチジアを欠く
Marasmius goossensiae
子実体がモリノカレバタケ型
本種と異なり柄表面が粉状ではなく無毛で光沢を有する
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子が腎臓形でない
本種より側シスチジアが短い
本種と異なり柄シスチジアを欠く
Marasmius fusicystidiosus
子実体がモリノカレバタケ型
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりロシアではなく韓国などに分布する
本種と異なり柄表面が粉状ではなく無毛で光沢を有する
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子が腎臓形でない
本種より側シスチジアが短い
本種と異なり柄シスチジアを欠く
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius oreades(シバフタケ)
子実体の外見がやや類似している
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりロシアではなく中国、パキスタン、デンマークなどに分布する
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり子実層シスチジアを欠く
本種と異なり柄シスチジアが棍棒形、瓶形、微かに小囊形、便腹状嘴形ではなく棍棒形~円筒形
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russian Federation, Primorsky Territory, Kedrovaya Pad’ State Nature Reserve, watershed of the Ananjevka and Gryaznaya rivers

(新種)

Marasmius insolitus Kiyashko & E.F. Malysheva
語源…尋常でない(傘表皮と柄表皮にクモのような形の独特の細胞を含むことから)
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【よく似た種との区別】
Marasmius luteolus
同じAtrorubentes列に含まれる
東アジアに分布する
柄シスチジアに2型を有する
本種より傘の直径が大きい
本種と異なり傘が明色で橙色を帯びる
本種と異なり傘が薄い
本種と異なり傘に条線~溝線を有する
本種と異なり傘表皮にクモ状の長い剛毛状細胞を欠く
本種と異なり柄表皮にクモ状の長い剛毛状細胞を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(8.4%の差異)
Marasmius jasminodorus
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり極東ロシアではなくタイなどに分布する
本種と異なり傘が暗い帯赤褐色
本種と異なり傘表面が皺状
本種と異なり特異的な芳香を有する
本種より担子胞子のサイズが僅かに小さい
本種と異なり傘表皮にクモ状の長い剛毛状細胞を欠く
本種と異なり柄表皮にクモ状の長い剛毛状細胞を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius araucariae
本種と異なり傘が帯赤褐色~暗褐色
本種と異なり傘表面が小皺状~溝線状
本種と異なり襞がクリーム色~帯褐色
本種と異なり側シスチジアを欠く
本種と異なり傘表皮にクモ状の長い剛毛状細胞を欠く
本種と異なり柄表皮にクモ状の長い剛毛状細胞を欠く
Marasmius araucariae var. siccipes
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり極東ロシアではなくマレーシアなどに分布する
本種と異なり傘が帯赤褐色~暗褐色
本種と異なり傘表面が小皺状~溝線状
本種と異なり襞がクリーム色~帯褐色
本種と異なり側シスチジアを欠く
本種と異なり傘表皮にクモ状の長い剛毛状細胞を欠く
本種と異なり柄表皮にクモ状の長い剛毛状細胞を欠く
本種と異なり柄表皮にSiccus型の箒状細胞を多数有する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius ochroleucus
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイなどに分布する
本種と異なり側シスチジアを欠く
本種と異なり柄シスチジアが小剛毛状でない鈍頭の型のみ
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius iras
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり極東ロシアではなくタイなどに分布する
本種より担子胞子のサイズが明らかに大きい
本種と異なり柄シスチジアが小剛毛状でない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius inthanonensis
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり極東ロシアではなくタイなどに分布する
本種より担子胞子のサイズが明らかに大きい
本種と異なり柄シスチジアが小剛毛状でない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius xestocephalus
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり極東ロシアではなくタイなどに分布する
本種より担子胞子のサイズが明らかに大きい
本種と異なり柄シスチジアが小剛毛状でない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius ochropoides
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり極東ロシアではなくマレーシアなどに分布する
本種と異なり傘が橙色を帯びる
本種と異なり側シスチジアを欠く
本種と異なり縁シスチジア頂部に2-4本の小剛毛を有する
本種と異なり柄シスチジアがSiccus型のみ
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius sullivantii
柄表面の性状が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりAtrorubentes列ではなくHaematocephali列に含まれる
本種と異なりロシアではなく北米に分布する
本種と異なり傘が帯赤褐色
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり側シスチジアがが小剛毛状でない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius setulosifolius
本種と異なりロシアではなく新熱帯に分布する
本種と異なり傘がさび色
本種と異なり傘表面に溝線を有する
本種と異なり非小剛毛状の柄シスチジアを有さない
Marasmius araneocephalus
クモのような形状の細胞を有する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりAtrorubentes列ではなくSpinulosi列に含まれる
本種と異なり極東ロシアではなくタイなどに分布する
本種と生息環境が非常に異なる
本種より担子胞子のサイズが顕著に小さい
本種と異なり子実層に典型的な剛毛を有する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russian Federation, Primorsky Territory, Sikhote-Alinsky State Nature Reserve, Malaya Tenevaya River, vicinity of Venera field reserve station

(新変種)

Marasmius cohaerens var. mandshuricus Kiyashko, E.F. Malysheva & Antonín
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【よく似た種との区別】
Marasmius cohaerens(ミヤマオチバタケ)
子実体の色が類似していることがある
襞の間隔がやや疎
担子胞子のサイズが類似している
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本変種と異なり極東ロシアではなく米国、カナダ、ヨーロッパなどに分布する
本変種より”pleurosetae”のサイズが小さい
本変種と異なり柄に剛毛を有する
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Marasmius cohaerens var. lachnophyllus
子実体の色が類似していることがある
子実層の剛毛がよく発達する
“pleurosetae”のサイズが類似している
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本変種より担子胞子のサイズが僅かに小さい
本変種と異なり柄に剛毛を有する
Marasmius cohaerens var. orientalis
本変種より傘の直径が大きい
本変種と異なり傘が強く扇畳み状になる
本変種より担子胞子が長い
本変種より”pleurosetae”のサイズが明らかに小さい
Marasmius delectans
同じSpinulosi列に含まれる
柄が無毛
nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本変種より傘が暗色
本変種と異なり傘表面が顕著なビロード状
本変種と異なり襞の縁部が顕著な褐色
本変種より担子胞子のサイズが大きい
本変種より子実層の剛毛が長い
nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(ロシア新産種)

Marasmius cf. ochroleucus Desjardin & E. Horak
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【よく似た種との区別】
Marasmius insolitus
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイにおける分布が知られていない
本種と異なり側シスチジアを有する
本種と異なり柄シスチジアが小剛毛状でない鈍頭の型のみという特徴を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(ロシア新産種)

Marasmius occultatiformis Antonín, R. Ryoo & H.D. Shin
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【よく似た種との区別】
Marasmius abundans
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘がより淡色で帯灰橙色~黄金色
本種より担子胞子のサイズがかなり大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(3.4-4.5%の差異)

(ロシア新産種)

Cryptomarasmius aucubae (Neda) T.S. Jenkinson & Desjardin
アオキオチバタケ
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【よく似た種との区別】
Cryptomarasmius crescentiae
肉眼的形質が類似している
顕微鏡的形質が類似している
本種と異なり日本、韓国、極東ロシアではなくキューバなどに分布する
本種と基質が異なる
本種と子実体のサイズが異なる
本種より担子胞子の幅が狭い
本種と異なり縁シスチジアが箒状細胞型で疎ら
本種と異なり傘表皮に瓶形の細胞を欠く
Cryptomarasmius corbariensis
肉眼的形質が類似している
顕微鏡的形質が類似している
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種より子実体が暗色
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり柄シスチジアを欠く
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cryptomarasmius minutus
肉眼的形質が類似している
顕微鏡的形質が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり日本、韓国、極東ロシアではなくヨーロッパに分布する
本種より担子胞子のサイズが僅かに大きい
本種と異なり側シスチジアが円筒形で頂部が顕著な頭状にならないのではなくほぼ徳利形
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cryptomarasmius micraster
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種より担子胞子のサイズが明らかに大きい
ITSおよびnrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される