(仮訳)形態および分子データにより特徴づけられる東アジア産致死的テングタケ類
Zhang, P. et al., 2010. Lethal amanitas of East Asia characterized by morphological and molecular data. Fungal Diversity. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s13225-010-0018-4 [Accessed September 3, 2015].
【R3-02160】2015/09/03投稿

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3行まとめ

東アジア産の致死的毒性を有するテングタケ類を調査し、少なくとも9つの系統学的分類群を認めた。
Amanita fuligineoidesA. rimosa、およびA. pallidoroseaの3新種を記載した。
また、ヨーロッパ産のA. virosaの東アジアにおける分布、A. phalloidesA. subjunquilleaの近縁性、A. oberwinkleranaの系統的位置などを示した。
中国湖南省郴州市宜章県莽山

(新種)

Amanita fuligineoides P. Zhang & Zhu L. Yang
語源…Amanita fuliginea類似の
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【よく似た種との区別】
Amanita fuliginea(クロタマゴテングタケ)
中国に分布する
柄が帯灰色の繊維~鱗片に覆われる
つばが永続性
傘表皮上層が繊維状菌糸からなる
本種と異なり中国のみではなく日本からも知られている
本種より子実体のサイズが顕著に小さい
本種と異なり傘が琥珀色を帯びるのではなく黒灰色~ほぼ帯黒色
本種と異なり柄の塊茎部が細長い類棍棒形~蕪形のではなく類球形
本種よりつぼ縁部の実質の膨大した細胞の数が比較的多い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレード4ではなくクレード1に含まれる)
Amanita privigna
同じPhalloideae節に含まれる
子実体が暗色
担子胞子が球形
本種と異なり中国ではなくシンガポールに分布する
本種より子実体のサイズが小さい
本種よりつばの位置が低い
本種と異なりつぼの縁部が灰色
Amanita alauda
同じPhalloideae節に含まれる
子実体が暗色
担子胞子が球形
本種と異なり中国ではなくシンガポールに分布する
本種より子実体のサイズがずっと小さい
本種より傘の直径が小さい
本種と異なり柄が白色
Amanita elephas
同じPhalloideae節に含まれる
子実体のサイズが類似している
子実体が暗色
柄の塊茎部が細長い
本種と異なり中国ではなくシンガポールに分布する
本種と担子胞子のQ値が異なる
Amanita arocheae
担子胞子のサイズが類似している
担子胞子の形状が類似している
本種と異なり中国ではなく中米および南米に分布する
本種と異なり傘が灰褐色
本種と異なり柄の塊茎部が細長いのではなく球形~類球形
中国湖南省郴州市宜章県莽山

(新種)

Amanita rimosa P. Zhang & Zhu L. Yang
語源…亀裂の(傘表面の性状から)
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【よく似た種との区別】
Amanita subjunquillea var. alba
中国に分布する
形態的に類似している(混同のおそれがある)
子実体が類白色
子実体がKOHで黄色に呈色する
担子胞子が小型
担子胞子が球形~類球形
本種と異なり傘表皮上層がゼラチン化する
本種と異なり傘表皮上層が膨大した楕円形、棍棒形、紡錘形の末端細胞ではなく繊維状菌糸からなる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレード3ではなくクレード5に含まれる)
Amanita pilosella
傘表皮に類似の膨大した細胞を含む
本種と異なりPhalloideae節ではなくValidae節に含まれる
本種と異なり中国ではなくシンガポールに分布する
Amanita craseoderma
傘表皮に類似の膨大した細胞を含む
本種と異なりPhalloideae節ではなくVaginatae節に含まれる
本種と異なり中国ではなくブラジルに分布する
中国重慶市南川区后河村

(新種)

Amanita pallidorosea P. Zhang & Zhu L. Yang
語源…淡いばら色の(傘の色から)
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【よく似た種との区別】
Amanita exitialis
中国に分布する
子実体が白色系
本種と異なり傘がばら色ではなくクリーム色~黄褐色などを帯びる
本種異なり担子器が4胞子性ではなく2胞子性
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレード6ではなくクレード4に含まれる)
Amanita virosa(ドクツルタケ)
中国に分布する
子実体が白色系
傘表皮上層が繊維状菌糸からなる
本種と異なり中国のみではなく日本やヨーロッパなどにも分布する
本種と異なり傘がばら色ではなくクリーム色~黄褐色などを帯びる
本種より担子胞子が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレード6ではなくクレード2に含まれる)
Amanita oberwinklerana(ニオイドクツルタケ)
中国に分布する
子実体が白色系
本種と異なり傘がばら色ではなくクリーム色~黄褐色などを帯びる
本種と顕微鏡的形態が異なる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードAではなくクレードBに含まれる)
Amanita subjunquillea var. alba
中国に分布する
形態的に類似している(混同のおそれがある)
子実体が白色系
担子器の形態が類似している
担子胞子の形態が類似している
傘表皮上層が繊維状菌糸からなる
本種と異なり傘がばら色ではなくクリーム色~黄褐色などを帯びる
本種と異なり傘に中丘を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレード6ではなくクレード5に含まれる)
Amanita bisporigera
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード6に含まれる)
本種と異なり中国ではなく米国に分布する
本種と異なり子実体がばら色を帯びるのではなく白色
本種と異なり担子胞子が4胞子性ではなく2胞子性
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される