(仮訳)地衣類かエンドファイトか?:新科レプトシッリア科に含まれる謎の属Leptosillia、および新属Furfurella
Voglmayr, H. et al., 2019. Lichens or endophytes? The enigmatic genus Leptosillia in the Leptosilliaceae fam. nov. (Xylariales), and Furfurella gen. nov. (Delonicicolaceae). Persoonia. Available at: https://doi.org/10.3767/persoonia.2019.42.09 [Accessed May 17, 2019] 【R3-06225】2019/5/17投稿

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3行まとめ

分子系統解析の結果およびデロニシコラ科との形態・生態的差異に基づき、Leptosillia属に対して新科レプトシッリア科を提唱した。
地中海地域においてマメ科樹木の枯枝に発生していた3新種に対して新属Furfurellaを提唱した。
その他、複数種について転属、シノニム化、エピタイプ指定、レクトタイプ指定などの分類学的措置をとった。
Greece, Crete, Chania, Omalos

(新種)

Furfurella luteostiolata Voglmayr & Jaklitsch
語源…(属名)ふけ(子座上の黄色~明るい帯緑色の付着物から)/(種小名)黄色の孔口の
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【よく似た種との区別】
Furfurella nigrescens
ギリシャに分布する
同じマメ科植物を宿主とする
偽子座が不明瞭
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりスペインにおける分布が知られている
本種と異なりGenista acanthocladaではなくCalicotome属およびChamaecytisus属植物を宿主とする
本種と異なり偽子座が基質に埋生する
本種と異なり子嚢果孔口の周囲に明るい硫黄色の”scurf”を伴うという特徴を欠く
本種より子嚢胞子の幅が狭い
本種ほど子嚢胞子ががっしりとしていない
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Furfurella stromatica
同じヒトツバエニシダ属植物を宿主とする
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりGenista acanthocladaではなくG. cinereaを宿主とする
本種と異なりギリシャではなくスペインに分布する
本種と異なり偽子座が不明瞭ではなく明瞭
本種と異なり子嚢果孔口の周囲に明るい硫黄色の”scurf”を伴うという特徴を欠く
本種より子嚢胞子の幅が狭い
本種ほど子嚢胞子ががっしりとしていない
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Spain, Andalucía, at km 26 between La Sauceda and Puerto Galiz

(新種)

Furfurella nigrescens Voglmayr & Jaklitsch
語源…黒色になる(偽子座周囲の宿主表面の色から)
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【よく似た種との区別】
Furfurella luteostiolata
ギリシャに分布する
同じマメ科植物を宿主とする
偽子座が不明瞭
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりスペインにおける分布が知られていない
本種と異なりCalicotome属およびChamaecytisus属植物ではなくGenista acanthocladaを宿主とする
本種と異なり偽子座が基質に埋生するという特徴を欠く
本種と異なり子嚢果孔口の周囲に明るい硫黄色の”scurf”を伴う
本種より子嚢胞子の幅が広い
本種より子嚢胞子ががっしりとしている
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Spain, Andalucía, Jaén, Valdepeñas de Jaén, El Parrizoso

(新種)

Furfurella stromatica Voglmayr & Jaklitsch
語源…子座の
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【よく似た種との区別】
Furfurella luteostiolata
同じヒトツバエニシダ属植物を宿主とする
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりGenista cinereaではなくG. acanthocladaを宿主とする
本種と異なりスペインではなくギリシャに分布する
本種と異なり偽子座が明瞭ではなく不明瞭
本種と異なり子嚢果孔口の周囲に明るい硫黄色の”scurf”を伴う
本種より子嚢胞子の幅が狭い
本種より子嚢胞子ががっしりとしている
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Austria, Burgenland, Breitenbrunn, Thenauriegel

(新組み合わせ)

Leptosillia acerina (Rehm) Voglmayr & Jaklitsch
旧名: Cresporhaphis acerina (Rehm) M.B. Aguirre
(基礎異名はLeptorhaphis acerina Rehm)
※本種のエピタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Leptosillia muelleri
ヨーロッパに分布する
同じカエデ属植物を宿主とする
宿主の樹皮に発生する
子嚢胞子に隔壁を欠く
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子嚢果が単生するのではなく癒合する
本種と異なり子嚢果がしばしば崩壊するという特徴を欠く
本種と異なり分生子形成様式が内生出芽型ではなく内生出芽型および全出芽型の2型
本種と異なり分生子が鎌形ではなく糸状および鎌形の2型
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Leptosillia fusariospora
子嚢果が孔口部分で水平方向に落ち込んだ杯状
子嚢胞子のサイズが類似している
子嚢胞子に隔壁を欠く
本種と異なりヨーロッパではなく北米に分布する
本種と異なりカエデ属ではなくヤマナラシ属、(エノキ属?)植物などを宿主とする
本種と子嚢胞子の形状が異なる
本種と異なり子嚢胞子に時に1隔壁を有する

(新組み合わせ)

Leptosillia fusariospora (Ellis & Everh.) Voglmayr & Jaklitsch
旧名:Leiosphaerella fusariospora (Ellis & Everh.) M.E. Barr
(基礎異名はCoelosphaeria fusariospora Ellis & Everh.)
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【よく似た種との区別】
Leptosillia acerina
子嚢果が孔口部分で水平方向に落ち込んだ杯状
子嚢胞子のサイズが類似している
子嚢胞子に隔壁を欠く
本種と異なり北米ではなくヨーロッパに分布する
本種と異なりヤマナラシ属、(エノキ属?)ではなくカエデ属植物などを宿主とする
本種と子嚢胞子の形状が異なる
本種と異なり子嚢胞子に時に1隔壁を有するという特徴を欠く
Leptosillia wienkampii
本種と異なりヤマナラシ属、(エノキ属?)ではなくヤナギ属およびニレ属植物などを宿主とする
本種と異なり子嚢果が水平方向に崩壊するという特徴を欠く
本種と異なり子嚢果頂部の乳頭突起が星状または溝状の構造をなす
本種と異なり子嚢が直線状、屈曲状~僅かに波打つのではなく強く波打つ
本種と異なり子嚢胞子が鎌形~三日月形で両端が丸いのではなく直線状~僅かに屈曲し、通常顕著な鉤状で末端が狭く丸まる
Austria, Niederösterreich, Schönfeld, Wacholderheide NE of the golf course

(新組み合わせ、新階級)

Leptosillia macrospora (Eitner) Voglmayr & Jaklitsch
旧名:Cresporhaphis macrospora (Eitner) M.B. Aguirre
(基礎異名はLeptorhaphis quercus f. macrospora
Leptorhaphis quercus f. macrosporaのエピタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Leptosillia slaptonensis
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりコナラ属ではなくニレ属植物などを宿主とする
本種と異なり幹ではなく細い枝のコルク質の翼に発生する
本種より子嚢胞子が短い
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Rhaphidicyrtis trichosporella
同じコナラ属植物を宿主とする
本種と異なり子嚢が二重壁である
本種と異なり子囊果内菌糸系のゲルが10%KOH前処理を経てルゴール液で濃青色に呈色する
Pseudosagedia leptospora
本種と異なり菌体が明瞭に地衣化する
本種と異なり果殻上に子囊果周辺組織外壁を有する
本種と異なり子嚢胞子の隔壁数が少なくとも7

(新組み合わせ)

Leptosillia muelleri (Duby) Voglmayr & Jaklitsch
旧名:Cresporhaphis muelleri (Duby) M.B. Aguirre
(基礎異名はSphaeria muelleri Duby)
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【よく似た種との区別】
Leptosillia acerina
ヨーロッパに分布する
同じカエデ属植物を宿主とする
宿主の樹皮に発生する
子嚢胞子に隔壁を欠く
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子嚢果が癒合するのではなく単生する
本種と異なり子嚢果がしばしば崩壊する
本種と異なり分生子形成様式が内生出芽型および全出芽型の2型ではなく内生出芽型
本種と異なり分生子が糸状および鎌形の2型ではなく鎌形
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新組み合わせ)

Leptosillia pinicola (Samp.) Voglmayr & Jaklitsch
旧名:Cresporhaphis pinicola (Samp.) M.B. Aguirre
(基礎異名はLeptorhaphis pinicola Samp.)
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(新組み合わせ)

Leptosillia pistaciae (Voglmayr et al.) Voglmayr
旧名:Liberomyces pistaciae Voglmayr
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Austria, Niederösterreich, Mödling, Eichkogel

(新組み合わせ)

Leptosillia slaptonensis (P.F. Cannon) Voglmayr, M.B. Aguirre & Jaklitsch
旧名:Zignoëlla slaptonensis P.F. Cannon
Zignoëlla slaptonensisおよびCresporhaphis ulmiのエピタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Leptosillia acerina
生態的に類似している
生息環境が類似している
本種と異なりニレ属ではなくカエデ属植物などを宿主とする
本種と子嚢胞子の形質が異なる
Leptosillia wienkampii
ヨーロッパに分布する
同じUlmus minorを宿主とする
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
子嚢胞子の形状が類似している
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子嚢胞子の隔壁数が1-3ではなく0
本種と異なり細い枝のコルク質の翼ではなく生木の幹の樹皮に発生する
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Leptosillia macrospora
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりニレ属ではなくコナラ属植物などを宿主とする
本種と異なり細い枝のコルク質の翼ではなく幹に発生する
本種より子嚢胞子が長い
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
United Kingdom, England, Surrey, Richmond, Royal Botanic Gardens Kew

(新組み合わせ)

Leptosillia wienkampii (J. Lahm ex Hazsl.) Voglmayr & Jaklitsch
旧名:Cresporhaphis wienkampii (J. Lahm ex Hazsl.) M.B. Aguirre
(基礎異名はLeptorhaphis wienkampii J. Lahm ex Hazsl.)
Leptorhaphis wienkampiiのエピタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Leptosillia fusariospora
本種と異なりヤナギ属およびニレ属などではなくヤマナラシ属、(エノキ属?)植物を宿主とする
本種と異なり子嚢果が水平方向に崩壊する
本種と異なり子嚢果頂部の乳頭突起が星状または溝状の構造をなすという特徴を欠く
本種と異なり子嚢が強く波打つのではなく直線状、屈曲状~僅かに波打つ
本種と異なり子嚢胞子が直線状~僅かに屈曲し、通常顕著な鉤状で末端が狭く丸まるのではなく鎌形~三日月形で両端が丸い
Leptosillia slaptonensis
ヨーロッパに分布する
同じUlmus minorを宿主とする
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
子嚢胞子の形状が類似している
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子嚢胞子の隔壁数が0ではなく1-3
本種と異なり生木の幹の樹皮ではなく細い枝のコルク質の翼に発生する
ITS+nrLSUおよびnrSSU+ITS+nrLSU+rpb1+rpb2+tef1+tub2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Cresporhaphis rhoina M.E. Barr
Sphaeria rhoinaのレクトタイプ標本を指定した。
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(その他掲載種)

Rhaphidicyrtis trichosporella (Nyl.) Vain.
Cresporhaphis chibaensis(和名:ニセマルゴケ)を本種のシノニムとした。
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【よく似た種との区別】
Leptosillia macrospora
同じコナラ属植物を宿主とする
本種と異なり子嚢が二重壁でない
本種と異なり子囊果内菌糸系のゲルが10%KOH前処理を経てルゴール液で濃青色に呈色するという特徴を欠く