(仮訳)ヨーロッパ産の淡紫色または紫色のInocybe属の新種および新組み合わせ
Muñoz, G. et al., 2022. New species and combinations of Inocybe with lilac or violet colours in Europe. Fungi Iberici. Available at: https://micologiaiberica.org/wp-content/uploads/2022/02/FI-2022-04-Munoz-et-al.-Inocybe.pdf [Accessed December 26, 2022] 【R3-10183】2022/12/26投稿

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3行まとめ

ヨーロッパ産の紫色系のInocybe属菌について形態学的検討および分子系統解析を実施し、I. caesaraugustaeなど3新種を記載した。
また、新組み合わせI. floccipesおよびI. paleovenetaを提唱した。
これらの種には公園や庭園のような人の手の加わった場所に発生する傾向がみられた。
Spain, Zaragoza, Zaragoza, Parque Grande José Antonio Labordeta, Jardín Botánico

(新種)

Inocybe caesaraugustae G. Muñoz, Esteve-Rav. & Pancorbo
語源…カエサラウグスタ(サラゴサのローマ時代の呼び名)の
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【よく似た種との区別】
Inocybe paleoveneta
スペインに分布する
同じシナノキ属の樹下に発生する
形態的に類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりイタリア、ドイツにおける分布が知られている
本種と異なり傘縁部表面がしばしば裂けて小さな同心円状の圧着した鱗片状になるのではなく亀裂状
本種と異なり襞が淡紫色でない
本種と異なり柄が紫色ではなく帯桃淡紫色~淡紫色
本種と異なり担子胞子が類扁桃形~楕円形で頂部が丸いのではなく頂部が卵形~円錐形で乳頭状のこともある
本種と異なり担子胞子に胞子盤を欠くのではなく僅かに有する
本種と異なりシスチジアに顕著な頸部を有することがある
本種よりシスチジアの壁が僅かに薄い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Spain, Zaragoza, Zaragoza, Parque Grande José Antonio Labordeta, Jardín Botánico

(新種)

Inocybe ianthinopes Pancorbo, G. Muñoz & Esteve-Rav.
語源…紫色の柄の
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【よく似た種との区別】
Inocybe knautiana
傘表面がフェルト状
柄の色が類似している
本種と異なり子実層シスチジアの幅が広い
本種と異なり子実層シスチジアが紡錘形
Inocybe pusio
生態的選好性が類似している
形態的に類似している(この種に同定されてきた可能性がある)
France, Nouvelle-Aquitaine, Pyrénées-Atlantiques, Osse-en-Aspe, Forêt d’Issaux

(新種)

Inocybe velatipusio Esteve-Raventós & Pancorbo
語源…被膜のInocybe pusio
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【よく似た種との区別】
Inocybe pusio
本種と異なりヤマナラシ属の樹下から報告されている
本種と異なり被膜を欠くか痕跡的である
本種と柄表皮の構造が異なる
本種と異なり柄シスチジアが柄の頂部1/10のみに分布するのではなく上部1/3~1/4に分布する
Inocybe dryadiana
柄が帯紫色
本種と異なり傘が黄褐色
本種と異なり被膜が発達しない
本種とシスチジアのサイズが異なる
本種とシスチジアの形状が異なる
Inocybe grusiana
被膜が明瞭である
本種と異なり子実体が紫色でない
Inocybe paleoveneta
ヨーロッパに分布する
傘表面が平滑および放射状繊維紋をあらわす
傘表面にしばしば類白色の被膜を伴う
担子胞子が類扁桃形で頂部が尖る
シスチジアが薄壁
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりブナ科のコナラ属、ブナ属、クリ属ではなく様々な広葉樹の樹下に生じる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新組み合わせ、新階級)

Inocybe floccipes (Esteve-Rav. & Fouchier) Esteve-Rav. & Bizio
旧名:Inocybe pusio var. floccipes Esteve-Rav. & Fouchier
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【よく似た種との区別】
Inocybe pusio
ブナ科の樹下に生じる
シスチジアが厚壁
本種と異なりブナ科以外の広葉樹の樹下にも生じる
本種と異なり子実層シスチジアがほとんどの場合紡錘形なのではなく典型的には便腹形
本種と異なり柄シスチジアが豊富という特徴を欠く
本種と異なり柄シスチジアが柄の下部2/3まで達するのではなく上部1/3~1/4に分布する

(新組み合わせ、新階級)

Inocybe paleoveneta (Bizio & A. Castellan) Esteve-Rav. & Pancorbo
旧名:Inocybe grammopodia var. paleoveneta Bizio & A. Castellan
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【よく似た種との区別】
Inocybe grammopodia
形態的に類似している(従来この種の変種とされてきた)
柄表面に縦方向の縞模様を有することがある
本種と地理的分布が異なる
本種と生息環境が異なる
本種と異なり子実体が帯桃淡紫色でない
本種と異なり担子胞子の幅が狭い
本種と異なり担子胞子が類豆形
本種と異なり担子胞子にしばしば典型的な胞子盤を有する
Inocybe velatipusio
ヨーロッパに分布する
傘表面が平滑および放射状繊維紋をあらわす
傘表面にしばしば類白色の被膜を伴う
担子胞子が類扁桃形で頂部が尖る
シスチジアが薄壁
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり様々な広葉樹ではなくブナ科のコナラ属、ブナ属、クリ属の樹下に生じる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される