(仮訳)Protomerulius属とHeterochaetella属について
Spirin, V. et al., 2019. On Protomerulius and Heterochaetella (Auriculariales, Basidiomycota). Mycological Progress. Available at: https://link.springer.com/article/10.1007/s11557-019-01507-0 [Accessed December 4, 2021] 【R3-09023】2021/12/4投稿

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3行まとめ

Protomerulius属とHeterochaetella属の形態および分子的根拠に基づく再検討を実施し、両属が同属であることを示した。
それに伴い、Protomeruliusの属概念を子実体が平らに広がり子実層托が平滑または刺状、1菌糸型の種を含むよう再定義し、4新種を含むH. dubiaとその類縁種をこの属に移した。
また、ノルウェー産の新属新種Psilochaete multiforaを記載したほか、Heterochaetella sanctae-catharinaeを新属Metulochaeteに移した。
Norway, Vestfold, Larvik, Jordstøyp i Kvelde

(新種)

Protomerulius commotus V. Spirin & V. Malysheva
語源…不安定な、疑わしい
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【よく似た種との区別】
Protomerulius madidus
ノルウェーに分布する
落葉樹に生じる
肉眼的に識別できないほど類似している
子実体が新鮮時半透明
子実体が乾燥時ほとんど見えない
担子胞子のサイズの範囲が重なる
ITS+nrLSU、ITS、tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりエストニア、ウクライナにおける分布が知られている
本種より担子胞子のサイズがほとんどの標本で大きい
本種と異なり子実層シスチジアを有するのではなく欠く
ITS+nrLSU、ITS、tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Protomerulius hebes
子実層シスチジアの形態が類似している
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりノルウェーではなくエチオピアに分布する
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Ethiopia, Oromia, Arussi, Munessa Forest

(新種)

Protomerulius hebes V. Spirin & L. Ryvarden
語源…退色した
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【よく似た種との区別】
Protomerulius pertusus
子実体が羊毛状
子実体が柔らかい
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりエチオピアではなくノルウェーに分布する
本種より実質シスチジアのサイズが大きい
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Protomerulius commotus
子実層シスチジアの形態が類似している
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりエチオピアではなくノルウェーに分布する
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Norway, Buskerud, Lier, Stokkerinden

(新種)

Protomerulius madidus V. Spirin & K.H. Larsson
語源…湿った
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【よく似た種との区別】
Protomerulius commotus
ノルウェーに分布する
落葉樹に生じる
肉眼的に識別できないほど類似している
子実体が新鮮時半透明
子実体が乾燥時ほとんど見えない
担子胞子のサイズの範囲が重なる
ITS+nrLSU、ITS、tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりエストニア、ウクライナにおける分布が知られていない
本種より担子胞子のサイズがほとんどの標本で小さい
本種と異なり子実層シスチジアを欠くのではなく有する
ITS+nrLSU、ITS、tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Protomerulius brachysporus
子実体がゼラチン化する
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり広葉樹ではなく針葉樹に生じる
本種と異なり子実体が乾燥時ほぼ見えなくなるのではなくよく見える
本種より子実体が厚い
本種より担子胞子の幅が広い
本種と異なりシスチジアが脆く、頂部が崩壊する
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Protomerulius dubius
落葉樹に生じる
形態的に類似している(混同のおそれがある)
子実体がゼラチン化することがある
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が新鮮時半透明でない
本種と異なり子実体が乾燥時ほぼ見えなくなるのではなくよく見える
本種より子実体が柔らかい蝋質
本種より担子胞子の平均幅が僅かに広い
本種と異なりシスチジアがスライド作製時に容易に崩壊する
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Norway, Møre og Romsdal, Nesset, Eikesdalen

(新種)

Protomerulius pertusus V. Malysheva & V. Spirin
語源…穴のあいた
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【よく似た種との区別】
Protomerulius dubius
ヨーロッパに分布する
落葉樹に生じる
形態的に類似している(幼時の子実体が混同のおそれがあるほど類似している)
子実体が幼時ほぼ白色
子実体が幼時羊毛状
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実層面が淡色のままほぼ変色しないのではなく暗色の領域をあらわす
本種と異なり子実層面が成熟時強くゼラチン化する
本種より担子胞子の幅が僅かに広い
本種よりシスチジアの幅が明瞭に広い
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Protomerulius hebes
子実体が羊毛状
子実体が柔らかい
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりノルウェーではなくエチオピアに分布する
本種より実質シスチジアのサイズが小さい
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Norway, Møre og Romsdal, Nesset, Eikesdalen

(新種)

Psilochaete multifora V. Spirin & V. Malysheva
語源…(属名)目立つ+剛毛/(種小名)多孔の
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(新組み合わせ)

Metulochaete sanctae-catharinae (Möller) R.L.M. Alvarenga
旧名:Heterochaete sanctae-catharinae Möller
語源…(属名)メチュロイド+剛毛
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(新組み合わせ)

Protomerulius brachysporus (Luck-Allen) V. Spirin & V. Malysheva
旧名:Heterochaetella brachyspora Luck-Allen
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【よく似た種との区別】
Protomerulius madidus
子実体がゼラチン化する
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり針葉樹ではなく広葉樹に生じる
本種と異なり子実体が乾燥時よく見えるのではなくほぼ見えなくなる
本種より子実体が薄い
本種より担子胞子の幅が狭い
本種と異なりシスチジアが脆く、頂部が崩壊するという特徴を欠く
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新組み合わせ)

Protomerulius dubius (Bourdot & Galzin) V. Spirin & V. Malysheva
旧名:Heterochaete dubia Bourdot & Galzin
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【よく似た種との区別】
Protomerulius pertusus
ヨーロッパに分布する
落葉樹に生じる
形態的に類似している(幼時の子実体が混同のおそれがあるほど類似している)
子実体が幼時ほぼ白色
子実体が幼時羊毛状
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実層面が暗色の領域をあらわすのではなく淡色のままほぼ変色しない
本種と異なり子実層面が成熟時強くゼラチン化するという特徴を欠く
本種より担子胞子の幅が僅かに狭い
本種よりシスチジアの幅が明瞭に狭い
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Protomerulius madidus
落葉樹に生じる
形態的に類似している(混同のおそれがある)
子実体がゼラチン化することがある
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が新鮮時半透明
本種と異なり子実体が乾燥時よく見えるのではなくほぼ見えなくなる
本種より子実体が柔らかい蝋質でない
本種より担子胞子の平均幅が僅かに狭い
本種と異なりシスチジアがスライド作製時に容易に崩壊するという特徴を欠く
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新組み合わせ)

Protomerulius microsporus (Burt) Spirin & V. Malysheva
旧名:Heterochaete microspora Burt
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Brazil, Pernambuco

(新組み合わせ)

Protomerulius minor (Möller) V. Spirin & O. Miettinen
旧名:Stypella minor Möll
※本種のエピタイプおよびレクトタイプ標本を指定した。
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(新組み合わせ)

Protomerulius subreflexus (Lloyd) O. Miettinen & L. Ryvarden
旧名:Polystictus subreflexus Lloyd
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【よく似た種との区別】
Protomerulius substuppeus
形態的にほぼ識別不能なほど類似している
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種より肉の菌糸の幅が広い
本種より実質菌糸の幅が広い
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Protomerulius substuppeus (Berkeley & Cooke) Ryvarden
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【よく似た種との区別】
Protomerulius subreflexus
形態的にほぼ識別不能なほど類似している
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で近縁
本種より肉の菌糸の幅が狭い
本種より実質菌糸の幅が狭い
ITS+nrLSUおよびITSに基づく分子系統解析で明瞭に区別される