(仮訳)Lopadostoma属の系統学的および分類学的改訂
Jaklitsch, W. et al., 2014. Phylogenetic and taxonomic revision of Lopadostoma. Persoonia. Available at: http://www.persoonia.org/issue/32/04.pdf [Accessed April 7, 2014].
【R3-00583】2014/04/07投稿

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3行まとめ

Lopadostoma属を再検討し、従来本属に含まれていた種のほとんどを除外するとともに、本属に12種を認めた。
形態および複数遺伝子を用いた分子系統解析に基づき、6種を新種記載し、3種を本属に移した。
また、Anthostoma属菌の中に、本属に含めるのが妥当と思われる種が認められた。
USA, West Virginia, Upshur Co., Audra State Park

(新種)

Lopadostoma americanum Jaklitsch, J. Fourn., J.D. Rogers & Voglmayr
語源…アメリカの
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【よく似た種との区別】
Lopadostoma quercicola
コナラ属樹木を宿主とする
本種と異なり北米ではなくヨーロッパに分布する
本種と異なりQuercus alba以外のコナラ属樹木を宿主とする
本種と異なり内子座のディスクが明瞭
本種より子嚢胞子の幅が広い
本種よりコロニーの生長が遅い
本種と異なりアナモルフが知られていない
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma dryophilum
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり米国ではなくヨーロッパ温帯に分布する
本種より孔口頸部の間の組織が淡色
本種より子嚢胞子のサイズが顕著に大きい
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Anthostoma dryophilum var. minor
米国に分布する
コナラ属樹木を宿主とする
形態的に類似している
子座あたり6-15個の子嚢殻を含む
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
本種と異なるコナラ属樹木のグループを宿主とする
本種より子座が平らに広がる
本種より子嚢が僅かに長い
本種より子嚢胞子が僅かに淡色で、より帯赤褐色に近い
本種と異なり子嚢胞子が部分的にほぼ菱形になる
Austria, Niederösterreich, Mauerbach

(新種)

Lopadostoma fagi Jaklitsch, J. Fourn. & Voglmayr
語源…ブナ属の
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【よく似た種との区別】
Lopadostoma turgidum
同所的に分布する
ヨーロッパブナを宿主とする
子座の形態が類似しており、野外では区別できない
本種より内子座のディスクが僅かに小さい
本種と異なり孔口が顕著な乳頭状でない
本種より子嚢胞子のサイズが大きく、特に幅が広い
本種と異なり子嚢胞子の発芽溝が周辺ではなく片側のみにある
本種と異なりMEA培地でのコロニーがばら色ではなく白色または中央部が褐色
本種よりコロニーの生長が遅い
本種より子嚢胞子の発芽が速い
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Quaternaria quaternata
同所的に分布する
しばしば同じ基質に発生する
ブナ属樹木を宿主とする
本種と異なりルーペで見るとディスクに埋生しない顕著な孔口が確認できる
Spain, Islas Baleares, Mallorca, Es Capdella, between Camí del Graner del Delme and Torrent de Galatzó

(新種)

Lopadostoma insulare Jaklitsch, J. Fourn. & Voglmayr
語源…島の
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【よく似た種との区別】
Lopadostoma meridionale
同じトキワガシを宿主とする
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
本種と異なりアナモルフが知られている
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma lechatii
子嚢胞子が小型でサイズが類似している
本種と異なり地中海の島嶼ではなくフランスに分布する
本種と異なりコナラ属樹木ではなくセイヨウシデを宿主とする
本種と異なり内子座が暗色ではなく類白色
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma quercicola
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
コナラ属樹木を宿主とする
本種と異なりトキワガシやQuercus cocciferaを宿主としない
本種より子嚢胞子のサイズが顕著に大きい
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
France, Poitou-Charentes, Deux Sèvres, Villiers en Bois, La Taillée

(新種)

Lopadostoma lechatii Jaklitsch, J. Fourn. & Voglmayr
語源…子嚢菌のコレクター、鑑定家であるChristian Lechatに献名
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【よく似た種との区別】
Lopadostoma insulare
子嚢胞子が小型でサイズが類似している
本種と異なりフランスではなく地中海の島嶼に分布する
本種と異なりセイヨウシデではなくコナラ属樹木を宿主とする
本種と異なり内子座が類白色ではなく暗色
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma gastrinum
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
内子座全体が淡色でしばしば白色に近い
本種と異なりクマシデ属だけではなくニレ属など複数属の広葉樹を宿主とする
本種より子嚢胞子のサイズが顕著に大きい
本種よりコロニーの生長が速い
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Croatia, Istrija, Barbariga, forest N of the village

(新種)

Lopadostoma meridionale Jaklitsch, J. Fourn. & Voglmayr
語源…南の(ヨーロッパの南部に分布することから)
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【よく似た種との区別】
Lopadostoma insulare
同じトキワガシを宿主とする
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
本種と異なりアナモルフが知られていない
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma quercicola
ヨーロッパに分布する
同じコナラ属樹木を宿主とする
孔口頸部の間の組織が暗色
子嚢胞子の形態が類似している
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
本種と異なるコナラ属の種を宿主とする
本種と異なりアナモルフが知られていない
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Austria , Niederösterreich, Pfaffstätten

(新種)

Lopadostoma quercicola Jaklitsch, J. Fourn. & Voglmayr
語源…コナラ属に生える
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【よく似た種との区別】
Lopadostoma americanum
コナラ属樹木を宿主とする
本種と異なりヨーロッパではなく北米に分布する
本種と異なりQuercus albaを宿主とする
本種と異なり内子座のディスクが明瞭でない
本種より子嚢胞子の幅が狭い
本種よりコロニーの生長が速い
本種と異なりアナモルフが知られている
Lopadostoma meridionale
ヨーロッパに分布する
同じコナラ属樹木を宿主とする
孔口頸部の間の組織が暗色
子嚢胞子の形態が類似している
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
本種と異なるコナラ属の種を宿主とする
本種と異なりアナモルフが知られている
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma insulare
コナラ属樹木を宿主とする
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりトキワガシやQuercus cocciferaを宿主とする
本種より子嚢胞子のサイズが顕著に小さい
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma dryophilum
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
本種と異なり内子座の孔口の間が帯黄オリーブ色
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma juglandinum
子座が広く破出する
子座に多数の子嚢殻の塊が含まれる
子嚢殻の塊が黒い線で囲まれない
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
本種と異なりヨーロッパではなく米国に分布する
本種と異なりコナラ属樹木ではなくCarya albaを宿主とする
本種より子座のサイズがずっと大きい

(新組み合わせ)

Lopadostoma ailanthi (G.H. Otth) Jaklitsch, J. Fourn. & Voglmayr
旧名:Phaeosperma ailanthi G.H. Otth
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【よく似た種との区別】
Lopadostoma linospermum
本種と異なりスイスではなくヨーロッパの地中海地域および北アフリカに分布する
本種と異なりニワウルシ属樹木ではなくPistacia lentiscusを宿主とする

(新組み合わせ)

Lopadostoma dryophilum (G.H. Otth) Jaklitsch, J. Fourn. & Voglmayr
旧名:Anthostoma dryophilum (Curr.) Sacc(基礎異名はPhaeosperma dryophilum G.H. Otth)
※本種のエピタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Lopadostoma linospermum
内子座が顕著な黄褐色~帯オリーブ色
子嚢のサイズが大きい
子嚢胞子のサイズが大きい
本種と異なりヨーロッパの温帯ではなくヨーロッパの地中海地域から北アフリカにかけて分布する
本種と異なりコナラ属樹木ではなくPistacia lentiscusを宿主とする
本種と異なりアナモルフが知られている
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma americanum
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりヨーロッパ温帯ではなく米国に分布する
本種より孔口頸部の間の組織が暗色
本種より子嚢胞子のサイズが顕著に小さい
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lopadostoma quercicola
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
本種より孔口頸部の間の組織が暗色
LSUおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Italy, Sardinia, Oliena, near the hotel Su Gologone
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