(仮訳)5つの異なる属に移されてきた歴史を持つオーストラレイシア産の黒穂菌、Ustilago solidaに対する新属Shivasiaの提唱
Lutz, M., Vánky, K. & Piątek, M., 2012. Shivasia gen. nov. for the Australasian smut Ustilago solida that historically shifted through five different genera. IMA fungus. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3539317/ [Accessed March 18, 2014].
【R3-00517】2014/03/19投稿

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3行まとめ

顕微鏡的形質の検討および分子系統解析の結果に基づき、Ustilago solidaに対して新属Shivasiaを設けた。
本種はこれまで、UstilagoUrocystisなど5つの属に移されてきたが、分子系統解析ではいずれの属との類縁性も示されなかった。
本報告により、オーストラレイシア産の黒穂菌の固有属は10属となり、他の大陸と比べても例外的に多数であることから、長期の地理的隔離による速い進化が示唆された。

(新組み合わせ)

Shivasia solida (Berk.) Vánky, M. Lutz & M. Piątek
語源(属名)…オーストラリアの菌学者、Roger Graham Shivasに献名
旧名:Ustilago solida Berk.
※本種のエピタイプ指定を行った。
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Heterotolyposporium lepidospermatis
タスマニアに分布する
同じカヤツリグサ科ノグサ連の植物を宿主とする
LSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタスマニア以外のオーストラリアやニュージーランドに分布しない
本種と異なりノグサ属の複数種ではなくLepidosperma ensiformeを宿主とする
胞子堆の形態が顕著に異なる
本種と異なり未熟な胞子堆が護膜に包まれない
胞子団の形態が顕著に異なる
不稔の子座に形成されるU型のポケットの内部に胞子が生じるという特徴を持たない
LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度90.25%)
Tolyposporium isolepidis
形態的に類似している
花および茎に胞子堆が形成される
不稔の子座に形成されるU型のポケットの内部に胞子が生じる
胞子団の発達様式が類似している
本種と異なり胞子団を包む粘液層を欠く
ITS領域の塩基配列が明瞭に異なる(類似度82.49%)
LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tolyposporium neillii
形態的に類似している
花および茎に胞子堆が形成される
不稔の子座に形成されるU型のポケットの内部に胞子が生じる
胞子団の発達様式が類似している
本種と異なり胞子団を包む粘液層を欠く
ITS領域の塩基配列が明瞭に異なる(類似度82.49%)
LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tolyposporium junci
形態的に類似している
花および茎に胞子堆が形成される
不稔の子座に形成されるU型のポケットの内部に胞子が生じる
胞子団の発達様式が類似している
本種と黒穂胞子の装飾が異なる
本種と異なり胞子団を包む粘液層を欠く
LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される