(仮訳)中国産標本を中心としたCyanosporus属菌の種多様性、分子系統、および生態的習性
Liu, S. et al., 2022. Species diversity, molecular phylogeny and ecological habits of Cyanosporus (Polyporales, Basidiomycota) with an emphasis on Chinese collections. MycoKeys. Available at: https://mycokeys.pensoft.net/article/78305/ [Accessed January 16, 2022] 【R3-09151】2022/1/16投稿

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3行まとめ

主に中国産標本を用いてCyanosporus属菌の種多様性などを検討し、C. flavusなど4新種を記載した。
各新種を含む分子系統樹、分布図などを掲載した。
本報告により全世界のCyanosporus属菌は35種、中国産の種は23種に増加した。
中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州九寨溝県

(新種)

Cyanosporus flavus B.K. Cui & Shun Liu
語源…黄色の(乾燥時の孔口面の色から)
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【よく似た種との区別】
Cyanosporus fusiformis
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりモミ属およびトウヒ属ではなくツツジ属樹木などに生じる
本種と異なり傘が新鮮時白色~クリーム色
本種と異なり孔口面が乾燥時粘土黄褐色
本種より孔口のサイズが大きい
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus subungulatus
中国に分布する
同じマツ科樹木に生じる
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりモミ属およびトウヒ属ではなく被子植物およびマツ属樹木に発生する
本種と異なり傘表面が無毛
本種と異なり孔口面が乾燥時クリーム色~帯桃黄褐色
本種より担子胞子の幅が広い
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus ungulatus
中国に分布する
同じモミ属樹木に生じる
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりシイ属樹木に生じる
本種と異なり子実体が蹄形
本種と異なり傘が新鮮時帯オリーブ黄褐色、帯桃黄褐色、クリーム色、アッシュグレー、および白色の領域からなる
本種と異なり傘表面に溝をあらわす
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus hirsutus
中国に分布する
同じモミ属およびトウヒ属樹木に生じる
子実体が傘状
傘が青色を帯びる
傘表面が毛状
担子胞子が僅かに厚壁
本種より担子胞子の幅が広い
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus subhirsutus
中国に分布する
子実体が傘状
傘が青色を帯びる
傘表面が毛状
担子胞子が僅かに厚壁
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりモミ属およびトウヒ属ではなくサワグルミ属樹木などに生じる
本種より孔口のサイズが大きい
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国麗江市玉竜ナシ族自治県老君山九十九龍潭

(新種)

Cyanosporus rigidus B.K. Cui & Shun Liu
語源…硬い(子実体の質感から)
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【よく似た種との区別】
Cyanosporus submicroporus
中国に分布する
孔口の形態が類似している
担子胞子の形態が類似している
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりトウヒ属ではなくハンノキ属、アカガシ属樹木などに生じる
本種と異なり傘が新鮮時クリーム色~帯桃黄褐色で乾燥時帯褐黄色~黄褐色
本種と異なり孔口面が新鮮時白色~煙灰色で乾燥時黄褐色~帯オリーブ黄褐色
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus auricomus
中国に分布する
同じトウヒ属樹木に生じる
子実体が黄色
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフィンランド、ポーランド、ロシアなどに分布する
本種と異なりマツ属樹木に生じる
本種と異なり傘表面が毛状
本種より担子胞子のサイズが大きい
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus luteocarsius
同じマツ科樹木に生じる
子実体が黄色
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくフランスなどに分布する
本種と異なりトウヒ属ではなくマツ属樹木などに生じる
本種より孔口のサイズが大きい
本種より担子胞子のサイズが大きい
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国雲南省大理ペー族自治州漾濞イ族自治県石門関自然保護区

(新種)

Cyanosporus subungulatus B.K. Cui & Shun Liu
語源…Cyanosporus ungulatus類似の
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【よく似た種との区別】
Cyanosporus flavus
中国に分布する
同じマツ科樹木に生じる
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり被子植物およびマツ属ではなくモミ属およびトウヒ属樹木に発生する
本種と異なり傘表面が無毛でない
本種と異なり孔口面が乾燥時クリーム色~帯桃黄褐色でない
本種より担子胞子の幅が狭い
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus ungulatus
中国に分布する
同じ被子植物およびマツ属樹木に生じる
孔口の形態が類似している
担子胞子の形態が類似している
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が蹄形
本種と異なり傘表面に溝をあらわす
本種より肉の菌糸の幅が狭い
本種より実質菌糸の幅が狭い
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国雲南省怒江リス族自治州蘭坪ペー族プミ族自治県通甸鎮羅古箐

(新種)

Cyanosporus tenuicontextus B.K. Cui & Shun Liu
語源…薄い肉の
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【よく似た種との区別】
Cyanosporus caesiosimulans
同じ被子植物およびマツ科樹木に生じる
孔口の形態が類似している
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくヨーロッパおよび北米などに分布する
本種と異なりモミ属、トウヒ属樹木に生じる
本種より担子胞子のサイズが大きい
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus cyanescens
同じマツ属樹木に生じる
孔口の形態が類似している
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくエストニア、フィンランド、フランス、ポーランド、ロシア、スペイン、スウェーデンなどに分布する
本種と異なりトウヒ属、モミ属樹木に生じる
本種と異なり子実体が老成・乾燥時に淡い帯青色~帯灰色
本種より担子胞子のサイズが大きい
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus populi
中国に分布する
同じ被子植物およびマツ科植物などに生じる
孔口の形態が類似している
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりヨーロッパ、北米における分布が知られている
本種と異なりトウヒ属樹木に生じる
本種より担子胞子のサイズが大きい
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus subviridis
同じマツ属樹木に生じる
孔口の形態が類似している
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくヨーロッパおよび北米などに分布する
本種と異なり被子植物における発生が知られていない
本種と異なりトウヒ属、カラマツ属、モミ属樹木に発生する
本種と異なり子実体が貝殻形
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus yanae
同じマツ属樹木に生じる
孔口の形態が類似している
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくヨーロッパロシアなどに分布する
本種と異なり被子植物における発生が知られていない
本種と異なりカラマツ属樹木に発生する
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種より管孔の生殖菌糸の幅が狭い
本種より肉の生殖菌糸の幅が狭い
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cyanosporus bifarius
中国に分布する
同じマツ属樹木に生じる
孔口の形態が類似している
担子胞子の形態が類似している
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりヨーロッパロシア、日本における分布が知られている
本種と異なり被子植物における発生が知られていない
本種と異なりトウヒ属、カラマツ属樹木に発生する
ITS+nLSU+nSSU+mtSSU+RPB1+RPB2+TEFおよびITS+TEFに基づく分子系統解析で明瞭に区別される