(仮訳)Typhula variabilisTyphula laschiiTyphula intermedia、およびTyphula japonicaの分類学的再評価
Ikeda, S. et al., 2015. Taxonomic reappraisal of Typhula variabilis, Typhula laschii, Typhula intermedia, and Typhula japonica. Mycoscience. Available at: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1340354015000315 [Accessed August 7, 2015].
【R3-02080】2015/08/07投稿

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3行まとめ

形態および分子データを根拠に、Typhula variabilisなど4種のガマノホタケ属菌の種概念を改訂した。
従来シノニムと見なされてきた3種について、菌核外皮の細胞の形態、分子系統解析の結果などから別種であると結論付けた。
また、T. japonicaが2胞子性の担子器や子実体上での発芽などで特徴づけられ、単一の担子胞子が通常二核菌糸を生じることを示した。

(その他掲載種)

Typhula variabilis Riess
※本種のレクトタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Typhula japonica(シロガマノホタケ)
日本に分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より菌核の外皮が明瞭
本種より菌核外皮の細胞が明瞭
本種との交配試験で二核菌糸が形成されない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードAではなくクレードCに分布する)
Typhula laschii
菌核のサイズの範囲が重なる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり菌核が暗赤褐色、暗褐色、黒色ではなく暗褐色~黒色
本種と異なり菌核が類球形、半球形、菜種形ではなく半球形、類球形、扁平
本種と異なり菌核表面の凹凸が激しく、隆起するのではなく皺状で切れ込みがある
本種と異なり菌核外皮の細胞が台地状ではなく中央部が急な畝状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードAではなくクレードCに分布する)
Typhula intermedia
日本に分布する
形態的に類似している(同種と見なされたこともある)
菌核が暗赤褐色、暗褐色、黒色
菌核外皮の細胞の縁取りが二重
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりコムギに対して病原性を有する
本種より菌核のサイズが小さい
本種と異なり菌核が類球形、半球形、菜種形ではなく球形~半球形
本種と異なり菌核表面の凹凸が激しく、隆起するのではなく凹凸状、隆起状、皺状
本種との交配試験で二核菌糸が形成されない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lövudden, Gävle, Gästrikland, Sweden

(その他掲載種)

Typhula laschii Rabenhorst
※本種のネオタイプを指定した。
(編集注)論文中では採集地が”Gästribland, Sweden”となっているが、ウプサラ自然史博物館のデータベースを参照して”Lövudden, Gävle, Gästrikland, Sweden”と修正した。
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【よく似た種との区別】
Typhula intermedia
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より菌核のサイズが小さい
本種と異なり菌核が暗褐色~黒色ではなく暗赤褐色、暗褐色、黒色
本種と異なり菌核が半球形、類球形、扁平ではなく球形~半球形
本種と異なり菌核表面が皺状で切れ込みがあるのではなく凹凸状、隆起状、皺状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Typhula variabilis
菌核のサイズの範囲が重なる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり菌核が暗褐色~黒色ではなく暗赤褐色、暗褐色、黒色
本種と異なり菌核が半球形、類球形、扁平ではなく類球形、半球形、菜種形
本種と異なり菌核表面が皺状で切れ込みがあるのではなく凹凸が激しく、隆起する
本種と異なり菌核外皮の細胞が中央部が急な畝状ではなく台地状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードCではなくクレードAに分布する)
Typhula japonica(シロガマノホタケ)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードCに含まれる)
本種より菌核の直径が大きい
本種と異なり菌核が暗色ではなく淡色~褐色
本種と異なり菌核が球形~類球形ではなく類球形~半球形
本種と異なり担子器が4胞子性ではなく2胞子性
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Typhula intermedia Appel & Laubert
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【よく似た種との区別】
Typhula variabilis
日本に分布する
形態的に類似している(同種と見なされたこともある)
菌核が暗赤褐色、暗褐色、黒色
菌核外皮の細胞の縁取りが二重
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりコムギに対して病原性を有さない
本種より菌核のサイズが大きい
本種と異なり菌核が球形~半球形ではなく類球形、半球形、菜種形
本種と異なり菌核表面が凹凸状、隆起状、皺状ではなく凹凸が激しく、隆起する
本種との交配試験で二核菌糸が形成されない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Typhula laschii
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より菌核のサイズが大きい
本種と異なり菌核が暗赤褐色、暗褐色、黒色ではなく暗褐色~黒色
本種と異なり菌核が球形~半球形ではなく半球形、類球形、扁平
本種と異なり菌核表面が凹凸状、隆起状、皺状ではなく皺状で切れ込みがある
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
北海道芽室町

(その他掲載種)

Typhula japonica Terui
シロガマノホタケ
※本種のレクトタイプ標本およびエピタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Typhula variabilis
日本に分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種ほど菌核の外皮が明瞭でない
本種ほど菌核外皮の細胞が明瞭でない
本種との交配試験で二核菌糸が形成されない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードAではなくクレードCに分布する)
Typhula laschii
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードCに含まれる)
本種より菌核の直径が小さい
本種と異なり菌核が淡色~褐色ではなく暗色
本種と異なり菌核が類球形~半球形ではなく球形~類球形
本種と異なり担子器が2胞子性ではなく4胞子性
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Typhula ochraceosclerotiata
菌核外皮の細胞の模様が類似している
担子器が2胞子性
Typhula pulgensis
担子器が2胞子性