(仮訳)中国産標本を中心としたCeriporia属の分類および系統の研究
Jia, B. et al., 2014. Taxonomy and phylogeny of Ceriporia (Polyporales, Basidiomycota) with an emphasis of Chinese collections. Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-013-0895-5 [Accessed February 25, 2014].
【R3-00433】2014/02/25投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

中国産標本を中心とする、Ceriporia属の203標本について形態を検討し、18種の42サンプルを用いて分子系統解析を行った。
C. bubalinomarginataC. pseudocystidiataC. variegataの3種を新種記載した。
Ceriporia属が多系統群であること、いくつかの種について再検討が必要であること、シスチジアの有無が種レベルの分類形質として有用でないことなどを明らかにした。
中国河南省南陽市内郷県河南宝天曼国家級自然保護区

(新種)

Ceriporia bubalinomarginata B.S. Jia & Y.C. Dai
語源…黄褐色の縁部の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Ceriporia spissa
ITSおよびLSUに基づく分子系統解析で近縁(広義のCeriporia spissaを包含するクレードの内部に位置する)
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なりシスチジアを欠く
ITSおよびLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Ceriporia subspissa
子実層面が帯赤褐色
シスチジアを持つ
本種より孔口のサイズが大きい
本種と異なり担子胞子がソーセージ形ではなく楕円形
Ceriporia purpurea(ムラサキアナタケ)
子実層面の形態が類似している
シスチジアの形態が類似している
本種より孔口のサイズが大きい
本種より担子胞子のサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国湖南省郴州市宜章県莽山自然保護区

(新種)

Ceriporia pseudocystidiata B.S. Jia & Y.C. Dai
語源…偽のCeriporia cystidiata
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Ceriporia cystidiata
担子胞子の形態が類似している
シスチジアの形態が類似している
本種と異なり管孔に油状の物質を欠く
本種と異なりシスチジアを多数持たず、稀にしか見られない
本種と異なり菌糸が隔壁部分でくびれる
Ceriporia aurantiocarnescens
担子胞子の形態が類似している
本種より孔口のサイズが小さい
本種と異なりシスチジアを欠く
本種と異なり子実体形成菌糸層の菌糸が厚壁
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Ceriporia subspissa
担子胞子のサイズが類似している
本種と異なり孔口が黄褐色~肉桂褐色ではなく濃い赤褐色
本種より担子胞子の幅が広い
本種と異なり担子胞子がソーセージ形ではなく長楕円形
本種と異なりシスチジアが棍棒形ではなく紡錘形
Ceriporia nanlingensis
担子胞子の長さが4.8 μmを超えない
担子胞子の幅が1.4 μmを超える
ITSおよびLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり担子胞子がソーセージ形ではなく長楕円形~円筒形または僅かに屈曲する円筒形
ITSおよびLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国湖南省郴州市宜章県莽山自然保護区

(新種)

Ceriporia variegata B.S. Jia & Y.C. Dai
語源…様々な(シスチジアの形態から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Ceriporia subspissa
本種と異なり中国ではなくガイアナに分布する
本種と異なり子実層面が白色~クリーム色ではなく濃い赤褐色
本種と異なりシスチジアを欠く
本種と異なり紡錘形のシスチジオールを持つ
Ceriporia aurantiocarnescens
担子胞子の形態が非常に類似している
本種と異なり子実層面が鮭肉色~帯褐色
本種より孔口のサイズが小さい
本種と異なり実質の菌糸が並列型
本種と異なりシスチジアを欠く
ITSおよびLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Ceriporia crassitunicata
ITSおよびLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりシスチジアを欠く
ITSおよびLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他の分類学的措置)

  • Ceriporia属の種レベルの分類形質としてのシスチジアの有無について、否定的な見解を示した。
  • 分子系統解析の結果、従来担子胞子の形状とシスチジアの有無で分けられてきたC. inflataC. jiangxiensisが同種であることが示唆されたことから、後者を前者に対するシノニムとして扱うべきだとした。