(仮訳)フィンランド産のThelidium auruntiiおよびT. incavatum複合種の分類
Pykälä, J., Kantelinen, A. & Myllys, L. 2023. Taxonomy of Thelidium auruntii and T. incavatum complexes (lichenized Ascomycota, Verrucariales) in Finland. MycoKeys. Available at: https://mycokeys.pensoft.net/article/98738/ [Accessed March 11, 2023] 【R3-10408】2023/3/11投稿

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3行まとめ

フィンランド産のThelidium auruntiiおよびT. incavatum複合種を検討し、6新種を記載した。
フィンランド産の種として形態およびITS配列を基に10種を認め、その全ての種が石灰岩に生じていた。
この他にThelidium sp.1およびsp.2を新種の可能性が高い種として報告した。
Koillismaa, Salla, Oulanka National Park, 400 m N of Savilampi, shore of river Savinajoki

(新種)

Thelidium declivum Pykälä & Myllys
語源…斜面の(生息環境から)
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【よく似た種との区別】
Thelidium incavatum
フィンランドに分布する
形態的に類似している(区別が困難)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり被子器が3/4埋生するのではなく主に全埋生する
本種と異なり被子器のほとんどに被子器外壁を有するのではなくほとんどの場合欠く
本種より果殻の殻壁が薄い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thelidium mendax
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している(識別困難)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より被子器外壁の平均長が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thelidium larianum
形態的に類似している(かつてこの種として報告された)
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
Polyblastia torrentis
北欧に分布する
本種と異なりフィンランドではなくスウェーデンなどに分布する
本種ほど被子器が埋生しない
本種より果殻のサイズが小さい
FEnontekiö, Kilpisjärvi, Saana

(新種)

Thelidium huuskonenii Pykälä & Myllys
語源…フィンランドのアマチュア地衣学者、A.J.Huuskonen氏に献名
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【よく似た種との区別】
Thelidium auruntii
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり地衣体が主に岩内生でない
本種より地衣体が厚い
本種と異なり被子器がしばしば深い孔を残すという特徴を欠く
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thelidium decussatum
ヨーロッパに分布する
形態的に類似している(以前この種として報告されている)
被子器の形態が類似している
被子器外壁の形態が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフィンランドではなくドイツなどに分布する
本種と異なり地衣体が亀裂状
本種より子嚢胞子のサイズが僅かに大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thelidium stenosporum
ヨーロッパに分布する
本種と異なりフィンランドではなくスロバキアなどに分布する
本種より被子器のサイズが小さい
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
Thelidium bubulcae
本種より地衣体のサイズが大きい
本種と異なり地衣体が亀裂状~小区画状
本種より被子器のサイズが大きい
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
Thelidium polycarpum
石灰岩に生じる
本種と異なり一時的に水没する岩における生息のみが知られている
本種と異なり地衣体がかなり厚い
本種と異なり地衣体が亀裂状~小区画状
本種より子嚢胞子のサイズがわずかに大きい
Finland, Koillismaa, Salla, Oulanka National Park, Pikkuköngäs, shore of river Oulankajoki

(新種)

Thelidium mendax Pykälä & Myllys
語源…偽の(間違いやすいことから)
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【よく似た種との区別】
Thelidium declivum
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している(識別困難)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より被子器外壁の平均長が短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thelidium incavatum
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より被子器外壁の平均長が短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Polyblastia torrentis
北欧に分布する
本種と異なりフィンランドではなくスウェーデンなどに分布する
本種と異なり被子器が1/4-1/2埋生する
本種より被子器外壁が薄い
Finland, Kollismaa, Kuusamo, Oulanka National Park, Mataraniemi W, shore of Oulankajoki river

(新種)

Thelidium pseudoauruntii Pykälä & Myllys
語源…偽のThelidium auruntii
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【よく似た種との区別】
Thelidium auruntii
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より被子器がいくぶん埋生する傾向がある
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Finland, Koillismaa, Salla, Oulanka National Park, Savilampi 1,4 km NE, shore of Savinajoki river

(新種)

Thelidium sallaense Pykälä & Myllys
語源…サッラ産の
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【よく似た種との区別】
Thelidium auruntii
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種ほど地衣体が褐色に着色しない可能性がある
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
本種より被子器外壁が平均的に長くて厚い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Finland, Enontekiön Lappi, Enontekiö, Porojärvet, Toskalharji, Toskaljärvi N

(新種)

Thelidium toskalharjiense Pykälä & Myllys
語源…トスカルハルジ産の
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【よく似た種との区別】
Thelidium auruntii
フィンランドに分布する
子嚢胞子のサイズの範囲がかなり重なる
被子器外壁の形態が一部の標本で同様の可能性がある
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
本種より被子器外壁が平均的に長くて厚い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Thelidium auruntii (A. Massal.) Kremp.
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【よく似た種との区別】
Thelidium incinctum
フィンランドに分布する
岩上生地衣である
本種と異なり石灰岩ではなく珪質岩に生じる
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
本種より被子器外壁が厚い
Thelidium bubulcae
ヨーロッパに分布する
岩上生地衣である
本種と異なり地衣体が小区画状
本種より頂部の被子器外壁が短い
Thelidium lacromense
ヨーロッパに分布する
形態的に類似している
本種と異なり海面に近い標高に分布する
Thelidium athallinum
岩上生地衣である
本種より被子器外壁が厚い
Thelidium huuskonenii
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり地衣体が主に岩内生である
本種より地衣体が薄い
本種と異なり被子器がしばしば深い孔を残す
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thelidium pseudoauruntii
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より被子器がいくぶん埋生する傾向がない
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thelidium sallaense
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より地衣体が褐色に着色する可能性がある
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
本種より被子器外壁が平均的に短くて薄い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thelidium toskalharjiense
フィンランドに分布する
子嚢胞子のサイズの範囲がかなり重なる
被子器外壁の形態が一部の標本で同様の可能性がある
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
本種より被子器外壁が平均的に短くて薄い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Thelidium incavatum Nyl. ex Mudd
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【よく似た種との区別】
Thelidium declivum
フィンランドに分布する
形態的に類似している(区別が困難)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり被子器が主に全埋生するのではなく3/4埋生する
本種と異なり被子器のほとんどに被子器外壁をほとんどの場合欠くのではなく有する
本種より果殻の殻壁が厚い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thelidium bavaricum
ヨーロッパに分布する
本種より子嚢胞子の幅が広い
本種より子嚢胞子がしばしば類石垣状の可能性がある
Thelidium mendax
フィンランドに分布する
形態的にかなり類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より被子器外壁の平均長が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

※この他にThelidium sp. 1とThelidium sp. 2を掲載した。