2018年12月8日 (仮訳)北欧産キシメジ属菌のITS配列データおよび形態形質に基づく分類 Heilmann-Clausen, J. et al., 2017. Taxonomy of Tricholoma in northern Europe based on ITS sequence data and morphological characters. Persoonia. Available at: https://doi.org/10.3767/003158517X693174 [Accessed December 8, 2018] 【R3-05745】2018/12/8投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ 北欧産キシメジ属菌を対象に形態および分子データの解析を実施し、少なくとも72種の良好に定義された種を認めた。 Tricholoma boreosulphurescens、T. bryogenum、およびT. ilkkaeの3新種を記載し、Agaricus rapipesを本属に移した。 10の節を認め、傘の色、傘表皮の構造、担子胞子のサイズ、およびクランプの有無が各節内部における保存的な形質であることを示した。 Sweden, Gotland, Eksta par, Ekstastrand (新種) Tricholoma ilkkae Mort. Chr., Heilm.-Claus., Ryman & N. Bergius 語源…フィンランドの菌学者、Ilkka Kutövuori氏に献名 【よく似た種との区別】 Tricholoma dulciolens スウェーデンに分布する 針葉樹を宿主とする 傘表面が鱗片状 傘表面に粘性を有する 襞の色が類似している つばが皮膚状~綿毛状 担子胞子が小型 菌糸にクランプを欠く ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じCalicata節クレードに含まれる) 本種と異なりイタリア、米国などにおける分布が知られている 本種より傘表面の鱗片がずっと明色 本種より柄の”girdle”がずっと明色 本種より柄が長い ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Tricholoma caligatum(オウシュウマツタケ) スペインに分布する 針葉樹を宿主とする 傘の色が類似している 傘表面が鱗片状 傘表面に粘性を有する 襞の色が類似している つばが皮膚状~綿毛状 菌糸にクランプを欠く ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じCalicata節クレードに含まれる) 本種と異なり北欧にも分布するのではなく地中海地域のみに分布する 本種より傘の地の色と鱗片の色のコントラストが強い 本種より傘表面の鱗片が僅かに暗色 本種より柄の地の色と”girdle”の色のコントラストが強い 本種より柄の”girdle”が僅かに暗色 本種より担子胞子のサイズが大きい 菌糸にクランプを欠く ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Tricholoma matsutake(マツタケ) スウェーデン、フィンランドに分布する 針葉樹を宿主とする 傘の色が類似している 傘表面が鱗片状 傘表面に粘性を有する 襞の色が類似している つばが皮膚状~綿毛状 菌糸にクランプを欠く ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じCalicata節クレードに含まれる) 本種と異なり韓国、中国などにおける分布が知られている 本種より子実体のサイズが大きい 本種より子実体が鈍色 本種より担子胞子のサイズが大きい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Sweden, Jämtland, Brunflo (新種) Tricholoma bryogenum Mort. Chr., Heilm.-Claus. & Vauras 語源…コケに生じる 【よく似た種との区別】 Tricholoma sulphureum(ニオイキシメジ) ノルウェーに分布する 傘の色が類似している 傘表面が乾燥している 襞の色が類似している ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じSericella節クレードに含まれる) 本種と異なりデンマーク、フランスなどにおける分布が知られている 本種と異なりコケに覆われたトウヒ林に生息するという特徴を欠く 本種より子実体の色が鮮やか 本種と異なり子実体が乾燥時淡黄褐色ではなく肉桂色~帯灰褐色 本種と異なり柄基部に白色の菌糸体を伴うという特徴を欠く 本種と異なり菌糸にクランプを有する ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Tricholoma odorum 本種と異なり北欧ではなく北米などに分布する 本種より襞の間隔が密 Norway, Finnmark, Alta, Kåfjordsbotten, S of Hesteskovattnet (新種) Tricholoma boreosulphurescens Mort. Chr. & Heilm.-Claus. 語源…北方のTricholoma sulphurescens 【よく似た種との区別】 Tricholoma sulphurescens 落葉広葉樹を宿主とする 傘の色が類似している 傘表面が乾燥している 襞の色が類似している 担子胞子のサイズが類似している 菌糸にクランプを有する ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じLasciva節p.p.クレードに含まれる) 本種と異なり北欧ではなく南欧などに分布する ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される (新組み合わせ) Tricholoma rapipes (Krombh.) Heilm.-Claus. & Mort. Chr. 旧名:Agaricus rapipes Krombh. 【よく似た種との区別】 Tricholoma saponaceum(ミドリシメジ) デンマーク、フランスに分布する 傘の色が類似している 傘表面が乾燥している 襞の色が類似している 菌糸にクランプを有する ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じContextcutis節クレードに含まれる) ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される