(仮訳)オーストララシア産のチチタケ属Gerardii亜属の種
Stubbe, D. et al., 2012. The Australasian species of Lactarius subgenus Gerardii (Russulales). Fungal Diversity. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s13225-011-0111-3 [Accessed April 12, 2014].
【R3-00598】2014/04/12投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

オーストララシア産のチチタケ属Gerardii亜属の種を、形態および分子系統解析に基づき検討した結果、12種を認めた。
本論文で、Lactarius horaなど5種のハラタケ型の種と、L. genevievaeなど2種のヒラタケ型の種を新種記載した。
また、複数の隠蔽種および種複合体の存在が明らかになり、特にL. wirrabaraの種認識にあたっては問題が生じた。
Malaysia, state of Negeri Sembilan, Pasoh National Forest Reserve, along main trail, between stream and Old Tree Tower

(新種)

Lactarius limbatus Stubbe & Verbeken
語源…縁取りのある(襞の縁部が広く暗灰色になることから)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius reticulatovenosus
襞に縁取りがある
本種より襞の縁取りが狭い
本種より担子胞子の装飾が高く、1 μmを超える
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius leae
アジアに分布する
襞に暗色の縁取りがある
本種より担子胞子の装飾が高く、1 μmを超える
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius bicolor
子実体がハラタケ型
同所的に分布する(タイプロカリティも同一)
子実体の肉眼的形態が類似している
襞に縁取りがある
子実体に変色性を持たない
乳液に変色性を持たない
担子胞子の形態が類似している
本種と異なり傘が主に帯灰褐色ではなく暗褐色
本種より襞の縁取りが狭い
本種と異なり柄が主に帯灰褐色ではなく暗褐色
本種より傘表皮の末端要素が短い
本種と異なり傘表皮の末端要素が類円筒形ではなく類紡錘形~類棍棒形
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius lignyotus var. marginatus
襞に暗色の縁取りがある
本種と異なりPlinthogalus亜属に含まれる
Lactarius fallax
襞に暗色の縁取りがある
本種と異なりPlinthogalus亜属に含まれる
Lactarius atromarginatus
アジアに分布する
襞に暗色の縁取りがある
本種と異なりPlinthogalus亜属に含まれる
Sri Lanka — Kudawa, outside the entrance of Sinharaja Forest Reserve

(新種)

Lactarius coniculus Stubbe & Verbeken
語源…円錐形の(担子胞子の疣状装飾から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius ochrogalactus
担子胞子の装飾が類似している
本種と近縁ではなく、生息環境、呈色反応、マクロシスチジアの有無のいずれかで容易に区別される
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius petersenii
担子胞子の装飾が類似している
本種と近縁ではなく、生息環境、呈色反応、マクロシスチジアの有無のいずれかで容易に区別される
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius uyedae
担子胞子の装飾が類似している
本種と近縁ではなく、生息環境、呈色反応、マクロシスチジアの有無のいずれかで容易に区別される
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius genevievae
担子胞子の装飾が類似している
本種と近縁ではなく、生息環境、呈色反応、マクロシスチジアの有無のいずれかで容易に区別される
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Thailand, Chiang Mai province, Doi Suthep National Park, Sangrasabhasri Lane to Huai, Kok Ma village

(新種)

Lactarius leae Stubbe & Verbeken
語源…タイ北部のチチタケ属を研究したHuyen Than Leに献名
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius gerardii
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりタイではなく北米に分布する
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius linbatus
アジアに分布する
襞に暗色の縁取りがある
本種より担子胞子の装飾が低く、1 μmを超えない
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Australia, state of Queensland, Lamington National Park

(新種)

Lactarius leonardii Stubbe & Verbeken
語源…タイプ標本を採集し、記載を行ったPatrick Leonardに献名
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius ochrogalactus
子実体がハラタケ型
肉が傷つくと鮮やかな帯紫桃色に変色する
担子胞子が鈍頭で連結する疣状装飾に覆われる
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が淡褐色
本種と異なり乳液が白色ではなく帯黄褐色(ただし、本種も乳液が緩やかに褐変する場合がある)
本種と異なり傘表皮の末端要素が厚壁
本種と異なり柄表皮の末端要素が厚壁
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius atrovelutinus
子実体の肉眼的形態がいくぶん類似している
子実体が桃色に変色する
本種と桃色の変色の度合いが異なる
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sri Lanka — Kudawa, outside the entrance of Sinharaja Forest Reserve

(新種)

Lactarius hora Stubbe & Verbeken
語源…宿主の樹木、Dipterocarpus zeylanicusのシンハラ語名より
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius atromarginatus
アジアに分布する
子実体が細長い
襞に縁取りを持つ
襞の間隔が密
本種と異なりPlinthogalus亜属に含まれる
本種と異なり乳液が紫色に変色する
本種より傘表皮の末端要素が短い
Thailand, Chiang Mai province, Mae Taeng district, Ban Pha Deng village, near Pathummi-karam Temple

(新種)

Lactarius conchatulus Stubbe & H.T.
語源…貝殻形の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius uyedae
オーストララシアに分布する
子実体がヒラタケ型
傘が白色
マクロシスチジアを多数持つ
子実体形成菌糸層を欠く
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり担子胞子の装飾が連結する網状ではなく疣状装飾
本種よりマクロシスチジアが長い
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius genevievae
オーストララシアに分布する
子実体がヒラタケ型
傘が白色
マクロシスチジアを多数持つ
子実体形成菌糸層を欠く
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり担子胞子の装飾が連結する網状ではなく疣状装飾
本種よりマクロシスチジアが長い
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Australia, state of Tasmania, Growling Swallet

(新種)

Lactarius genevievae Stubbe & Verbeken
語源…採集者のGenevieve Gatesに献名(”Genevieve”の語源が「白浪」という説があることも、本種の傘の色および形に合致する
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius uyedae
オーストララシアに分布する
子実体がヒラタケ型
傘が白色
担子胞子が連結する疣状装飾に覆われる
マクロシスチジアを多数持つ
マクロシスチジアの長さが100 μmを超える
子実体形成菌糸層を欠く
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりマクロシスチジアが狭円筒形で頂部に向かって次第に先細りになる形状ではなく鈍頭または微突形~頂部が僅かに嘴状
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius conchatulus
オーストララシアに分布する
子実体がヒラタケ型
傘が白色
マクロシスチジアを多数持つ
子実体形成菌糸層を欠く
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子の装飾が連結する疣状装飾ではなく網状
本種よりマクロシスチジアが短い
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius ochrogalactus
オーストララシアに分布する
マクロシスチジアを持つ
厚壁の菌糸を含む
本種と異なり子実体がヒラタケ型ではなくハラタケ型
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius panuoides
子実体がヒラタケ型
本種と異なりGerardii亜属に含まれない
本種と異なりオーストラリアではなく南米に分布する
本種と異なり傘が橙色~褐色
本種と異なりマクロシスチジアを欠く
本種と異なり子実体形成菌糸層を持つ
Lactarius brunellus
子実体がヒラタケ型
本種と異なりオーストラリアではなく南米に分布する
本種と異なり傘が橙色~褐色
本種と異なりマクロシスチジアを欠く
本種と異なり子実体形成菌糸層を持つ
Lactarius multiceps
子実体がヒラタケ型
本種と異なりオーストラリアではなく南米に分布する
本種と異なり傘が橙色~褐色
本種と異なりマクロシスチジアを欠く
本種と異なり子実体形成菌糸層を持つ

(その他掲載種)

Lactarius bicolor Massee
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius limbatus
子実体がハラタケ型
同所的に分布する(タイプロカリティも同一)
子実体の肉眼的形態が類似している
襞に縁取りがある
子実体および乳液に変色性を持たない
担子胞子の形態が類似している
本種と異なり傘が主に暗褐色ではなく帯灰褐色
本種より襞の縁取りが広い
本種と異なり柄が主に暗褐色ではなく帯灰褐色
本種より傘表皮の末端要素が長い
本種と異なり傘表皮の末端要素が類紡錘形~類棍棒形ではなく類円筒形
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Lactarius reticulatovenosus Verbeken & E. Horak
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius venosus
子実体が脆い
傘表面に放射状の皺が生じる
担子胞子の装飾が網状
本種と異なり襞に褐色の縁取りを持つ
本種より担子胞子のサイズが小さい
Lactarius limbatus
襞に縁取りがある
本種より襞の縁取りが広い
本種より担子胞子の装飾が高く、1 μmを超えない
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Lactarius venosus Verbeken & E. Horak
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius reticulatovenosus
子実体が脆い
傘表面に放射状の皺が生じる
担子胞子の装飾が網状
本種と異なり襞に褐色の縁取りを持たない
本種より担子胞子のサイズが大きい

(その他掲載種)

Lactarius ochrogalactus Hashiya
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius leonardii
子実体がハラタケ型
肉が傷つくと鮮やかな帯紫桃色に変色する
担子胞子が鈍頭で連結する疣状装飾に覆われる
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が淡褐色でない
本種と異なり乳液が帯黄褐色ではなく白色~淡褐色
本種と異なり傘表皮の末端要素が薄壁
本種と異なり柄表皮の末端要素が薄壁
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius genevievae
オーストララシアに分布する
マクロシスチジアを持つ
厚壁の菌糸を含む
本種と異なり子実体がハラタケ型ではなくヒラタケ型
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Lactarius atrovelutinus J.Z. Ying
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius gerardii var. subrubescens
子実体が桃色に変色する
本種と異なりアジアではなく北米に分布する
本種と異なり乳液ではなく肉が桃変する
本種と異なり襞がクリーム色~黄色ではなくクリーム色
本種より担子胞子のサイズが大きい
Lactarius leonardii
子実体の肉眼的形態がいくぶん類似している
子実体が桃色に変色する
本種と桃色の変色の度合いが異なる
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Lactarius wirrabara Grgur.
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius sepiaceus
形態が非常に類似している
本種より子実体が暗色で、淡い帯褐琥珀色ではなくセピア色~帯褐黒色 (?)
本種と異なり襞に縁取りを持つ (?)
本種と異なり肉に緩やかな変色性を持つ (?)
本種より担子胞子の装飾が高い (?)
本種と異なり担子胞子の装飾が三角形のいくぶん鋭頭ではなく鈍頭 (?)

(その他掲載種)

Lactarius sepiaceus McNabb
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius wirrabara
形態が非常に類似している
本種より子実体が淡色で、セピア色~帯褐黒色ではなく淡い帯褐琥珀色 (?)
本種と異なり襞に縁取りを持たない (?)
本種と異なり肉に緩やかな変色性を持たない (?)
本種より担子胞子の装飾が低い (?)
本種と異なり担子胞子の装飾が鈍頭ではなく三角形のいくぶん鋭頭 (?)

(その他掲載種)

Lactarius uyedae Singer
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Lactarius genevievae
オーストララシアに分布する
子実体がヒラタケ型
傘が白色
担子胞子が連結する疣状装飾に覆われる
マクロシスチジアを多数持つ
マクロシスチジアの長さが100 μmを超える
子実体形成菌糸層を欠く
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりマクロシスチジアが鈍頭または微突形~頂部が僅かに嘴状ではなく、狭円筒形で頂部に向かって次第に先細りになる
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Lactarius conchatulus
オーストララシアに分布する
子実体がヒラタケ型
傘が白色
マクロシスチジアを多数持つ
子実体形成菌糸層を欠く
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子の装飾が連結する疣状装飾ではなく網状
本種よりマクロシスチジアが短い
ITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される