(仮訳)Emericella属菌における系統、形態学的データ、生育温度間の相関および新種
Matsuzawa, T. et al., 2012. The correlation among molecular phylogenetics, morphological data, and growth temperature of the genus Emericella and a new species. Mycoscience. Available at: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S134035401270061X [Accessed August 12, 2014].
【R3-00998】2014/08/13投稿

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3行まとめ

Emericella属における分子系統、形態形質、生育温度の関係を明らかにするために、複数遺伝子座の塩基配列を用いて解析を行った。
最大生長温度が系統に反映していること、一部の種の子嚢胞子に顕著な装飾を欠くこと、赤道面に2つのとさか状突起を有し平滑な壁の子嚢胞子を形成する種が多系統群をなすことなどを示した。
また、E. nidulans類似の子嚢胞子を形成し、系統的にE. rugulosaに近縁である中国産土壌由来のE. pachycristataを新種記載した。
中国新疆ウイグル自治区ピチャン県

(新種)

Emericella pachycristata Matsuzawa, Horie & Yaguchi
語源…厚いとさかの(子嚢胞子の装飾より)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Emericella nidulans
中国に分布する
土壌菌である
子嚢胞子の形態が類似している
子嚢胞子の壁の凸状部分が平滑
最大生長温度が48°C
本種より子嚢胞子の赤道面のとさか状突起が薄い
本種より分生子柄のサイズが小さい
本種と異なり分生子頭が帯灰オリーブ色ではなく暗緑色
本種と異なりコロニーが淡橙色・帯灰緑色・濃緑色ではなく濃い鈍黄緑色
β-チューブリン、カルモジュリン、アクチンに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードVではなくクレードIに含まれる)
Emericella sublata
子嚢胞子の壁の凸状部分が平滑
最大生長温度が48°C
本種より分生子柄の最大長が長い
本種と異なり分生子頭が帯灰オリーブ色ではなく帯灰オリーブ緑色~鈍緑色
本種と異なりコロニーが淡橙色・帯灰緑色・濃緑色ではなく鈍褐色~帯灰オリーブ色
β-チューブリン、カルモジュリン、アクチンに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードVではなくクレードIIに含まれる)
Emericella rugulosa
土壌菌である
最大生長温度が48°C
本種と異なり子嚢胞子の壁の凸状部分が平滑ではなく畝状
本種より分生子柄の最大長が短い
本種より分生子柄の幅が広い
本種と異なり分生子頭が帯灰オリーブ色ではなく緑色~暗緑色
本種と異なりコロニーが淡橙色・帯灰緑色・濃緑色ではなく紫灰色~紫褐色
β-チューブリン、カルモジュリン、アクチンに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードVではなくクレードIVに含まれる)
Emericella fruticulosa
土壌菌である
子嚢胞子の壁の凸状部分が平滑
本種より分生子柄のサイズが小さい
本種と異なり分生子頭が帯灰オリーブ色ではなく帯灰緑色~オリーブ黄色
本種と異なりコロニーが淡橙色・帯灰緑色・濃緑色ではなく淡い”lumiere green”に近い灰緑色
本種と異なり最大生長温度が48°Cではなく45°C
β-チューブリン、カルモジュリン、アクチンに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Emericella falconensis
土壌菌である
子嚢胞子の壁の凸状部分が平滑
本種より分生子柄が長い
本種と異なり分生子頭が帯灰オリーブ色ではなく鈍緑色
本種と異なりコロニーが淡橙色・帯灰緑色・濃緑色ではなく橙色~明褐色
本種と異なり最大生長温度が48°Cではなく45°C
β-チューブリン、カルモジュリン、アクチンに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Emericella spectabilis
土壌菌である
子嚢胞子の壁の凸状部分が平滑
本種より分生子柄のサイズが大きい
本種と異なり分生子頭が帯灰オリーブ色ではなく暗緑色
本種と異なりコロニーが淡橙色・帯灰緑色・濃緑色ではなく帯ワイン灰色
本種と異なり最大生長温度が48°Cではなく40°C未満
β-チューブリン、カルモジュリン、アクチンに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードVではなくクレードIに含まれる)
Emericella foeniculicola
中国に分布する
土壌菌である
子嚢胞子の壁の凸状部分が平滑
本種より分生子柄の最大長が短い
本種と異なり分生子頭が帯灰オリーブ色ではなく帯灰緑色
本種と異なりコロニーが淡橙色・帯灰緑色・濃緑色ではなく淡い帯ワイン色~帯紫灰色
本種と異なり最大生長温度が48°Cではなく40°C未満
β-チューブリン、カルモジュリン、アクチンに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードVではなくクレードIに含まれる)
Emericella aurantiobrunnea
子嚢胞子の壁の凸状部分が平滑
本種より分生子柄のサイズが大きい
本種と異なり分生子頭が帯灰オリーブ色ではなく淡黄褐色~鈍黄褐色
本種と異なりコロニーが淡橙色・帯灰緑色・濃緑色ではなくクリーム色~黄褐色
本種と異なり最大生長温度が48°Cではなく40°C未満
β-チューブリン、カルモジュリン、アクチンに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードVではなくクレードIに含まれる)

(その他の分類学的措置および知見)

  • 塩基配列データおよび子嚢胞子の装飾に基づき、E. filiferaE. appendiculataのシノニムと結論づけた。