(仮訳)エキビョウキン属クレード8bの拡張:冬栽培の野菜と関係を持つ3新種
Bertier, L. & Brouwer, H., 2013. The expansion of Phytophthora clade 8b: three new species associated with winter grown vegetable crops. Persoonia. Available at: http://www.ingentaconnect.com/content/nhn/pimj/2013/00000031/00000001/art00003 [Accessed February 22, 2014].
【R3-00417】2014/02/22投稿

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3行まとめ

過去数十年にわたって発見されてきた、エキビョウキン属クレード8bの種に類似する卵菌3種を、形態および分子のデータに基づき新種記載した。
これらの種は冬季の低温条件下でも生育が見られる耐冷菌で、各々が顕著な宿主特異性を持っていた。
さらに、「taxon castitis」および「taxon parsley」も未記載種の可能性があると考えられたが、新種記載を行うにはデータが不十分であった。
Netherlands

(新種)

Phytophthora cichorii Bertier, H. Brouwer, De Cock & D.E.L. Cooke
語源…キクニガナ属の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Phytophthora dauci
造卵器の壁の厚さの範囲が重なる
卵胞子の幅の範囲が重なる
卵胞子の壁の厚さの範囲が重なる
菌糸膨大部のサイズの範囲が重なる
最小生長温度が0°C
生長速度の範囲が重なる(両方とも遅い)
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりチコリーではなくニンジンを宿主とする
本種より遊走子嚢の長軸が短い
本種より遊走子嚢の長軸/短軸比が小さい
本種より造精器のサイズが小さい
本種と異なり造精器が底着性ではなく側着性
本種より造卵器のサイズが小さい
本種と異なり厚壁胞子を形成する
本種と異なりヘテロタリックではなくホモタリック
最大生長温度が21°Cではなく24°C
最適生長温度が15-21°Cではなく9-18°C
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora lactucae
造卵器のサイズの範囲が重なる
卵胞子の幅の範囲が重なる
菌糸膨大部のサイズの範囲が重なる
最小生長温度が0°C
最大生長温度が24°C
最適生長温度が15-21°C
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりチコリーではなくレタスを宿主とする
本種より遊走子嚢の長軸が短い
本種より遊走子嚢の長軸/短軸比が小さい
本種より造精器のサイズが小さい
本種と異なり造精器が底着性ではなく主に側着性(底着性のものも稀にある)
本種より造卵器の壁が厚い
本種より卵胞子の壁が厚い傾向がある
本種と異なり厚壁胞子を形成する
本種と異なりヘテロタリックではなくホモタリック
本種より21°Cでの生長が速い傾向がある
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora porri
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりチコリーではなくリーキを宿主とする
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora brassicae
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
造精器が底着性
本種と異なりチコリーではなくキャベツを宿主とする
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora primulae
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりチコリーではなくサクラソウ属植物を宿主とする
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
France

(新種)

Phytophthora dauci Bertier, H. Brouwer & De Cock
語源…ニンジン属の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Phytophthora cichorii
造卵器の壁の厚さの範囲が重なる
卵胞子の幅の範囲が重なる
卵胞子の壁の厚さの範囲が重なる
菌糸膨大部のサイズの範囲が重なる
最小生長温度が0°C
生長速度の範囲が重なる(両方とも遅い)
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりニンジンではなくチコリーを宿主とする
本種より遊走子嚢の長軸が長い
本種より遊走子嚢の長軸/短軸比が大きい
本種より造精器のサイズが大きい
本種と異なり造精器が側着性ではなく底着性
本種より造卵器のサイズが大きい
本種と異なり厚壁胞子を形成しない
本種と異なりホモタリックではなくヘテロタリック
最大生長温度が24°Cではなく21°C
最適生長温度が9-18°Cではなく15-21°C
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora lactucae
遊走子嚢のサイズの範囲が重なる
遊走子嚢の長軸/短軸比の範囲が重なる
造精器が側着性
卵胞子の壁の厚さの範囲が重なる
菌糸膨大部のサイズの範囲が重なる
厚壁胞子のサイズの範囲が重なる
最小生長温度が0°C
ホモタリックである
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりニンジンではなくレタスを宿主とする
本種より遊走子嚢の孔のサイズが大きい
本種より造精器の幅が狭い
本種と異なり稀に造精器が底着性になることがある
本種より造卵器のサイズが大きい
本種より造卵器の壁が厚い
本種より卵胞子の幅が広い
最大生長温度が21°Cではなく24°C
最適生長温度が9-18°Cではなく15-21°C
本種より21°Cでの生長が速い傾向がある
Phytophthora brassicae
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりニンジンではなくキャベツを宿主とする
本種と異なり造精器が側着性ではなく底着性
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora porri
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりニンジンではなくリーキを宿主とする
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora primulae
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりニンジンではなくサクラソウ属植物を宿主とする
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Greece, Marathon

(新種)

Phytophthora lactucae Bertier, H. Brouwer & De Cock
語源…アキノノゲシ属の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Phytophthora cichorii
造卵器のサイズの範囲が重なる
卵胞子の幅の範囲が重なる
菌糸膨大部のサイズの範囲が重なる
最小生長温度が0°C
最大生長温度が24°C
最適生長温度が15-21°C
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりくレタスではなくチコリーを宿主とする
本種より遊走子嚢の長軸が長い
本種より遊走子嚢の長軸/短軸比が大きい
本種より造精器のサイズが大きい
本種と異なり造精器が主に側着性ではなく底着性(ただし、本種に底着性の造精器も稀に見られる)
本種より造卵器の壁が薄い
本種より卵胞子の壁が薄い傾向がある
本種と異なり厚壁胞子を形成しない
本種と異なりホモタリックではなくヘテロタリック
本種より21°Cでの生長が遅い傾向がある
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora dauci
遊走子嚢のサイズの範囲が重なる
遊走子嚢の長軸/短軸比の範囲が重なる
造精器が側着性
卵胞子の壁の厚さの範囲が重なる
菌糸膨大部のサイズの範囲が重なる
厚壁胞子のサイズの範囲が重なる
最小生長温度が0°C
ホモタリックである
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりレタスではなくニンジンを宿主とする
本種より遊走子嚢の孔のサイズが小さい
本種より造精器の幅が広い
本種と異なり造精器が底着性になることがない
本種より造卵器のサイズが小さい
本種より造卵器の壁が薄い
本種より卵胞子の幅が狭い
最大生長温度が24°Cではなく21°C
最適生長温度が15-21°Cではなく9-18°C
本種より21°Cでの生長が遅い傾向がある
Phytophthora brassicae
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりレタスではなくキャベツを宿主とする
本種と異なり造精器が側着性ではなく底着性(ただし、本種に底着性の造精器も稀に見られる)
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora porri
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりレタスではなくリーキを宿主とする
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phytophthora primulae
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレード8bに含まれる)
本種と異なりレタスではなくサクラソウ属植物を宿主とする
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

※このほか、「taxon castitis」および「taxon parsley」が本論文で検討されたが、データ不足のため、新種記載は見送られた(論文3行まとめには、新種記載論文の発表後反映予定)。