2014年11月2日 (仮訳)Postia loweiの素性およびその近縁種、類似種に関する記録 Vampola, P., Ordynets, A. & Vlasak, J., 2014, The identity of Postia lowei (Basidiomycota, Polyporales) and notes on related or similar species. Czech Mycology. Available at: http://www.czechmycology.org/_cmo/CM66102.pdf [Accessed November 1, 2014]. 【R3-01243】2014/11/02投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ 従来誤って解釈されてきたこともあったPostia loweiについて、プラハ国立博物館収蔵の豊富なタイプ標本を用いて再検討を行った。 肉眼的、顕微鏡的形質の詳細な記載を行うとともにITS領域に基づく分子系統解析を行った。 本種を扱った先行研究には肉の暗色の線やシスチジアの有無に関する記述が異なる例があり、多くの標本が誤同定されている可能性があるとした。 (その他掲載種) Postia lowei (Pilát ex Pilát) Jülich ※肉に顕著な暗色の線があることが本種の特徴だとする先行研究があったが、タイプ標本の検討ではそのような線は見出されなかった(そのような特徴を有するのは別種と考えられる)。 ※存在の有無が定かでなかったシスチジア(またはグレオシスチジア)は一部の標本で確かめられたが不明瞭で、識別形質としては用いることができないと見なされた。 【よく似た種との区別】 Postia leucomallella ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種より担子胞子の幅が僅かに狭い 本種と異なりグレオシスチジアが顕著で大型 ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Postia tephroleuca(オオオシロイタケ) 形態的に類似している(誤同定された例がある) ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種より子実体のサイズが通常ずっと大きい 本種より子実体がしっかりとしている 本種と異なり子実体の傷ついた箇所がさび色を呈さない 本種より担子胞子の幅がやや狭い 本種と異なり管孔実質に僅かにアミロイドの菌糸を含む ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Postia fragilis(シミタケ) 肉眼的形態が非常に類似している 子実体が初め白色 子実体が傷ついたり乾燥したりすると帯褐色に退色する 顕微鏡的形質が非常に類似している 本種より子実体がほとんどの場合よりしっかりとしている 本種より乾燥/傷害時の退色が顕著 本種と異なり子実体が硫酸鉄で呈色しないのではなく帯灰緑色(乾燥標本)~緑色(新鮮時)に呈色する 本種と異なり子実層から僅かに突出する薄壁のシスチジオールを欠く ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Postia lateritia 形態的に類似している(誤同定された例がある) 子実体が傷ついたり乾燥したりすると帯褐色に退色する 本種より担子胞子の幅が狭い 本種と異なり子実層にグレオシスチジアを欠く ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Postia balsamea(トドマツオオウズラタケ) 本種より担子胞子の幅が広い 本種と異なりシスチジアが円筒形・棍棒形・紡錘状ではなく紡錘形 本種と異なりシスチジアが薄壁ではなく薄壁~厚壁 本種と異なりシスチジアの頂部に付着物を伴うことがある Postia balsamina 本種より担子胞子の幅が広い 本種と異なりシスチジアが円筒形・棍棒形・紡錘状ではなく紡錘形 Postia ceriflua 本種より担子胞子の幅が顕著に広い 本種と異なり子実下層の菌糸が強くねじれ、多数の短い突起を有する菌糸からなる Postia floriformis(レンゲタケ) 本種より担子胞子の幅が広い 本種と異なりシスチジアを欠く Postia folluculocystidiata シスチジアが薄壁 本種より担子胞子のサイズがずっと大きい 本種と異なりシスチジアの上部がほとんどの場合球形~広棍棒形 本種と異なり楕円形厚壁の厚壁胞子を形成するアナモルフを有する ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Postia gloeocystidiata グレオシスチジアを有する 本種と異なり子実体が楔形 Postia minusculoides 同所的に分布する 同時期に発生する 本種と異なり子実体が微小 本種より担子胞子のサイズがずっと大きい 本種と異なり肉が薄壁の菌糸のみからなる 本種と異なり実質が薄壁の菌糸のみからなる Postia ptychogaster 傘の形態がやや類似している 本種より担子胞子の幅が広い 本種と異なり菌糸が常に薄壁 Postia subpendula 本種より担子胞子の幅が広い 本種と異なり実質に帯黄色の”gloeopherous hyphae”を含む Postia subundosa 肉眼的形態が類似している 顕微鏡的形質が類似している Postia undosa(ミヤマオシロイタケ) 本種より孔口のサイズがずっと大きい 本種と異なり孔口がしばしば迷路状 本種より担子胞子の幅がやや狭い Spongiporus rhodophilus 担子胞子のサイズが非常に類似している 担子胞子の形状が非常に類似している 本種と異なりFomitopsis roseaの古い子実体上に発生する 本種と異なり傘が波状 (その他の分類学的措置および知見) Postia cerifluaとP. minusculoidesをシノニムとする意見があるが、両者は厚壁の菌糸の有無および子実下層の菌糸の形態に基づき、明瞭に別種として区別されるとした。