(仮訳)南西ヨーロッパ産のクロサイワイタケ属3新種
Fournier, J. et al., 2011. Three new Xylaria species from southwestern Europe. Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-010-0671-8 [Accessed November 3, 2015].
【R3-02345】2015/11/03投稿

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3行まとめ

クロサイワイタケ属の3新種 (Xylaria cinereaX. karsticolaX. vasconica) を記載した。
X. cinereaはニュージーランド産未記載種、X. karsticolaおよびX. vasconicaは狭義のX. hypoxylonに近縁であった。
また、Xylaria arbuscula var. plenofissuraをヨーロッパ本土から初めて報告するとともに、カナリア諸島にX. arbuscula種複合体の種が分布することを初めて確かめた。
France, Pyrénées Atlantiques, Auterrive, Island of Gave d’ Oloron

(新種)

Xylaria cinerea J. Fournier & M. Stadler
語源…灰色の(子座表面の色から)
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【よく似た種との区別】
Xylaria longiana
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフランスおよびカナリア諸島ではなく米国などに分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Xylaria multiplex
子座表面に光沢のある黒色の小粒を伴う
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり西欧ではなく熱帯域に分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Xylaria arbuscula(エダウチクロサイワイタケ)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり西欧ではなく汎熱帯的に分布する(ヨーロッパでは温室に発生)
本種と異なり子座外層が白色~帯黄色ではなく灰色~黄褐色
本種と異なり子座が紡錘状円筒形ではなく短円筒形~僅かに紡錘形
本種と異なり子座表面が平坦~皺状ではなく平坦
本種と異なり子座表面の類白色の領域に光沢のある黒色の小粒を伴うという特徴を欠く
本種と異なり子座が革質ではなく炭質
本種と異なり孔口が円錐状乳頭形ではなく乳頭形~盤状
本種と異なり子嚢の先端構造が管状~壺形ではなく僅かに壺形
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
本種と異なり子嚢胞子の発芽溝が直線状、斜め、屈曲状で全長の4/5-2/3ではなく直線状~僅かに斜めで全長の2/3
本種と異なり子嚢胞子の片側末端に細胞状付属物を伴うという特徴を欠く
本種より子座の殻壁が厚い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
France, Ariège, Rimont, Las Muros

(新種)

Xylaria karsticola J. Fournier & M. Stadler
語源…カルストに生息する
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【よく似た種との区別】
Xylaria hypoxylon(クロサイワイタケ)
ヨーロッパに分布する
子座の頂部が尖る
子座表面に縦方向に亀裂が生じる
孔口が隆起する盤状
柄の基部が綿毛状
子座が革質
子嚢の先端構造が管状
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
子嚢胞子の発芽溝が直線状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフランスのみではなくスウェーデン、ドイツ、米国などにも分布する
本種と異なり子実体の発生時期が晩春~初夏ではなく初冬
本種と異なり子座が常に地中に生じるのではなく地上に生じる
本種と異なり子座の外層が淡褐色ではなく白色~灰色
本種と異なり子座がねじれるのではなく様々な形状をとる
本種と異なり子座表面が結節状で深い皺が生じるのではなく平坦
本種より柄が長い
本種より子嚢胞子の幅が広い
本種と異なり子嚢胞子がほぼ尖形でしばしば末端が僅かに縮むという特徴を欠く
本種と異なり子嚢胞子の発芽溝が全長にわたるのではなく4/5-1/2
本種と培養性状が異なる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Xylaria vasconica
同所的に分布する(フランス)
子実体の発生時期が晩春~初夏
子座の外層が淡褐色
子座表面が結節状で深い皺が生じる
子座が革質
子嚢の先端構造が管状
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフランスのみではなく米国にも分布する
本種と異なり子座が常に地中に生じるのではなく地上に生じる
本種と異なり子座がねじれるのではなく長円筒形
本種と異なり孔口が隆起した盤状ではなく円錐状乳頭形
本種と異なり子嚢胞子が楕円形~不等の楕円形ではなく不等の楕円形
本種と異なり子嚢胞子の末端が狭く丸い~尖形でしばしば僅かに縮むのではなく狭く丸い
本種と異なり子嚢胞子の発芽溝が全長にわたるのではなく4/5-2/3
本種と培養性状が異なる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
France, Ariège, Rimont, Las Muros

(新種)

Xylaria vasconica J. Fournier & M. Stadler
語源…バスク(ラテン語名Vasconia)の
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【よく似た種との区別】
Xylaria karsticola
同所的に分布する(フランス)
子実体の発生時期が晩春~初夏
子座の外層が淡褐色
子座表面が結節状で深い皺が生じる
子座が革質
子嚢の先端構造が管状
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり米国における分布が知られていない
本種と異なり子座が地上ではなく常に地中に生じる
本種と異なり子座が長円筒形ではなくねじれる
本種と異なり孔口が円錐状乳頭形ではなく隆起した盤状
本種と異なり子嚢胞子が不等の楕円形ではなく楕円形~不等の楕円形
本種と異なり子嚢胞子の末端が狭く丸いのではなく狭く丸い~尖形でしばしば僅かに縮む
本種と異なり子嚢胞子の発芽溝が4/5-2/3ではなく全長にわたる
本種と培養性状が異なる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Xylaria hypoxylon(クロサイワイタケ)
ヨーロッパ(・北米)に分布する
子座が細長い
子座の先端が尖形
子座の先端が不稔
柄の境界が明瞭でない
柄の基部が拡がったフェルト状
子座が革質
子嚢の先端構造が管状
子嚢胞子の発芽溝が直線状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりアナモルフの子座が生じるのが春~初夏ではなく多くの場合晩秋以降
本種と異なり子座外層が淡褐色ではなく白色~灰色
本種と異なり子座が常に長円筒形なのではなく扁平になったり分枝したりすることがある
本種と異なり子座が未熟時淡褐色という特徴を欠く
本種と異なり子座表面が強い結節状ではなく平坦
本種と異なり孔口が円錐状乳頭形ではなく隆起する盤状
本種より子嚢胞子の幅が広い
本種と異なり子嚢胞子の発芽溝が全長の4/5-2/3ではなく4/5-1/2
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Xylaria friesii
ヨーロッパに分布する
子座の形状が類似している
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
本種と異なりフランスおよび米国ではなく北欧に分布する
本種と異なり子座が常に長円筒形なのではなく二叉分岐する
本種と異なり柄が長い根状
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
Xylaria bulbosa
ヨーロッパに分布する
子座の形状が類似している
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
本種と異なりフランスおよび米国ではなく北欧に分布する
本種と異なり針葉樹のリターから生じる
本種より子座のサイズが小さい
本種と異なり子座が常に長円筒形なのではなく膨らんだ塊から生じる棍棒形
本種より子嚢胞子が淡色
Xylaria subterranea
アメリカに分布する
子座が長い糸状
子座表面が結節状
子嚢胞子のサイズの範囲が重なる
本種より子座のサイズが僅かに小さい
本種と異なり子嚢の先端リングが管状ではなく立方体状

(ヨーロッパ本土、フランス新産種)

Xylaria arbuscula var. plenofissura Y.M. Ju & Tzean
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