(仮訳)新種Tricholomopsis badinensisおよびT. sulphureoides – ヨーロッパの老齢林における2種の稀な菌類
Holec, J., Kunca, V. & Kolařík, M. 2019. Tricholomopsis badinensis sp. nov. and T. sulphureoides – two rare fungi of European old-growth forests. Mycological Progress. Available at: https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11557-018-1449-7 [Accessed May 31, 2020] 【R3-07368】2020/5/31投稿

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3行まとめ

スロバキアの老齢林においてモミの材に生じた菌を検討し、Tricholomopsis badinensisとして新種記載した。
本種は傘が明黄色~オリーブ黄色で綿毛状、微細な鱗片状~繊維状、担子胞子がほとんどの場合楕円形であることなどで特徴づけられた。
また、ポーランドの原生林に産したT. sulphureoidesの標本を記述し、本種の分布と生態をまとめるとともに、ヨーロッパ産の赤色または紫色を帯びない本属菌の予備的な検索表を作成した。
Slovakia, Kremnické vrchy Mts, S of the city of Banská Bystrica, Badínsky prales National Nature Reserve

(新種)

Tricholomopsis badinensis Holec, Kolařík & Kunca
語源…バディン産の
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【よく似た種との区別】
Tricholomopsis decora(キサマツモドキ)
ヨーロッパに分布する
傘表面が鱗片状
柄表面が鱗片状
担子胞子のサイズの範囲が重なる
担子胞子の形状が類似している
本種と異なり傘の地の色が淡黄色~硫黄色でのちに暗黄色、オリーブ黄色、褐黄色なのではなく黄色~橙色
本種と異なり傘表面が綿毛状~微細な鱗片状で老成すると微細な繊維状~粗い繊維状なのではなく顕著な鱗片状
本種と異なり傘表面の鱗片が橙黄色~褐黄色でのちに黄褐色~オリーブ褐色なのではなくオリーブ褐色~オリーブ黒色
本種と異なり担子胞子がほとんどの場合楕円形~広楕円形
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tricholomopsis sulphureoides
スロバキアに分布する
同じモミ属植物に生じる
担子胞子のサイズの範囲が重なる
担子胞子の形状が類似している
本種と異なり米国、カナダ、エストニア、ポーランド、ノルウェー、ロシアなどにおける分布が知られている
本種と異なりトウヒ属植物から生じることがある
本種より担子胞子が通常僅かに短い
本種と異なり担子胞子が楕円形~ほぼ円筒形ではなく類球形~広楕円形
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Tricholomopsis sulphureoides (Peck) Singer
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【よく似た種との区別】
Tricholomopsis flavescens
北米に分布する
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘が白色または淡黄色
本種と異なり傘表面が鱗片状ではなく平滑
本種より担子胞子が短い
本種と異なり担子胞子が類球形~広楕円形で稀に楕円形
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tricholomopsis aurea
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘表面が鱗片状ではなく平滑
本種より担子胞子が短い
本種より担子胞子の形状が丸い
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tricholomopsis badinensis
スロバキアに分布する
同じモミ属植物に生じる
担子胞子のサイズの範囲が重なる
担子胞子の形状が類似している
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり米国、カナダ、エストニア、ポーランド、ノルウェー、ロシアなどにおける分布が知られていない
本種と異なりトウヒ属植物から生じることが知られていない
本種より担子胞子が通常僅かに長い
本種と異なり担子胞子が類球形~広楕円形ではなく楕円形~ほぼ円筒形
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される