(仮訳)アラスカの小川から見出されたTricladium属2新種
Gulis, V., Baschien, C. & Marvanová, L. 2012. Two new Tricladium species from streams in Alaska. Mycologia. Available at: https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.3852/12-081 [Accessed November 28, 2019] 【R3-06811】2019/11/27投稿

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3行まとめ

アラスカの小川において沈んだスゲから分離された水生不完全菌の2種を検討し、Tricladium kelleriおよびT. alaskenseとして新種記載した。
両種とも分生子形成細胞がシンポジオ状であり、前者はコロニーが帯黒色、後者は分生子側面に0-4つの枝を有することなどで特徴づけられた。
両種は分生子の形態が互いに大きく異なっていたが、分子系統解析では近縁で、ともにビョウタケ目クレードに含まれた。
USA, Alaska, Hershey Creek near Toolik Lake Field Station

(新種)

Tricladium kelleri Gulis & Marvanová
語源…Keller Suberkropp博士に献名
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【よく似た種との区別】
Tricladium minutum
形態的に類似している(当初この種に同定された)
分生子のサイズが類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり分生子形成細胞が貫生伸長するという特徴を欠く
本種より分生子の主軸の幅が広い
本種より分生子の枝および主軸の遠位が強く先細りになる
本種と異なりコロニーが帯黒色ではなく淡褐色~褐色
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tricladium angulatum
河川に生息する
分生子形成様式が多出芽のシンポジオ型
本種と異なり陸上から分離された例がある
本種と異なりコロニーが帯黒色ではなく白色~帯黄色
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tricladium alaskense
同所的に分布する(アラスカ)
河川に生息する
同じスゲ属植物から分離される
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と分生子の形態が大きく異なる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
USA, Alaska, Hershey Creek near Toolik Lake Field Station

(新種)

Tricladium alaskense Gulis & Marvanová
語源…アラスカの
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【よく似た種との区別】
Tricladium kelleri
同所的に分布する(アラスカ)
河川に生息する
同じスゲ属植物から分離される
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と分生子の形態が大きく異なる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Varicosporium delicatum
水生菌である
沈んだ葉のリターから分離される
有性世代が知られていない
分生子の形状が類似することがある
本種と異なり分生子が類紡錘形の細胞からなる
本種より分生子の二次分枝の数が多く、三次分枝を有することもある
本種と異なり分生子が先細りにならない
本種より分生子の分枝部位の狭窄が顕著である
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tricladium angustum
分生子の形態が類似することがある
本種と異なり水生ではなく陸上から分離される
本種と異なりスゲではなく樹木の腐朽葉から分離される
本種と異なり分生子柄がほとんどの場合節間生である
本種と異なりコロニーが淡色である
Tricladiella pluvialis
分生子の形態が類似することがある
本種と異なり河川ではなく樹木からの雨水から分離される
本種と異なり分生子柄が半分化分生子柄ではなく未分化分生子柄である
本種より分生子のサイズがかなり小さい
本種と異なり分生子が円筒形の細胞からなる
Lambdasporium lushanense
本種と異なり分生子柄が半分化分生子柄ではなく未分化分生子柄である
本種と異なり分生子が円筒形の細胞からなる
Ramulispora sorghicola
本種と異なりアラスカではなく熱帯域などに分布する
本種と異なり水生菌でない
本種と異なりスゲ属ではなくモロコシ属植物を宿主とする
本種と異なり宿主に対する病原性が知られている