(仮訳)狭義ニガイグチ属菌の包括的な系統解析においてドミニカ共和国で見出された新種Tylopilus griseiolivaceusおよび再検討されたT. leucomycelinus
Gelardi, M. et al., 2019. Tylopilus griseiolivaceus sp. nov. and T. leucomycelinus (Boletaceae) revisited from the Dominican Republic within a comprehensive phylogeny of Tylopilus s. str. Mycological Progress. Available at: https://link.springer.com/article/10.1007/s11557-019-01513-2 [Accessed May 9, 2020] 【R3-07300】2020/5/9投稿

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3行まとめ

ドミニカ共和国において狭義のニガイグチ属菌を調査し、Tylopilus griseiolivaceusを新種記載した。
また、T. leucomycelinusを再検討し現代的観点での記載文を掲載するとともに、エピタイプ標本を選定した。
分子同定に基づき、この種をドミニカ共和国およびベリーズにおける新産種として報告した。
Dominican Republic,  La Vega Province, Jarabacoa

(新種)

Tylopilus griseiolivaceus Angelini, Gelardi, Costanzo & Vizzini
語源…灰オリーブ色の(傘の色から)
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【よく似た種との区別】
Tylopilus hondurensis
中米に分布する
形態的に類似している
本種と異なりドミニカ共和国および米国ではなくホンジュラスに分布する
本種と異なり傘が灰オリーブ色ではなく淡黄褐色
本種と異なり子実層托が帯黄色
本種と異なり柄の基部が帯赤色
本種と異なり柄表面が微細な網目状
本種と異なり刺激臭がある
本種より担子胞子が長い
本種よりシスチジアのサイズが小さい
本種と異なり傘表皮の末端細胞が短円筒形~紡錘状または類棍棒形~棍棒形
本種と異なり傘表皮の末端細胞表面が平滑
Tylopilus mitissimus
中米に分布する
本種と異なりドミニカ共和国および米国ではなくコスタリカなどに分布する
本種と異なりマツではなくオークを宿主とする
本種と異なり傘がチョコレート褐色~紫褐色
本種と異なり柄が老成すると帯灰クリーム色になる
本種と異なり柄基部の肉が灰色~帯黒色
本種より縁シスチジアのサイズが小さい
本種と異なり縁シスチジアが非アミロイド
本種より傘表皮の末端細胞の幅が狭い
本種と異なり傘表皮の末端細胞表面が平滑
Tylopilus rhoadsiae
北米に分布する
形態的に類似している
子実体に苦味がある
本種と異なり傘が初め類白色
本種と異なり傘表面が無毛~ビロード状
本種と異なり柄が間もなく淡い黄褐桃色、帯桃黄褐色、または帯灰黄褐色~汚褐色を帯びる
本種と異なり柄表面に顕著かつ粗い網目を有する
本種より担子胞子が僅かに長い
本種より担子胞子の幅が僅かに狭い
本種より子実層シスチジアの幅が狭い
本種より傘表皮の菌糸の幅が僅かに狭い
本種と異なり傘表皮の菌糸表面が平滑
本種より柄シスチジアのサイズが大きい
Tylopilus peralbidus
北米に分布する
形態的に類似している
子実体に苦味がある
本種と異なり傘が初め類白色
本種と異なり柄が間もなく淡い黄褐桃色、帯桃黄褐色、または帯灰黄褐色~汚褐色を帯びる
本種と異なり肉が傷つくと暗色になる
本種と異なり子実体に漂白剤の臭いがある
本種より担子胞子の幅が狭い
本種と異なり担子胞子が類ソーセージ形
本種より傘表皮の末端細胞の幅が狭い
本種と異なり傘表皮の末端細胞表面が平滑
Tylopilus intermedius
北米に分布する
形態的に類似している
子実体に苦味がある
本種より子実体のサイズが大きい
本種より傘のサイズが大きい
本種と異なり傘が初め類白色
本種と異なり傘表面が皺状
本種と異なり柄が間もなく淡い黄褐桃色、帯桃黄褐色、または帯灰黄褐色~汚褐色を帯びる
本種と異なり柄の上部表面に微かな網目を有する
本種と異なり肉が触れたり傷ついたりすると緩やかに褐変する
本種より担子胞子が長い
本種と異なり表皮が非常に薄い
本種と異なり傘表皮の末端細胞表面が平滑
Tylopilus rhodoconius
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘が初めから淡黄褐色、黄褐色~褐色または帯赤褐色
本種と異なり柄が初めから淡黄褐色、黄褐色~褐色または帯赤褐色
本種と異なり肉がクリーム白色で無色の大理石模様がある
本種と異なり肉が露出すると帯桃色になる
本種と異なり子実体表面が触れると速やかに暗褐色になる
本種と異なり子実体にやや塩素臭がある
本種より担子胞子の幅が狭い
本種より縁シスチジアのサイズが小さい
本種より傘表皮の末端細胞の幅がやや狭い
本種と異なり傘表皮の末端細胞表面が平滑
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tylopilus praeanisatus
米国に分布する
本種と異なり傘が黄褐色~暗褐色
本種と異なり肉が傷つくと褐変する
本種と異なり子実体に強いアニス臭がある
本種より担子胞子の幅が狭い
本種と異なり担子胞子が類ソーセージ形
本種より縁シスチジアの幅が狭い
本種と異なり縁シスチジアが槍形~紡錘状
本種より傘表皮の菌糸の幅が僅かに狭い
本種と異なり傘表皮の菌糸頂部に結晶を伴わない
Tylopilus isabellescens
米国に分布する
本種と異なり傘が黄褐色~暗褐色
本種と異なり肉が傷つくと褐変する
本種より担子胞子の幅が狭い
本種と異なり担子胞子が類ソーセージ形
本種より傘表皮の菌糸の幅が僅かに狭い
本種と異なり傘表皮の菌糸頂部に結晶を伴わない
本種より柄シスチジアの幅が広い
Tylopilus argillaceus(アシボソニガイグチ)
本種と異なりマツではなくブナ科植物の樹下に生じる
本種と異なりドミニカ共和国および米国ではなく日本など東アジアに分布する
本種と異なり傘が帯桃褐色~暗い帯赤褐色
本種と異なり傘表面が無毛~綿毛状
本種と異なり柄が帯桃褐色~暗い帯赤褐色
本種と異なり柄表面が無毛~綿毛状
本種と異なり肉が傷つくと赤変する
本種より担子胞子のサイズがやや小さい
本種と異なり傘表皮の末端細胞の幅が狭い
本種と異なり傘表皮の末端細胞が棍棒形~類紡錘形
本種と異なり傘表皮の末端細胞表面が平滑
Tylopilus felleus(ニガイグチ)
北米に分布する
マツ科植物の樹下に生じる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりヨーロッパ、東アジアなどにおける分布が知られている
本種と異なりブナ科植物の樹下や腐朽した切り株に生じることがある
本種より子実体のサイズが大きい
本種より傘のサイズが大きい
本種と異なり傘が煙草色、黄褐色~帯褐黄色またはオリーブ褐色
本種と異なり傘表面に小鱗片を伴わず小区画状でもない
本種より柄の最大サイズが大きい
本種と異なり柄が煙草色、黄褐色~帯褐黄色またはオリーブ褐色
本種と異なり柄が便腹状~棍棒形で基部がしばしば節状
本種と異なり柄表面が粗い網目状
本種より担子胞子が長い
本種より傘表皮菌糸の幅が狭い
本種と異なり傘表皮の末端細胞頂部に結晶を伴わない
本種より柄シスチジアのサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Dominican Republic,  La Vega Province, Jarabacoa

(ドミニカ共和国、ベリーズ新産種)

Tylopilus leucomycelinus (Singer & M.H. Ivory) R. Flores & Simonini
※本種のエピタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Tylopilus oradivensis
中米に分布する
本種と異なりマツ属ではなくコナラ属植物を宿主とする
本種より子実体のサイズが小さい
本種より傘のサイズが小さい
本種と異なり傘が通常より明るい帯赤橙色~トマト色または緋赤色
本種と異なり柄が通常より明るい帯赤橙色~トマト色または緋赤色
本種より担子胞子が長い
本種より担子胞子の幅が僅かに狭い
本種と異なり担子胞子が類紡錘形~紡錘形
本種より側シスチジアのサイズが大きい
Tylopilus dunensis
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりブラジルに分布する
本種と異なり柄が類白色~淡いクリーム黄色
本種と異なり肉がクリーム色
本種より担子胞子が長い
本種より担子胞子の幅が狭い
本種と異なり傘表皮が粘質毛状被
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tylopilus pseudoballoui
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりマツ属ではなくコナラ属植物の樹下に生じる
本種と異なり傘が橙黄色~帯褐黄色
本種と異なり傘表面に粘性を有する
本種より担子胞子が僅かに長い
本種と異なり傘表皮が粘質毛状被
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Rubinoboletus balloui var. viscidus
本種と異なりオーストラリアに分布する
本種と異なり傘表面が平滑で粘性を有する
本種より担子胞子が長い
本種と異なり傘表皮が粘質毛状被
Rubinoboletus caespitosus
本種と異なりオーストラリアに分布する
本種と異なりマツ属ではなくフトモモ科植物の樹下に生じる
本種と異なり子実体が叢生する
本種より担子胞子のサイズが大きい