(仮訳)フィンランドおよびノルウェー産の新種の地衣Verrucaria tenebrosa、およびV. hydrophila複合種に含まれる着生性分類群の分類について
Pykälä, J. et al., 2018. Verrucaria tenebrosa (Verrucariaceae), a new lichen species from Finland and Norway, and notes on the taxonomy of epiphytic taxa belonging to the V. hydrophila complex. Phytotaxa. Available at: https://doi.org/10.11646/phytotaxa.361.2.6 [Accessed August 3, 2018].
【R3-05365】2018/8/3投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

フィンランドおよびノルウェーで採集された地衣の一種を検討し、Verrucaria tenebrosaとして新種記載した。
本種はこの属で最も日陰に発生する性質を有し、地衣体が薄くて色の変異が大きく、被子器が疎らに生じ、子嚢胞子の幅が比較的広いことなどで特徴づけられた。
また、V. hydrophilaV. lignicolaと近縁であることを示し、V. lignicolaV. sublobulataと同種とする仮説を棄却した。
Finland, Koillismaa, Kuusamo, Juuma, Oulanka National Park, Hautaniitynvuoma

(新種)

Verrucaria tenebrosa Pykälä, Launis & Myllys
語源…暗い(日陰に発生することから)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Verrucaria infumata
本種と異なり地衣体が通常暗褐色
本種と異なり被子器が地衣体に薄く覆われるという特徴を欠く
本種と異なり初生菌糸がしばしば良好に視認される
本種と異なり果殻の壁がしばしば暗色なのではなく淡色
本種より被子器外殻が薄い
Verrucaria hydrophila
フィンランドに分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より被子器の密度が大きい
本種と異なり被子器が地衣体に薄く覆われるのではなく3/4から全てが地衣体に埋生する
本種と異なり果殻の壁がしばしば暗色なのではなく淡色
本種より被子器外殻が薄い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Verrucaria placida
ノルウェーに分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりイギリス、ドイツなどに分布する
本種より地衣体が薄い
本種と異なり被子器が地衣体に薄く覆われるのではなく3/4から全てが地衣体に埋生する
本種より果殻のサイズが大きい
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Verrucaria dolosa
フィンランドに分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりイギリス、エストニアなどに分布する
本種より被子器のサイズが小さい
本種と異なり果殻の壁がしばしば暗色なのではなく淡色
本種より子嚢胞子のサイズが明らかに小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Verrucaria inaspecta
石灰岩に発生する
本種と異なりフィンランドおよびノルウェーではなくスウェーデンなどに分布する
本種と異なり地衣体が通常緑色または淡褐色で暗褐色ではない
本種より被子器のサイズが小さい
本種と異なり初生菌糸を欠く
本種より子嚢胞子の幅が狭い
本種と異なり果殻の壁がしばしば暗色なのではなく淡色
Verrucaria floerkeana
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
本種と異なり果殻の壁がしばしば暗色なのではなく淡色
本種より被子器外殻が薄い

(その他掲載種)

Verrucaria lignicola Zschacke
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Verrucaria hydrophila
フィンランドに分布する
植物に着生することがある
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じV. hydrophila複合種に含まれる)
本種と異なり通常岩上生である
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
本種より果殻のサイズが大きい
本種より周糸状体が長い傾向にある
本種より被子器外壁が果殻から強く”diverging”する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Verrucaria corticola
生息環境が類似している
形態的に類似している(混同のおそれがある)
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
Verrucaria trabicola
生息環境が類似している
形態的に類似している(混同のおそれがある)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より被子器のサイズが大きい
本種より子嚢胞子のサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Verrucaria rhizicola
生息環境が類似している
形態的に類似している(混同のおそれがある)
本種より子嚢胞子のサイズが小さい