(仮訳)ビョウタケ目の新属新種Xerombrophila crystallifera
Baral, H-O. et al., 2013. Xerombrophila crystallifera, a new genus and species in the Helotiales. Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-012-0854-6 [Accessed May 16, 2014].
【R3-00716】2014/05/16投稿

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3行まとめ

ヨーロッパの温帯域に広く分布し、ヤナギ属の材に特異的に発生する菌を新属新種Xerombrophila crystalliferaとして記載した。
本種は托髄層が強くゼラチン化し、正八角形の結晶を多数含み、乾燥耐性を持つことなどで特徴づけられた。
分子系統解析では本種は広義のビョウタケ科クレードに含まれ、肉眼的形態が類似するPezicula属やOmbrophila属とは比較的遠縁であった。
Germany, Mecklenburg, Rehna, Radegasttal

(新種)

Xerombrophila crystallifera Baral, G. Marson & Unter.
語源…乾燥のOmbrophila属(発生環境と形態の類似性から)/結晶を持つ
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Neobulgaria pura(ニカワチャワンタケ)
子嚢の先端リングがアミロイドのCalycina
本種と異なり定期的に乾燥する枝を基質とするという特徴を欠く
本種と異なり子嚢盤が帯黄色でない
本種と異なり正八角形の結晶を大量に含むという特徴を欠く
Ombrophila rivulorum
子嚢の先端リングがアミロイドのCalycina
本種と異なり定期的に乾燥する枝を基質とするという特徴を欠く
本種と異なり子嚢盤が帯黄色でない
本種と異なり正八角形の結晶を大量に含むという特徴を欠く
Phaeohelotium spp.
肉眼的形態が類似している
子嚢盤が黄色~黄褐色
柄が短い
本種と異なり正八角形の結晶を大量に含むという特徴を欠く
Bisporella citrina(ビョウタケ)
子嚢盤が黄色
子嚢の先端リングがアミロイドのCalycina
LSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり托髄層がゼラチン化しない
本種と異なり外皮層が強くゼラチン化する
本種と異なり結晶を含まない
LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pezoloma spp.
外皮層の形態が類似している
ゼラチン質の”covering layer”を持つ
本種と異なり樹皮ではなく地上に発生する
本種と異なり典型的には子嚢盤の縁部に長い針を持つ
本種と異なり托髄層がゼラチン化しない
本種と異なり側糸にVBs (refractive vacuolar bodies) を欠く
本種と異なり結晶を含まない
Tatraea spp.
湿った基質に発生する
本種と異なり子嚢の先端リングがAscocoryne属のものに近い
本種と異なり組織がゼラチン化しない
本種と異なり結晶を含まない
Pezicula spp.
本種と異なりゼラチン質の層を欠く
本種と子嚢の先端リングの型が異なる
本種と異なり側糸にVBs (refractive vacuolar bodies) を欠く
本種と異なり側糸が色素を含む滲出物に覆われる
本種と異なり外皮層の細胞が色素を含む滲出物に覆われる
Zugazaea agyrioides
托髄層がゼラチン化する
本種と異なり樹皮ではなく樹皮の剥がれた材に発生する
本種と異なり子実層面が凸状
本種と異なり柄を欠く
本種と異なり子嚢がアミロイドではなく非アミロイド
本種と異なり側糸が上部で分枝する
本種と異なり側糸にVBs (refractive vacuolar bodies) を欠く
本種と異なり結晶を含まない
本種と異なり外皮層に黄金色の滲出物の塊を含む
Helotium canum
ヤナギ属樹木の枝に発生する
子嚢盤が群生する
子嚢盤のサイズの範囲が重なる
子嚢盤の色が類白色~黄灰色で類似している
短く太い柄を持つ
子実層の顕微鏡的形質がかなり一致する
本種より子嚢胞子の幅が顕著に大きい
本種と異なり子嚢胞子に粒状の内容物を含む
本種より側糸が細い
本種と異なり外皮層が紡錘菌組織からなる
本種と異なり結晶を含まない

(その他の分類学的知見)

  • 分子系統解析の結果から、GelatinodiscusChloroscyphaのシノニムである可能性が示唆された。
  • Helotium canumHymenoscyphus laetusのシノニムである可能性があるとした。