2025年3月2日 (仮訳)トウヒ属樹木の花粉錐に寄生するキンカクキン科の新属新種、Microstrobilinia castrans Beenken, L. et al. 2023. Microstrobilinia castrans, a new genus and species of the Sclerotiniaceae parasitizing pollen cones of Picea spp. Mycological Progress. Available at: https://link.springer.com/article/10.1007/s11557-023-01865-w [Accessed March 1, 2025] 【R3-12574】2025/3/2投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ ヨーロッパにおいて3種のトウヒ属樹木の球果(花粉錐)に発生した寄生菌の一種を検討し、新属新種Microstrobilinia castransとして記載した。 本種は花粉錐に寄生する菌として初めて報告された種であり、花粉粒に感染して基質に子座を形成し、子嚢が4胞子性で先端構造を欠き、子嚢胞子がレモン形で成熟時16個の核を含むことなどで特徴づけられた。 また、本種は標高によって異なるトウヒ属樹木に選好性を示し、分子系統解析ではキンカクキン科クレードに含まれた。 Switzerland, Canton Zurich, Birmensdorf, arboretum of the Swiss Federal Research Institute WSL (新種) Microstrobilinia castrans Beenken & Andr. Gross 語源…(属名)小さな球果(花粉錐のことを指す植物学用語)/(種小名)去勢する(雄花を子座化して花粉を放出できなくする性質から) 【よく似た種との区別】 Elliottinia kerneri スイスに分布する 同じマツ科植物を宿主とする 雄花に寄生する ITS+nrLSU+nrSSU+RPB2+TEF1に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりトウヒ属ではなくモミ属樹木に生じる 本種と異なり菌核を形成する ITS+nrLSU+nrSSU+RPB2+TEF1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Kohninia linnaeicola 子嚢が4胞子性 本種と異なり子嚢がSclerotinia型 本種と異なり子嚢胞子が楕円形 本種と異なり子嚢胞子の核の数が16個ではなく4個 Sclerotinia glacialis 子嚢が4胞子性 本種と異なり子嚢がSclerotinia型 本種と異なり子嚢胞子が楕円形 本種と異なり子嚢胞子の核の数が16個ではなく1(-2)個 Sclerotinia tetraspora 子嚢が4胞子性 本種と異なり子嚢がSclerotinia型 本種と異なり子嚢胞子が楕円形 本種と異なり子嚢胞子の核の数が16個ではなく4-8個 Gemmamyces piceae 同じトウヒ属樹木を宿主とする 花粉錐に類似の症状を引き起こす 本種と異なり子座を形成しない 本種と異なり子嚢果が子嚢盤ではなく子嚢殻である 本種と異なり分生子果を形成する 本種と異なり菌糸が花粉粒内へ侵入しない Cenangium ferruginosum ヨーロッパに分布する 同じマツ科植物を宿主とする 子嚢に先端構造を欠く 本種と異なりスイス、ドイツ、イタリア、フランスではなくモンテネグロなどに分布する 本種と異なりトウヒ属ではなくマツ属樹木などを宿主とする 本種と異なり枯れた枝や小枝に発生する ITS+nrLSU+nrSSU+RPB2+TEF1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される