2015年1月25日 (仮訳)最も重要かつ栽培されるキクラゲ属のきのこ、「黒木耳(キクラゲ)」の種の解明:形態および分子データに基づく実証 Wu, F. et al., 2014. Species clarification of the most important and cultivated Auricularia mushroom “Heimuer”: evidence from morphological and molecular data. Phytotaxa. Available at: http://www.biotaxa.org/Phytotaxa/article/view/phytotaxa.186.5.1/0 [Accessed January 24, 2015]. 【R3-01496】2015/01/25投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ Auricularia auricula-judae種複合体および近縁種の形態学的検討およびITS、nrLSUに基づく分子系統解析を実施した。 中国でA. auricula-judaeと呼ばれていた種がヨーロッパ産のものと異なることを示し、A. heimuerとして新種記載した(本種は東アジアに広く分布すると見られた)。 中国からA. auricula-judaeが見出されなかった一方、中国新産種としてA. americanaおよびA. villosulaが報告された。 ※本論文における新種(中国および日本産の「キクラゲ」)は、Looney et al. (2013)(R3-00042) で暫定的に「クレードII」と呼ばれていた系統に相当する(当該論文では分子系統解析のみで標本は検討せず)。また、当該系統はMalysheva & Bulakh (2014) (R3-01498) でも検討されたが、髄層の有無(不安定な形質と見なされた)のほかに形態的差異が見出されなかったため、新種記載が控えられていた。 中国黒竜江省牡丹江市海林市 (新種) Auricularia heimuer F. Wu, B.K. Cui, Y.C. Dai キクラゲ 語源…キクラゲの中国語名、黒木耳 (hēimù’ěr) より 【よく似た種との区別】 Auricularia auricula-judae 被子植物を宿主とする ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり中国に分布しないと見られる 本種より担子器が長い 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種より担子胞子のQ値が大きい 本種より子実層背面の毛が長い 本種と異なり髄層を欠く ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Auricularia villosula 中国およびロシアに分布する 被子植物を宿主とする 子実体が肉質 担子器のサイズの範囲が重なる ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種より中国における分布域が広い(亜寒帯~温帯ではなく亜寒帯~熱帯) 本種と異なり子実層面が帯ワイン灰色~暗灰色ではなく淡褐色~暗褐色 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種より子実層背面の毛が短い 本種と異なり髄層を欠く ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Auricularia americana 中国に分布する 髄層を有する(ただし、欠くとする報告もある) ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり被子植物ではなく針葉樹のみを宿主とする 本種と異なり子実層面が平滑で皺襞状になることがない 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種より担子胞子のQ値が大きい ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (中国新産種) Auricularia villosula Malysheva 【よく似た種との区別】 Auricularia heimuer(キクラゲ) 中国およびロシアに分布する 被子植物を宿主とする 子実体が肉質 担子器のサイズの範囲が重なる ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種より中国における分布域が狭い(亜寒帯~熱帯ではなく亜寒帯~温帯) 本種と異なり子実層面が淡褐色~暗褐色ではなく帯ワイン灰色~暗灰色 本種より担子胞子のサイズが小さい 本種より子実層背面の毛が長い 本種と異なり髄層を有する ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Auricularia auricula-judae 被子植物を宿主とする 髄層を欠く(ただし有するという報告もある) ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり被子植物ではなく針葉樹のみを宿主とする 本種より子実体のサイズが大きい 本種より担子器が長い 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種より子実層背面の毛のサイズが大きい ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Auricularia americana 中国に分布する 担子胞子のサイズの範囲が重なる ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり被子植物ではなく針葉樹のみを宿主とする 本種より担子器が長い 本種より子実層背面の毛が長い 本種と異なり髄層を有する(ただし欠くという報告もある) ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (中国新産種) Auricularia americana Parmasto & I. Parmasto 【よく似た種との区別】 Auricularia heimuer(キクラゲ) 中国に分布する 髄層を有する(ただし、本種は欠くとする報告もある) ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり針葉樹のみではなく被子植物を宿主とする 本種と異なり子実層面が皺襞状になることがあるのではなく常に平滑 本種より担子胞子のサイズが小さい 本種より担子胞子のQ値が小さい ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Auricularia auricula-judae ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり針葉樹のみではなく被子植物を宿主とする 本種より子実層背面の毛のサイズが大きい ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Auricularia villosula 中国に分布する 担子胞子のサイズの範囲が重なる ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり針葉樹のみではなく被子植物を宿主とする 本種より担子器が短い 本種より子実層背面の毛が短い 本種と異なり髄層を欠く(ただし本種が欠くという報告もある) ITSおよびITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される