2025年2月16日 (仮訳)日本産のEntoloma quadratum–Murrayi複合種の2新種 Sato, H., Satomi, O. & Sugiyama, Y. 2025. Two new species of the Entoloma quadratum–Murrayi complex in Japan. PLOS ONE. Available at: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0302695 [Accessed February 16, 2025] 【R3-12533】2025/2/16投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ 日本産のEntoloma quadratum–Murrayi複合種について検討し、E. kermesinumとE. flavescensの2新種を記載した。 両種は従来混同されてきた北米産のE. quadratumやE. murrayiとは別種であることが分子系統解析と集団遺伝学的解析で明らかになった。 前者は傘が深紅~褐赤色繊維状、後者は傘がレモンイエロー~黄褐色で光沢を有することなどで特徴づけられ、特に前者は花崗岩質土壌などの栄養分の少ない土壌を好み、分布が日本に限定される可能性があることが指摘された。 滋賀県大津市田上 (新種) Entoloma kermesinum Hirot. Sato 語源…深紅色の 【よく似た種との区別】 Entoloma quadratum 形態的に類似している(従来混同されてきた) ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり日本ではなく米国、カナダなどに分布する 本種と異なり傘が深紅色~濃赤色ではなく橙黄色~橙鮭肉色 本種より担子胞子のサイズが小さい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma kovalenkoi アジアに分布する 形態的にいくぶん類似している ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり日本ではなくベトナムなどに分布する 本種と異なり傘が深紅色~濃赤色ではなく明橙色 本種と異なり傘に明確な乳頭突起を欠く ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma flavescens 日本に分布する 形態的に類似している(多少混同されることもある) nrLSU、ITS、および21種類の核内単一コピー遺伝子の連結配列に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり中国、ロシアにおける分布が知られている 本種と異なり傘が深紅色~濃赤色ではなくレモンイエロー~黄色または黄褐橙色 本種と異なり傘表面が繊維状で類白色の繊維状鱗片を伴うのではなく光沢のある絹状 本種より担子胞子のサイズが僅かに小さい 本種と異なり傘表皮に斜上する菌糸の束を欠くかほとんど欠く Entoloma album(シロイボカサタケ) 日本に分布する nrLSU、ITS、および21種類の核内単一コピー遺伝子の連結配列に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり中国、韓国における分布が知られている 本種と異なり子実体が白色 本種と異なり傘が深紅色~濃赤色ではなく類白色 本種と異なり傘表面が繊維状で類白色の繊維状鱗片を伴うのではなく光沢のある絹状 本種より担子胞子のサイズが小さい 本種より縁シスチジアの幅が狭い nrLSU、ITS、および21種類の核内単一コピー遺伝子の連結配列に基づく分子系統解析で明瞭に区別される 京都府京都市左京区吉田山 (新種) Entoloma flavescens Hirot. Sato 語源…黄色の 【よく似た種との区別】 Entoloma murrayi(キイボカサタケ) 形態的に類似している(従来混同されてきた) ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり日本、中国、ロシアではなく米国、カナダなどに分布する 本種より担子胞子のサイズが小さい 本種と異なり菌糸にクランプが豊富ではなく稀である ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma quadratum 子実体が黄褐色~橙黄褐色のことがある ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり日本ではなく米国、カナダなどに分布する 本種と異なり傘表面が光沢のある絹状でない 本種より担子胞子のサイズが小さい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma luteum(ウスキイボカサタケ) ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり日本、中国、ロシアではなくカナダなどに分布する 本種と異なり傘頂部に鋭い突起を有するという特徴を欠く 本種ほど傘の色が鮮やかでない 本種より縁シスチジアがずっと長い ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Entoloma album Hiroë シロイボカサタケ 【よく似た種との区別】 Entoloma cycneum アジアに分布する ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり日本ではなくベトナムなどに分布する 本種と異なり傘に明確な吸水性を有する 本種より担子胞子のサイズが小さい 本種より縁シスチジアが長い ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma peristerinum アジアに分布する ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり日本ではなくベトナムなどに分布する 本種と異なり傘に明確な吸水性を有する 本種より担子胞子のサイズが小さい 本種より縁シスチジアが長い ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma flavescens 日本に分布する 形態的に類似している(本種の品種として扱われてきた) nrLSU、ITS、および21種類の核内単一コピー遺伝子の連結配列に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり韓国における分布が知られていない 本種と異なり子実体が類白色で傘の乳頭突起を除いて決して帯黄色になることがないのではなくレモンイエロー~黄色または黄褐橙色 本種より縁シスチジアの幅が広い 本種より傘表皮菌糸の幅が広い nrLSU、ITS、および21種類の核内単一コピー遺伝子の連結配列に基づく分子系統解析で明瞭に区別される