(仮訳)高塩性/乾燥環境から分離されたphialosimplex類似の形態を有する好塩菌の2新種、Aspergillus atacamensisおよびA. salisburgensis
Martinelli, L. et al., 2017. Aspergillus atacamensis and A. salisburgensis: two new halophilic species from hypersaline/arid habitats with a phialosimplex‑like morphology. Available at: https://link.springer.com/article/10.1007/s00792-017-0941-3 [Accessed May 7, 2021] 【R3-08391】2021/5/7投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

オーストラリアの岩塩鉱山において木の階段から分離された菌と、チリのアタカマ砂漠の洞窟においてバイオフィルムおよび土壌から分離された菌を検討し、それぞれAspergillus salisburgensisA. atacamensisとして新種記載した。
両種はいずれもPolypaecilum亜属に近縁とみられ、好塩菌で生長に10-25%の塩化ナトリウムを必要とした。
また、Sagenomella keratitidisAspergillus属に移した。
Austria, Salzkammergut region (Hallstatt)

(新種)

Aspergillus salisburgensis P. Zalar, L. Martinelli & G. Piñar
語源…ザルツブルク産の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Aspergillus atacamensis
フィアライドのサイズの範囲が重なる
分生子が単生または鎖生する
菌核を形成しない
25% NaCl添加培地で生育可能
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストリアではなくチリに分布する
本種と異なり木の階段ではなく洞窟の土壌およびバイオフィルムから分離される
本種より分生子のサイズが大きい
本種と異なり分生子が類球形ではなく球形
本種より菌糸の幅が狭い
本種より菌糸の隔壁の間隔が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Aspergillus salinarus
オーストリアに分布する
塩鉱の木の階段から分離される
形態的にほとんど識別できないほど類似している
分生子のサイズが類似している
分生子の形状が類似している
菌糸の幅が類似している
菌糸の隔壁間の長さの範囲が重なる
菌核を形成しない
セルロース分解活性を示す
25% NaCl添加培地で生育可能
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりドイツにおける分布が知られている
本種よりフィアライドが短い
本種と異なり分生子が単生または鎖生するのではなく鎖生または頭状である
本種と異なり分生子が類球形ではなく球形、類球形
本種と異なり厚壁胞子を形成する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Aspergillus caninus
分生子が類球形
菌糸の隔壁間の長さの範囲が重なる
菌核を形成しない
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり木の階段ではなくイヌなどから分離される
本種と異なり動物に対する病原性が知られている
本種よりフィアライドの幅が狭い
本種と異なり分生子が単生または鎖生するのではなく鎖生または頭状である
本種より分生子のサイズが小さい
本種より菌糸の幅が狭い
本種と異なり拡散性の黄色色素を産生する
本種と異なり15% NaCl添加培地で生育不能
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Aspergillus chlamydosporus
分生子のサイズの範囲が重なる
菌核を形成しない
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり木の階段ではなくイヌなどから分離される
本種と異なり動物に対する病原性が知られている
本種よりフィアライドの幅が狭い
本種と異なり分生子が単生または鎖生するのではなく鎖生または頭状である
本種と異なり分生子が類球形ではなく卵状、洋梨形
本種と異なり厚壁胞子を形成する
本種より菌糸の幅が狭い
本種より菌糸の隔壁の間隔が長い
本種と異なり20% NaCl添加培地で生育不能
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Aspergillus sclerotialis
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種よりフィアライドのサイズが小さい
本種と異なり分生子が単生または鎖生するのではなく鎖生する
本種より分生子の幅が狭い
本種と異なり分生子が類球形ではなく卵状で基部が截断状
本種と異なり菌核を形成する
本種と異なり25% NaCl添加培地で生育不能
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Chile, cave south of the city of Iquique, in the Coastal Range hills of the Atacama Desert

(新種)

Aspergillus atacamensis P. Zalar, A. Azúa-Bustos & N. Gunde-Cimerman
語源…アタカマ産の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Aspergillus salinarus
菌糸の隔壁間の長さの範囲が重なる
菌核を形成しない
25% NaCl添加培地で生育可能
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりチリではなくオーストリア、ドイツなどに分布する
本種と異なり洞窟の土壌およびバイオフィルムではなく木の階段などから分離される
本種よりフィアライドのサイズが小さい
本種と異なり分生子が単生または鎖生するのではなく鎖生または頭状である
本種より分生子のサイズが小さい
本種と異なり分生子が球形ではなく球形、類球形
本種より菌糸の幅が広い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Aspergillus salisburgensis
フィアライドのサイズの範囲が重なる
分生子が単生または鎖生する
菌核を形成しない
25% NaCl添加培地で生育可能
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりチリではなくオーストリアに分布する
本種と異なり洞窟の土壌およびバイオフィルムではなく木の階段から分離される
本種より分生子のサイズが小さい
本種と異なり分生子が球形ではなく類球形
本種より菌糸の幅が広い
本種より菌糸の隔壁の間隔が短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Aspergillus baarnensis
フィアライドのサイズの範囲が重なる
分生子が単生または鎖生する
菌核を形成しない
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりチリではなく日本などに分布する
本種と異なり洞窟の土壌およびバイオフィルムではなく海藻などから分離される
本種より分生子の最大サイズが大きい
本種と異なり分生子が球形ではなく球形、類球形、洋梨形、卵状で基部が截断状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新組み合わせ)

Aspergillus keratitidis (W.L. Chen, Y.M. Ju, H.M. Hsieh, H.Y. Lin & F.R. Hu) P. Zalar & W.L. Chen
旧名:Sagenomella keratitidis W.L. Chen, Y.M. Ju, H.M. Hsieh, H.Y. Lin & F.R. Hu
(基礎異名はPhialosimplex salinarum K. Greiner, D. Peršoh, A. Weig)
mycobank_logoSpecies_Fungorum