2014年8月18日 (仮訳)ユーラシア冷温帯産のイッポンシメジ属Leptonia亜属:系統学的種概念に向けて Morozova, OV., Noordeloos, ME. & Vila, J., 2014. Entoloma subgenus Leptonia in boreal-temperate Eurasia: towards a phylogenetic species concept. Persoonia. Available at: http://www.persoonia.org/Issue/32/09.pdf [Accessed August 18, 2014]. 【R3-01015】2014/08/19投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ イッポンシメジ属Leptonia亜属の菌について、形態観察と複数遺伝子に基づく分子系統解析により形態学的・系統学的種概念の一致または不一致を検討した。 16分類群を検討して2種、1変種を新たに記載し、Leptonia亜属の概念を修正するとともに新節Dichroiを提唱した。 また、2種を変種とし、1種をシノニムとする措置を行ったほか、3種のネオタイプを指定した。 Spain, Ripollès, Girona, Vall de Carlat, Setcases (新種) Entoloma sublaevisporum Vila, Noordel. & O.V. Morozova 語源…やや平滑な(担子胞子表面の性状から) 【よく似た種との区別】 Entoloma chytrophilum 担子胞子の形態が類似している ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり傘が帯灰褐色でない 本種より担子胞子のサイズが大きい ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma lampropus(アオエノモミウラタケ) 傘が灰褐色 本種と異なり担子胞子が多数の角を持つ瘤状でない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma placidum 傘が灰褐色 本種と異なり担子胞子が多数の角を持つ瘤状でない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma tjallingiorum 傘が灰褐色 本種と異なり担子胞子が多数の角を持つ瘤状でない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Spain, Osona, Barcelona, La Devesa, Rupit (新種) Entoloma percoelestinum O.V. Morozova, Noordel., Vila & Bulyonkova 語源…E. coelestinumに似た 【よく似た種との区別】 Entoloma coelestinum 傘が円錐形~鐘形でほとんど開かない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり柄が縦方向の繊維状条線を有するか微細な小鱗片を伴うのではなく平滑~類繊維状 本種と異なり担子胞子がほとんど瘤状ではなく中程度に角張る ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(塩基対に5.3%の差異) Entoloma chytrophilum 本種と異なり傘が円錐形でほとんど開かないという特徴を欠く 本種より担子胞子のサイズが大きい ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma lepidissimum 本種と異なり若い子実体の襞が青色を帯びる 本種より担子胞子のサイズが大きい ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma klofacianum 本種と異なり担子胞子が異径ではなく等径 Leptonia subcoelestina 本種と異なりスペイン、ロシアではなく北米に分布する 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種と異なり傘表皮の菌糸が類数珠状の細胞からなる 本種と異なり傘表皮の菌糸にクランプを欠く Russia, Kamchatka Region, vicinities of Esso (新変種) Entoloma tjallingiorum var. laricinum O.V. Morozova, Noordel., Vila & E.S. Popov 語源…カラマツ属の 【よく似た種との区別】 Entoloma tjallingiorum ロシアに分布する ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりカムチャッカ半島に分布しない 本種と異なりカラマツ属の材に発生するという特徴を欠く 本変種と異なり襞の縁部が隔壁を有する長い「縁シスチジア」を伴い不稔という特徴を欠く 本種と異なり子実層托実質に隔壁を有する末端要素を豊富に含むという特徴を欠く (その他掲載種) Entoloma chytrophilum Wölfel, Noordel. & Dähncke ※形態および系統的証拠に基づき、E. lepidissimum var. pauciangulatumを本種のシノニムとした。 【よく似た種との区別】 Entoloma sublaevisporum 担子胞子の形態が類似している ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり傘が帯灰褐色 本種より担子胞子のサイズが小さい ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma coelestinum 子実体が青色 本種と担子胞子の形態が異なる ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma dichroum 子実体が青色 本種と担子胞子の形態が異なる ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma lepidissimum 子実体が青色 本種ほど傘が扁平でない 本種と異なり襞が白色ではなく帯青色・帯灰青色・帯青紫色 本種と異なり担子胞子が瘤状でない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma percoelestinum 本種と異なり傘が円錐形でほとんど開かない 本種より担子胞子のサイズが小さい ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Germany, Baden-Württemberg, Schwäbisch-Fränkischer Wald (その他掲載種) Entoloma euchroum (Pers.: Fr.) Donk ※本種のネオタイプを指定した。 【よく似た種との区別】 Entoloma callichroum var. venustum 襞が帯紫青色 本種と異なり材生息性でない 本種と異なり柄表面が小鱗片に覆われない 本種と異なり縁シスチジアを欠く Entoloma lepidissimum 襞が帯紫青色 本種と異なり材生息性でない 本種と異なり襞が帯紫青色ではなく淡い~中程度の暗青色または帯紫青色 本種と異なり襞の縁部が幼時帯褐紫色を帯びるのではなく同色または僅かに淡色 本種と異なり柄表面が小鱗片に覆われない 本種と異なり縁シスチジアが稀 ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma tjallingiorum 形態的に類似している(誤同定された例がある) ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Sweden, Medelpad, Liden, Sundsjöåsen (その他掲載種) Entoloma lampropus (Fr.: Fr.) Hesler アオエノモミウラタケ ※本種のネオタイプを指定した。 【よく似た種との区別】 Entoloma placidum 傘が灰青色 柄が青色 柄表面に縦方向の繊維状条線があり小鱗片を伴わない 担子胞子がいくぶん瘤状 真の縁シスチジアを欠く ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり針葉樹または土壌ではなくブナなどの落葉樹に発生する 本種と異なり無臭ではなく穀粉臭がある 本種より担子胞子が顕著な瘤状 本種と異なり縁シスチジアを有することがない 本種と異なり傘表皮に細胞内色素と付着する色素の両方ではなく細胞内色素のみを含む ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma sublaevisporum 傘が灰褐色 本種と異なり担子胞子が多数の角を持つ瘤状 ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Sweden, Medelpad, Liden, Sundsjöåsen (その他掲載種) Entoloma placidum (Fr.: Fr.) Noordel. ※本種のエピタイプを指定した。 【よく似た種との区別】 Entoloma lampropus(アオエノモミウラタケ) 傘が灰青色 柄が青色 柄表面に縦方向の繊維状条線があり小鱗片を伴わない 担子胞子がいくぶん瘤状 真の縁シスチジアを欠く ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりブナなどの落葉樹ではなく針葉樹または土壌に発生する 本種と異なり穀粉臭を欠き無臭 本種ほど担子胞子が顕著な瘤状でない 本種と異なり縁シスチジアを有することがある 本種と異なり傘表皮に細胞内色素だけでなく付着する色素も伴う ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma tjallingiorum ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり柄表面に小鱗片を伴う 本種と異なり真の縁シスチジアを欠くのではなくよく分化した縁シスチジアを有する ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Entoloma tjallingiorum Noordel. 【よく似た種との区別】 Entoloma tjallingiorum var. alnetorum 担子胞子がほとんど瘤状 担子胞子が薄壁 系統的にごく近縁(ホロタイプ間のp-distanceが1.3%) 本種と異なりハンノキ林に発生する 本種と異なり春に子実体が発生する 本種と異なり傘が淡灰褐色~暗灰褐色ではなくクリーム色~淡黄褐色 Entoloma tjallingiorum var. laricinum ロシアに分布する ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりカムチャッカ半島に分布する 本種と異なりカラマツ属の材に発生する 本種と異なり襞の縁部が隔壁を有する長い「縁シスチジア」を伴い不稔 本種と異なり子実層托実質に隔壁を有する末端要素を豊富に含む Entoloma placidum ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり柄表面に小鱗片を伴わない 本種と異なりよく分化した縁シスチジアを有するのではなく真の縁シスチジアを欠く ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma euchroum 形態的に類似している(退色した子実体が本種と誤同定された例がある) ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma sublaevisporum 傘が灰褐色 本種と異なり担子胞子が多数の角を持つ瘤状 ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (新組み合わせ) Entoloma tjallingiorum var. alnetorum (Monthoux & Röllin) O.V. Morozova, Noordel. & Vila 旧名:Entoloma alnetorum Monthoux & Röllin 【よく似た種との区別】 Entoloma tjallingiorum 担子胞子がほとんど瘤状 担子胞子が薄壁 系統的にごく近縁(ホロタイプ間のp-distanceが1.3%) 本変種と異なりハンノキ林に発生するという特徴を欠く 本変種と異なり春に子実体が発生するという特徴を欠く 本変種と異なり傘がクリーム色~淡黄褐色ではなく淡灰褐色~暗灰褐色 Entoloma dichroum 傘が淡色のことがある 本変種と異なり担子胞子が角が尖った独特の形状をしている ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Entoloma dichroum (Pers.: Fr.) P. Kumm. 【よく似た種との区別】 Entoloma eugenei 形態的に非常に近縁 縁シスチジアを持つ ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁(同じDichroi節クレードに含まれる) ITS1領域に長い40塩基程度の挿入配列がある 本種と異なりヨーロッパではなくロシア極東地域南部および日本に分布する 本種と異なり子実体が細長いモリノカレバタケ型ではなくキシメジ型 本種と異なり襞の縁部が”heterogeneous”ではなく不稔 本種より担子胞子のサイズが僅かに大きい 本種より担子胞子の角が顕著に尖る ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma allochroum 担子胞子の角が尖る 本種と異なり柄が青色ではなく帯紫色 本種ほど柄表面の小鱗片が多くない 本種より柄の縦方向の繊維状条線が多い ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma chytrophilum 子実体が青色 本種と担子胞子の形態が異なる ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma tjallingiorum var. alnetorum 傘が淡色のことがある 本変種と異なり担子胞子が角が尖った独特の形状をしていない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Entoloma eugenei Noordel. & О.V. Morozova 【よく似た種との区別】 Entoloma dichroum 形態的に非常に近縁 縁シスチジアを持つ ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁(同じDichroi節クレードに含まれる) ITS1領域に長い40塩基程度の挿入配列がある 本種と異なりロシア極東地域南部および日本ではなくヨーロッパに分布する 本種と異なり子実体がキシメジ型ではなく細長いモリノカレバタケ型 本種と異なり襞の縁部が不稔ではなく”heterogeneous” 本種より担子胞子のサイズが僅かに小さい 本種より担子胞子の角が顕著に尖らない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma allochroum 担子胞子の角が尖る ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Entoloma allochroum Noordel. 【よく似た種との区別】 Entoloma dichroum 担子胞子の角が尖る 本種と異なり柄が帯紫色ではなく青色 本種より柄表面の小鱗片が多い 本種より柄の縦方向の繊維状条線が少ない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma eugenei 担子胞子の角が尖る ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Entoloma callichroum E. Horak & Noordel. 【よく似た種との区別】 Entoloma callichroum var. venustum 傘が帯桃紫色 襞がいくぶん淡紫青色を帯びる 柄が暗青灰色~帯紫青色 担子胞子のサイズが類似している 系統的に非常に近縁(p-distanceが1.8%) 本種より担子胞子の幅が狭い 本種と異なり担子胞子がほぼ瘤状ではなく角がより顕著 本種と異なり16 μmまでの極めて長い担子胞子(発芽中?)が知られている 本変種と異なり縁シスチジアを持つ (新組み合わせ) Entoloma callichroum var. venustum (Wölfel & F. Hampe) O.V. Morozova, Noordel. & Vila 旧名:Entoloma venustum Wölfel & F. Hampe 【よく似た種との区別】 Entoloma callichroum 傘が帯桃紫色 襞がいくぶん淡紫青色を帯びる 柄が暗青灰色~帯紫青色 担子胞子のサイズが類似している 系統的に非常に近縁(p-distanceが1.8%) 本変種より担子胞子の幅が広い 本変種ほど担子胞子の角が顕著でなくほとんど瘤状 本変種と異なり16 μmまでの極めて長い担子胞子(発芽中?)が知られていない 本変種と異なり縁シスチジアを欠く (その他掲載種) Entoloma coelestinum (Fr.) Hesler 【よく似た種との区別】 Entoloma percoelestinum 傘が円錐形~鐘形でほとんど開かない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり柄が平滑~類繊維状ではなく縦方向の繊維状条線を有するか微細な小鱗片を伴う 本種と異なり担子胞子が中程度に角張るのではなくほとんど瘤状 ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(塩基対に5.3%の差異) Entoloma chytrophilum 子実体が青色 本種と担子胞子の形態が異なる ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Entoloma lepidissimum (Svrček) Noordel. 【よく似た種との区別】 Entoloma coelestinum 本種より傘が円錐形 本種と異なり襞が帯青色・帯灰青色・帯青紫色ではなく白色 本種より担子胞子のサイズが小さい ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma percoelestinum 本種と異なり若い子実体の襞が青色を帯びない 本種より担子胞子のサイズが小さい ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma chytrophilum 子実体が青色 本種より傘が扁平 本種と異なり襞が帯青色・帯灰青色・帯青紫色ではなく白色 本種と異なり担子胞子が瘤状 ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Entoloma euchroum 襞が帯紫青色 本種と異なり材生息性 本種と異なり襞が淡い~中程度の暗青色または帯紫青色ではなく帯紫青色 本種と異なり襞の縁部が同色または僅かに淡色ではなく幼時帯褐紫色を帯びる 本種と異なり柄表面が小鱗片に覆われる 本種と異なり縁シスチジアが稀でない ITS、mtSSU、mtSSU+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される