(仮訳)地中海盆地に産した2種のトリカリノイド盤菌、新種Paratricharina confusaおよび新属新種Hellenicoscyphus hyalotrichus
Lindemann, U. et al., 2022. Paratricharina confusa sp. nov. and Hellenicoscyphus hyalotrichus gen. and sp. nov., two new tricharinoid discomycetes (Pezizales) from the Mediterranean basin. Ascomycete.org. Available at: https://ascomycete.org/Journal/Article/art-0347 [Accessed December 19, 2022] 【R3-10163】2022/12/19投稿

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3行まとめ

スペインおよびギリシャで採集された菌を検討し、Paratricharina confusaとして新種記載した。
本種はP. poiraultiiと形態的に非常に類似していたが、子嚢盤や子嚢胞子のサイズ、毛の有無、外被層の構造などが異なっていた。
また、ギリシャから別の菌を採集し、形態的にはP. poiraultiiに類似するが分子系統解析で異なる系統を形成したことから、新属新種Hellenicoscyphus hyalotrichusとした。
Spain, Málaga, Ronda, partido Rural navares/Tejares

(新種)

Paratricharina confusa U. Lindemann, Valencia, Van Vooren & V. Kummer
語源…紛らわしい(P. poiraultiiとの類似性から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Paratricharina poiraultii
スペインに分布する
形態形質のほとんどを共有する(容易に混同されうる)
子嚢胞子が無色
子嚢胞子が狭楕円形~楕円形
子嚢胞子が厚壁
子嚢胞子の極に小さな油滴を含む
側糸が無色
側糸が円筒形で頂部が膨大しないか僅かに膨大する
側糸に非屈折性の液胞を含む
髄層が交錯菌糸組織からなる
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりポルトガルにおける分布が知られている
本種と異なり湿った場所に発生するという特徴を欠く
本種より子嚢盤のサイズが大きい
本種と異なり子嚢盤の縁が円鋸歯状ではなく内側に巻く
本種と異なり子嚢盤の縁が平滑で僅かにビロード状なのではなく密に織り合わさった毛を伴う
本種と異なり子実層面が帯褐黄色または鮭肉黄褐色ではなく新鮮時橙褐色
本種と異なり子嚢胞子が子嚢内部で成熟時2列ではなく1列で配列する
本種より子嚢胞子のサイズが小さい
本種と異なり托外被層が円形/多角菌糸組織ではなく円形/矩形菌糸組織および円形/多角菌糸組織からなる
本種と異なり托外被層の最外層が無色~淡褐色厚壁からなる円形/類多角菌糸組織ではなく褐色厚壁の細胞からなる円形/類多角菌糸組織である
本種と異なり外被層に真の毛を欠くのではなく有する
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Greece, Attica, Acharnes, Varymbombi-Sfendali

(新種)

Hellenicoscyphus hyalotrichus U. Lindemann, Van Vooren & Kaounas
語源…(属名)ギリシャの杯/(種小名)無色の毛の
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【よく似た種との区別】
Paratricharina poiraultii
ヨーロッパに分布する
子嚢盤が地上生
子嚢胞子の両極に小さな油滴を含む
側糸が無色
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりギリシャではなくスペインおよびポルトガルに分布する
本種と子嚢果縁部の毛が異なる
本種と異なり子実層面が淡い帯褐色はなく新鮮時橙褐色
本種と異なり子嚢胞子が楕円形でない
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tricharina hiemalis
子嚢胞子の形状が類似している
本種と異なり子嚢胞子の両極に小さな油滴を含むという特徴を欠く
本種と異なり毛が無色ではなく褐色
Tricharinopsis herinkii
子嚢胞子の形状が類似している
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子嚢胞子の両極に小さな油滴を含むという特徴を欠く
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cupulina ascophanoides
子嚢胞子の形態がかなり類似している
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と子嚢胞子のサイズが異なる
本種と子嚢胞子の形状が異なる
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Ascorhizoctonia praecox
子嚢胞子の形態がかなり類似している
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり常に焼け跡に発生する
ITS+nrLSU+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pseudotricharina lanigera
子嚢盤縁部の毛が無色
本種と異なり子嚢胞子表面が疣状
本種と異なり子嚢胞子の両極に小さな油滴を含むのではなく大きな油滴を含む