2021年12月31日 (仮訳)Phanerochaete属の基準種は何か? Spirin, V. et al., 2017. What is the type species of Phanerochaete (Polyporales, Basidiomycota)? Mycological Progress. Available at: https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s13225-019-00435-4.pdf [Accessed December 31, 2021] 【R3-09103】2021/12/31投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ Phanerochaete velutinaおよびその近縁種を検討し、本種を含む3種がそれぞれ独立していることを示すとともに、P. alneaの新亜種lubricaを記載した。 これらの分類群は肉眼的・顕微鏡形態形質のほか、地理的分布および分子系統解析でも区別された。 Thelephora alneaおよびP. karsteniiのタイプ標本を指定したほか、P. aurantiobadiaをシノニムとした。 USA, Washington, Jefferson Co., Hoh River (新亜種) Phanerochaete alnea subsp. lubrica V. Spirin & S. Volobuev 語源…扱いにくい(近縁種との形態的差異が小さいことから) 【よく似た種との区別】 Phanerochaete alnea 米国、カナダに分布する 同じトウヒ属およびツガ属植物に生じる ITS、tef1、ITS+tef1に基づく分子系統解析で近縁 本亜種と異なりフィンランド、ロシア、ノルウェー、カナダにおける分布が知られている 本亜種と異なりマツ属、モミ属、カバノキ属、コナラ属植物に生じることが知られている 本亜種より担子胞子の幅が広い ITS、tef1、ITS+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Sweden, Småland, Femsjör (その他掲載種) Phanerochaete alnea (Fries) P. Karsten ※本種のネオタイプ標本とPeniophora karsteniiのレクトタイプ標本を指定した。 【よく似た種との区別】 Phanerochaete alnea subsp. lubrica 米国、カナダに分布する 同じトウヒ属およびツガ属植物に生じる ITS、tef1、ITS+tef1に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりフィンランド、ロシア、ノルウェー、カナダにおける分布が知られていない 本種と異なりマツ属、モミ属、カバノキ属、コナラ属植物に生じることが知られていない 本種より担子胞子の幅が狭い ITS、tef1、ITS+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Phanerochaete sordida(ウスキイロカワタケ) 形態的に類似している(この種に誤同定されることがある) 本種と異なり子実体がKOHで暗赤色に呈色するという特徴を欠く 本種よりシスチジアの平均幅が狭い 本種と異なり子実体形成菌糸層において菌糸が様々な程度で錯綜する 本種と異なり子実体形成菌糸層菌糸が顕著な厚壁である 本種と異なり子実体形成菌糸層菌糸のクランプが非常に稀である Phanerochaete velutina(チャカワタケ) 形態的に類似している(老成した子実体がこの種に誤同定されることがある) ITS、tef1、ITS+tef1に基づく分子系統解析で近縁 本種ほど地理的分布が北方寄りでない 本種と異なり子実体が数十年保管しているうちに、おそらく黄色の樹脂状物質の蓄積によって帯黄橙色または明橙色となるのではなく、元の色を保持するか灰色がかるのみである 本種と異なり子実体がKOHで暗赤色に呈色するという特徴を欠く 本種より担子胞子のサイズが典型的には小さい 本種よりシスチジアの幅が広い 本種よりシスチジアが豊富な結晶に覆われる 本種と異なり子実体形成菌糸層菌糸に密な結晶を伴う ITS、tef1、ITS+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Phanerochaete martelliana 子実体が老成すると橙色になる 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種よりシスチジアがずっと短い 本種と異なりシスチジアが錐状 (その他掲載種) Phanerochaete robusta Parmasto (その他掲載種) Phanerochaete velutina (DeCandolle) P. Karsten チャカワタケ 【よく似た種との区別】 Phanerochaete alnea 形態的に類似している(この種の老成した子実体が本種に誤同定されることがある) ITS、tef1、ITS+tef1に基づく分子系統解析で近縁 本種より地理的分布が北方寄りである 本種と異なり子実体が元の色を保持するか灰色がかるのみなのではなく、数十年保管しているうちに、おそらく黄色の樹脂状物質の蓄積によって帯黄橙色または明橙色となる 本種と異なり子実体がKOHで暗赤色に呈色する 本種より担子胞子のサイズが典型的には大きい 本種よりシスチジアの幅が狭い 本種よりシスチジアが豊富な結晶に覆われるという特徴を欠く 本種と異なり子実体形成菌糸層菌糸に密な結晶を伴うという特徴を欠く ITS、tef1、ITS+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Phanerochaete rhodella 北米に分布する 形態的に類似している(最近別種と認識された) 肉眼的形態が類似している 担子胞子のQ値の範囲が重なる ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりヨーロッパにおける分布が知られていない 本種より担子胞子の平均サイズが小さい 本種よりシスチジアの平均サイズが小さい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Phanerochaete rhodella (Peck) Floudas D. & Hibbett D.S. 【よく似た種との区別】 Phanerochaete velutina(チャカワタケ) 北米に分布する 形態的に類似している(最近別種と認識された) 肉眼的形態が類似している 担子胞子のQ値の範囲が重なる ITS領域に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりヨーロッパにおける分布が知られている 本種より担子胞子の平均サイズが大きい 本種よりシスチジアの平均サイズが大きい ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される