(仮訳)東アジアにおいて産業的に重要な黒色のコウジカビ属菌、Aspergillus luchuensis
Hong, S. et al., 2013. Aspergillus luchuensis, an Industrially Important Black Aspergillus in East Asia. PloS one. Available at: http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0063769 [Accessed December 3, 2013].
【R3-00069】2013/12/03投稿

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3行まとめ

泡盛、焼酎、マッコリなどの醸造に用いられ、韓国の味噌(メジュ)や麹(ヌルク)、中国のプーアル茶などからも頻繁に分離されるコウジカビ属菌(黒麹・白麹)には、これまで複数の学名が与えられてきた。
本研究では菌株の形態比較や分子系統解析、RAPDなどを行った結果、3種が同種であり、近縁のAspergillus nigerおよびA. tubingensisとは分子で明瞭に区別されることが明らかになった。
3種の学名のうち、乾環が1901年に記載したAspergillus luchuensisが優先権を持ち、本論文ではこの学名で再度記載を行うとともに、本種がマイコトキシンを産生しないことを確かめた。

(その他掲載種)

Aspergillus luchuensis Inui
語源…琉球産の
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【よく似た種との区別】
Aspergillus niger
形態的にはほとんど区別できない
本種と分子系統解析により明瞭に区別される
本種と異なりアンタフミシン類および「リューキュエンシン」(仮)を産生しない
Aspergillus tubingensis
形態的にはほとんど区別できない
アスペラジンを産生する
本種と分子系統解析により明瞭に区別される
本種と異なりアンタフミシン類および「リューキュエンシン」(仮)を産生しない

(その他掲載種)

Aspergillus welwitschiae (Bres.) Henn.
語源…ウェルウィッチア(キソウテンガイ)の
※Perroneらが2011年に”Aspergillus awamori“として扱った菌は本種と同一であった。この菌は実際には泡盛由来ではなく、かつマイコトキシンを産生するため、”Aspergillus awamori“の学名は不適当だとした。
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【よく似た種との区別】
Aspergillus niger
形態的にはほとんど区別できない
分生子の色が類似している
分生子の形状が球形で類似している
分生子のサイズの範囲が重なる
分生子の装飾が顕著な粗面で類似している
分生子柄の長さの範囲が重なる
分生子柄の装飾が類似している
頂嚢のサイズの範囲が重なる
両種ともに帯褐色の分生子を形成する変異株が見られる
CYA培地での5°C、25°C、37°Cでの生長速度の範囲が重なる
G25N、CZA、MEA培地での25°Cでの生長速度の範囲が重なる
水活性の低い培地での25°Cでの生長速度の範囲が重なる
カルモジュリン遺伝子、β-チューブリン遺伝子、tef-1遺伝子、rpb2遺伝子などのいくつかの塩基が安定して異なっている
本種の多くの株と異なり2-デオキシ-D-グルコースを基質とした培地での生長が良好