(仮訳)従来Amanita caesareoidesに含まれていた隠蔽種の新種、Amanita satotamagotake
Kodaira, M. et al. 2024. Amanita satotamagotake sp. nov., a cryptic species formerly included in Amanita caesareoides. Mycoscience. Available at: https://www.jstage.jst.go.jp/article/mycosci/65/2/65_MYC618/_article/-char/ja [Accessed April 1, 2024] 【R3-11571】2024/4/1投稿

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3行まとめ

日本に分布するAmanita caesareoidesにおいて隠蔽種を見出し、A. satotamagotakeとして新種記載した。
7遺伝子を解析したところ2つの異なるグループが明らかになり、それぞれ亜高山帯~冷温帯、温帯~亜熱帯に分布しており、後者が今回発表された新種となった。
後者の方が担子胞子のサイズが小さい傾向にあったが範囲は重なっており、前者のみが寒天培地上で菌糸の生長を示した。
宮城県七ヶ浜町鼻節神社

(新種)

Amanita satotamagotake M. Kodaira, N. Endo & A. Yamada
サトタマゴタケ
語源…和名の「サトタマゴタケ(里のタマゴタケ)」から
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Amanita caesareoides(タマゴタケ)
日本に分布する
同じマツ科、カバノキ科、ブナ科植物を宿主とする
形態的に類似している(長らく同種と見なされており、形態形質に基づく識別は困難である)
肉眼的形態がほとんどの場合一致する
担子胞子のサイズの範囲が重なる
担子胞子の形状がほとんどの場合一致する
襞の菌糸細胞の形態が類似している
つばの菌糸細胞の形態が類似している
傘表皮細胞の形態が類似している
傘実質細胞の形態が類似している
柄の外側および内側の菌糸細胞の形態が類似している
つぼの菌糸細胞の形態が類似している
菌糸にクランプを有する
ITS、RPB2TEF1+RPB2、6遺伝子、ITS+IGS1+β-TUB+RPB2+TEF1+ATP6+COX3に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり韓国、ロシアにおける分布が知られている
本種と異なり日本においてより低標高の温帯~亜熱帯ではなくより高標高の亜高山帯~冷温帯に分布する
本種と異なりブナ科常緑樹に関連するという特徴を欠く
本種より子実体のサイズが大きい傾向がある
本種より柄の装飾に変異が大きい傾向がある
本種より担子器小柄が長い
本種より担子胞子の平均サイズが有意に大きい
本種よりつばの膨大した細胞のサイズが大きい傾向がある
本種と異なりつばに狭い”thromboplerous”菌糸があるのではなく膨大した”gloeoplerous”および”thromboplerous”菌糸がある
本種と異なりMNC培地上での菌糸生長が限定的で継代培養不能なのではなく生育および継代培養可能
TEF1+RPB2、6遺伝子、ITS+IGS1+β-TUB+RPB2+TEF1+ATP6+COX3に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Amanita caesarea(セイヨウタマゴタケ)
ITS、RPB2TEF1、6遺伝子、ITS+IGS1+β-TUB+RPB2+TEF1+ATP6+COX3に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり日本ではなくブルガリア、スペインなどに分布する
本種と異なり傘に中丘を有するのではなく欠く
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種より担子胞子の形状が細長い
ITS、RPB2TEF1、6遺伝子、ITS+IGS1+β-TUB+RPB2+TEF1+ATP6+COX3に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Amanita jacksonii
肉眼的形態が類似している
ITS、RPB2TEF1、6遺伝子、ITS+IGS1+β-TUB+RPB2+TEF1+ATP6+COX3に基づく分子系統解析で近縁
本種より担子胞子の形状が細長い
ITS、RPB2TEF1、6遺伝子、ITS+IGS1+β-TUB+RPB2+TEF1+ATP6+COX3に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Amanita subhemibapha
東アジアに分布する
担子胞子のサイズが類似している
ITS、RPB2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国における分布が知られている
本種と異なり傘に中丘を有するのではなく欠く
ITS、RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Amanita rubroflava
東アジアに分布する
担子胞子のサイズが類似している
RPB2TEF1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国における分布が知られている
本種と異なり傘が一様に帯橙色および帯赤色なのではなく黄色から赤色のグラデーションを示す
RPB2TEF1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される