2016年1月17日 （仮訳）衰退している地中海のマキ植生におけるエキビョウキン属菌の多様性、およびPhytophthora crassamuraとP . ornamentataの2新種 Scanu, B. et al., 2015. Diversity of Phytophthora Species from Declining Mediterranean Maquis Vegetation, including Two New Species, Phytophthora crassamura and P . ornamentata sp. nov. PLOS ONE. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4674107/ [Accessed January 16, 2016]. 【R3-02570】2016/01/17投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません（大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため）。 3行まとめ 地中海地域においてQuercus ilexなどの植物が立ち枯れ症状を呈し枯死している問題に複数のエキビョウキン属菌が関与していることを示した。 ラ・マッダレーナ諸島の根圏土壌から9種を分離し、クレード6の新種としてPhytophthora crassamuraおよびP . ornamentataを記載した。 接種試験の結果、これらの菌が地中海地域のマキ植生の衰退に関与していることが示唆された。 Italy, Sardinia （新種） Phytophthora crassamura B. Scanu, A. Deidda & T. Jung 語源…厚壁の（卵胞子の形態から） 【よく似た種との区別】 Phytophthora megasperma オーストラリアに分布する 形態的に類似している（かつてこの種に同定されていた） 遊走子嚢に乳頭突起を欠く 遊走子嚢の伸長様式が同一 遊走子嚢が24-48時間で直接発芽する 造卵器が球形～類球形 造卵器が平滑 造精器がほとんどの場合側着性 造精器のサイズの範囲が重なる 菌糸の膨大部が球形～伸長形で鎖生する ホモタリックである 最適生長温度が25°C ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁 本種より遊走子嚢が長い 本種より遊走子嚢の幅が狭い 本種より遊走子嚢の長さ/幅が大きい 本種と異なり遊走子嚢が卵形、倒洋梨形ではなく伸長形、倒洋梨形、レモン形 本種より造卵器のサイズが小さい 本種と異なり卵胞子が非充満性ではなく僅かに充満性 本種より卵胞子が薄壁 本種より卵胞子のwall indexが小さい 本種より卵胞子の不稔率が小さい 本種と異なり最大生長温度が32.5-35°Cではなく30-32.5°C 本種より最適生長温度での生長が遅い ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される（ITSに3-5塩基の差異） Italy, Sardinia （新種） Phytophthora ornamentata B. Scanu, B. Linaldeddu & T. Jung 語源…装飾のある（造卵器の形態から） 【よく似た種との区別】 Phytophthora chlamydospora ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁 ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される（ITSに9塩基の差異） Phytophthora pinifolia ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁 ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される（ITSに9塩基の差異） Phytophthora borealis ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁 ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される（ITSに9塩基の差異） Phytophthora mississippiae 造卵器に装飾を有する 卵胞子のサイズの範囲が重なる 菌糸の膨大部が球形～伸長形で鎖生する 最適生長温度が25°C ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁 本種より遊走子嚢の幅の平均が小さい 本種より遊走子嚢の長さ/幅の比が大きい 本種と異なり遊走子嚢が卵形、倒洋梨形、楕円形ではなく卵形、倒洋梨形 本種と異なり遊走子嚢にやや乳頭突起を有することがある 本種と異なり遊走子嚢の伸長が”external”である 本種より造卵器のサイズが大きい 本種と異なり卵胞子が僅かに非充満性ではなく充満性 本種と異なり造精器がほとんどの場合側着性ではなく底着性 本種より造精器のサイズが大きい 本種と異なりホモタリックではなくヘテロタリックである ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される（ITSに5-8塩基の差異） Phytophthora gibbosa 遊走子嚢の長さ/幅の比の範囲が重なる 造卵器に装飾を有することがある 菌糸の膨大部が球形～伸長形 ホモタリックである 最大生長温度が32.5-35°C 最適生長温度における生長速度の範囲が重なる ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁 本種より遊走子嚢のサイズが小さい 本種と異なり遊走子嚢が卵形、倒洋梨形、楕円形ではなく卵形、楕円形 本種と異なり遊走子嚢にやや乳頭突起を有することがある 本種と異なり遊走子嚢の伸長が”nested”でない 本種より造卵器のサイズが大きい 本種と異なり造卵器に装飾が平滑であることがある 本種より卵胞子のサイズが小さい 本種より卵胞子が薄壁 本種より卵胞子のwall indexが小さい 本種と異なり卵胞子が僅かに非充満性ではなく常に非充満性 本種より卵胞子の不稔率の上限が高い 本種と異なり造精器がほとんどの場合側着性ではなく底着性 本種より造精器が短い 本種と異なり菌糸の膨大部が鎖生することが決してない 本種と異なり最適生長温度が25°Cではなく30°C ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される （その他掲載種） Phytophthora asparagi Saude & Hausbeck ※Juniperus phoeniceaおよびPistacia lentiscusを本種の新宿主として報告した。