(仮訳)日本産のEntoloma rhodopoliumに近縁な新種の分子系統解析およびそのPCR-RFLPを用いた同定法
Kondo, K. et al., 2017. Molecular phylogenetic analysis of new Entoloma rhodopolium-related species in Japan and its identification method using PCR-RFLP. Scientific Reports. Available at: https://www.nature.com/articles/s41598-017-14466-x [Accessed November 7, 2017].
【R3-04556】2017/11/8投稿

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3行まとめ

日本産Entoloma rhodopolium類縁菌(クサウラベニタケ)の分子系統解析を実施し、ヨーロッパ産の種と比較した。
日本産の種は3つのクレードに分類されたが、ヨーロッパ産のE. rhodopoliumと同一のものはなく、E. lacusE. subrhodopoliumE. pseudorhodopoliumとして新種記載した。
これらの種と、形態的に酷似する食用のE. sarcopum(ウラベニホテイシメジ)とを判別するために、PCR-RFLP法が簡易同定法として有効であることを示した。
東京都八王子市長沼公園

(新種)

Entoloma lacus Kondo
語源…中空の(柄の質感から)
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【よく似た種との区別】
Entoloma subrhodopolium
日本に分布する
形態的に類似している(同一種とされてきた)
本種より子実体のサイズが顕著に大きい
本種と異なりシスチジアを欠く
本種と異なり食毒不明ではなく毒きのこである
PCR-RFLP法により判別される
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードB1ではなくA2に含まれる)
Entoloma pseudorhodopolium
日本に分布する
形態的に類似している(同一種とされてきた)
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種より子実体のサイズが顕著に大きい
本種と異なりシスチジアを欠く
本種と異なり食毒不明ではなく毒きのこである
PCR-RFLP法により判別される
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Entoloma majaloides
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種と異なり日本ではなくヨーロッパなどに分布する
本種と異なり子実体ががっしりとしている
本種と異なり傘に暗色の中丘を有する
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
山形県千歳山

(新種)

Entoloma subrhodopolium Kondo & Nagasawa
語源…Entoloma rhodopolium類似の
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【よく似た種との区別】
Entoloma lacus
日本に分布する
形態的に類似している(同一種とされてきた)
本種より子実体のサイズが顕著に小さい
本種と異なりシスチジアを有する
本種と異なり毒きのこではなく食毒不明である
PCR-RFLP法により判別される
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードA2ではなくB1に含まれる)
Entoloma sinuatum(イッポンシメジ)
毒きのこである
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードA2に含まれる)
本種と異なりヨーロッパなどにおける分布が知られている
本種と異なり子実体ががっしりとしている
本種と異なり傘が大型
本種と異なり傘が褐色ではなく象牙白色
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Entoloma pseudorhodopolium
日本に分布する
形態的に類似している(同一種とされてきた)
毒きのこである
本種と異なり傘に通常中丘を有する(※本文7p下ではこの部分の記述が逆になっている)
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードA2ではなくクレードB1に含まれる)
Entoloma eminens
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードA2に含まれる)
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Entoloma sarcopum(ウラベニホテイシメジ)
日本に分布する
同時に発生することがある(9-10月)
広葉樹林または混交林に発生する
形態的に類似している(本種の小型の子実体と混同のおそれがある)
本種より傘のサイズが通常大きい
本種より柄のサイズが大きい
本種と異なり毒きのこではなく食用きのこである
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードA2ではなくB2に含まれる)
新潟県胎内市胎内平

(新種)

Entoloma pseudorhodopolium Kondo & Nagasawa
語源…偽のEntoloma rhodopolium
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【よく似た種との区別】
Entoloma lacus
日本に分布する
形態的に類似している(同一種とされてきた)
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種より子実体のサイズが顕著に小さい
本種と異なりシスチジアを有する
本種と異なり毒きのこではなく食毒不明である
PCR-RFLP法により判別される
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Entoloma pseudorhodopolium
日本に分布する
形態的に類似している(同一種とされてきた)
毒きのこである
本種と異なり傘に通常中丘を有するという特徴を欠く(※本文7p下ではこの部分の記述が逆になっている)
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードB1ではなくクレードA2に含まれる)
Entoloma lupinum
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種と異なり子実体ががっしりとしている
本種と異なり傘が”cork brown”または帯赤褐色ではなく灰褐色
本種と異なり縁シスチジアを有する
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Entoloma sarcopum(ウラベニホテイシメジ)
日本に分布する
同時に発生することがある(9-10月)
広葉樹林または混交林に発生する
形態的に類似している(本種の小型の子実体と混同のおそれがある)
本種より傘のサイズが通常大きい
本種より柄のサイズが大きい
本種と異なり毒きのこではなく食用きのこである
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードB1ではなくB2に含まれる)

(その他掲載種)

Entoloma sarcopum Nagas. & Hongo.
ウラベニホテイシメジ
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【よく似た種との区別】
Entoloma subrhodopolium
日本に分布する
同時に発生することがある(9-10月)
広葉樹林または混交林に発生する
形態的に類似している(本種の小型の子実体と混同のおそれがある)
本種より傘のサイズが通常小さい
本種より柄のサイズが小さい
本種と異なり食用きのこではなく毒きのこである
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードB2ではなくA2に含まれる)
Entoloma pseudorhodopolium
日本に分布する
同時に発生することがある(9-10月)
広葉樹林または混交林に発生する
形態的に類似している(本種の小型の子実体と混同のおそれがある)
本種より傘のサイズが通常小さい
本種より柄のサイズが小さい
本種と異なり食用きのこではなく毒きのこである
ITSおよびRPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(クレードB2ではなくB1に含まれる)