(仮訳)複数遺伝子の系統解析および形態学的検討により、中国産のCantharellusParvocantharellus亜属の新種が予想外に多く見出された
Zhang, M. et al., 2021. Multigene Phylogeny and Morphology Reveal Unexpectedly High Number of New Species of Cantharellus Subgenus Parvocantharellus (Hydnaceae, Cantharellales) in China. Journal of Fungi. Available at: https://www.mdpi.com/2309-608X/7/11/919 [Accessed November 8, 2021] 【R3-08944】2021/11/8投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

中国産のCantharellusParvocantharellus亜属について形態学的検討および分子系統解析を実施し、9種を同定した。
そのうちC. aurantinusなど7新種を記載した。
また、c. sikkimensisC. zangiiのシノニムとしたほか、中国産の本亜属の検索表を作成した。
中国河南省信陽市南湾湖風景区

(新種)

Cantharellus aurantinus Ming Zhang, Z.H. Zhang & T.H. Li
語源…橙色の(傘の色から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Cantharellus curvatus
アジアに分布する
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなく韓国などに分布する
本種より子実体のサイズが小さい
本種より子実体の形状が細長い
本種と異なり傘が鈍黄色~帯橙黄色
本種より担子器が短い
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus himalayensis
アジアに分布する
nrLSU+tef1+rpb2に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなくインドなどに分布する
本種と異なり子実体が大型
本種と異なり傘が帯黄色
本種と異なり傘中央部表面に”pecan-brown”の鱗片を有する
本種と異なり担子胞子のサイズが比較的小さい
本種と異なり傘表皮が部分的にゼラチン質である
nrLSU+tef1+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus cibarius(アンズタケ)
形態的に類似している(容易に誤同定されうる)
傘が黄橙色
本種と異なりParvocantharellus亜属ではなくCantharellus亜属に含まれる
本種と異なり中国ではなくフランス、スロバキアなどに分布する
本種と異なり子実体のサイズが比較的大きい
本種と異なり子実層托が良好に発達する
本種より子実層托の丈が高い
本種より担子器が長い
本種と異なり傘表皮菌糸が厚壁
nrLSU+tef1+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus luteolus
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
広葉樹の樹下に発生する
傘のサイズの範囲が重なる
子実層托が良好に発達する
担子胞子のサイズの範囲が重なる
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり傘が淡橙色ではなく黄色~橙色
本種より担子胞子の平均長が長い
本種より担子胞子の平均幅が狭い
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国広東省 韶関市仁化県丹霞山

(新種)

Cantharellus austrosinensis Ming Zhang, C.Q. Wang & T.H. Li
語源…華南の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Cantharellus appalachiensis
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなく米国などに分布する
本種と異なりマツ属ではなくオークおよびその他の広葉樹と関係を持つ
本種と異なり子実体が比較的大型
本種より傘の最大幅が広い
本種と異なり傘がくすんだ黄色~鈍褐色
本種と異なり担子胞子が比較的長い
本種と異なり担子胞子の幅が比較的狭い
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus tabernensis
nrLSU+tef1+rpb2に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなく米国などに分布する
本種と異なり子実体が比較的大型
本種より傘の最大幅が広い
本種と異なり傘が鈍橙黄色~帯黄褐色
本種と異なり子実層托が鮮橙黄色
本種と異なり襞が良好に発達する
本種より襞の丈が高い
本種より柄の最大幅が広い
本種と異なり柄が鮮橙黄色
本種と異なり担子胞子の幅が狭い
本種と異なり担子胞子のQ値が大きい
本種と異なり子実層托実質菌糸の幅が狭い
nrLSU+tef1+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus koreanus
東アジアに分布する
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなく韓国などに分布する
本種と異なりマツ属ではなくクマシデ属、クリ属、コナラ属樹木などと関係を持つ
本種と異なり傘が汚黄褐色~淡褐色で中央部が褐色~暗褐色
本種と異なり柄が黄色~帯灰色
本種と異なり担子胞子の幅が比較的狭い
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus quercophilus
形態的に類似している(本種の小型の子実体に類似している)
本種と異なり中国ではなく米国などに分布する
本種と異なりマツ属ではなくコナラ属樹木などと関係を持つ
本種と異なり傘が淡灰色~帯灰黄色
本種と異なり子実層托がクリーム色~淡い帯黄色
本種と異なり子実層托が疎らに二叉分岐する
本種と異なり肉が帯灰黄褐色で淡紫色を帯びる
本種と異なり肉が傷つくと黄色~帯赤褐色に変色する
Cantharellus sinominor
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
針葉樹の樹下に発生する
担子胞子のサイズの範囲が重なる
本種と異なり傘がパステルイエロー、淡黄色~帯灰黄色で中央部が帯褐橙色または帯赤褐色なのではなく帯灰黄色~帯灰橙色で通常周縁部にかけて淡黄色~淡橙色に退色する
本種より担子胞子の平均サイズが大きい
中国海南省楽東リー族自治県尖峰嶺国家級自然保護区

(新種)

Cantharellus galbanus Ming Zhang, C.Q. Wang & T.H. Li
語源…ガルバナムの(帯灰黄色の子実体から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Cantharellus citrinus
東アジアに分布する
子実体が小型
子実体がレモン色
本種と異なりParvocantharellus亜属ではなくCinnabarini亜属に含まれる
本種と異なり中国ではなく韓国などに分布する
本種と異なり子実層托が比較的発達に乏しく、不規則に横方向に吻合する
本種と異なり担子胞子が大型
中国海南省楽東リー族自治県尖峰嶺国家級自然保護区

(新種)

Cantharellus luteolus Ming Zhang, C.Q. Wang & T.H. Li
語源…帯黄色の(傘の色から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Cantharellus albus
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり子実体が白色
本種と異なり子実体ががっしりとしている
本種と異なり子実体が傷つくと僅かに帯黄色に変色する
本種と異なり子実層托が顕著に二叉分岐し互いに連結する
本種と異なり担子胞子が比較的小型
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus aurantinus
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
広葉樹の樹下に発生する
傘のサイズの範囲が重なる
子実層托が良好に発達する
担子胞子のサイズの範囲が重なる
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり傘が黄色~橙色ではなく淡橙色
本種より担子胞子の平均長が短い
本種より担子胞子の平均幅が広い
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国広東省広州市白雲山

(新種)

Cantharellus luteovirens Ming Zhang, C.Q. Wang & T.H. Li
語源…黄緑色の(傘の色から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Cantharellus minioalbus
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり子実体がパステルイエロー~帯黄橙色でない
本種と異なり子実層托が発達に乏しいという特徴を欠く
本種と異なり担子胞子が比較的大型でない
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus galbanus
中国に分布する
形態的に極めて類似している
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり熱帯に分布するという特徴を欠く
本種と異なり子実体が小型
本種と異なり傘がパステルイエロー~帯黄橙色ではなく帯緑色
本種と異なり子実層托が発達に乏しいのではなく良好に発達する
本種と異なり子実層托の間隔が比較的疎
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus koreanus
東アジアに分布する
子実体が小型
傘が帯黄色~橙色
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなく韓国などに分布する
本種と異なり傘が汚い帯黄色~帯褐色~淡褐色で中央部が褐色
本種と異なり子実層托が発達に乏しいのではなく良好に発達する
本種と異なり子実層托の間隔が比較的疎
本種と異なり担子胞子が比較的大型
本種と異なり担子胞子の幅が狭い
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus minor(ヒナアンズタケ)
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
子実体が小型
傘が帯黄色~橙色
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり米国における分布が知られている
本種と異なり広葉樹ではなく針葉樹の樹下に発生する
本種と異なり傘が卵黄色~橙色
本種と異なり子実層托が発達に乏しいのではなく良好に発達する
本種と異なり子実層托の間隔が比較的疎
本種と異なり柄が長い
本種と異なり担子胞子が大型
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus tabernensis
子実体が小型
傘が帯黄色~橙色
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなく米国などに分布する
本種と異なり傘が鈍橙黄色~帯黄褐色
本種と異なり子実層托が発達に乏しいのではなく良好に発達する
本種と異なり子実層托が鮮橙黄色
本種と異なり子実層托の間隔が比較的疎
本種と異なり柄が鮮橙黄色
本種と異なり担子器が小型
本種と異なり担子胞子が比較的大型
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国雲南省普洱市太陽河国家森林公園

(新種)

Cantharellus minioalbus Ming Zhang, C.Q. Wang & T.H. Li
語源…小さな白色の(子実体のサイズと色から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Cantharellus albus
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
子実体が白色
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種より傘のサイズが大きい
本種と異なり子実体が傷ついても変色しないのではなく傷つくと黄変する
本種と異なり子実層托が発達に乏しい
本種と異なり子実層托が様々な程度に叉状分岐するか顕著に吻合する
本種より担子胞子のサイズが大きい
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州竜里県龍家山森林公園

(新種)

Cantharellus sinominor Ming Zhang, C.Q. Wang & T.H. Li
語源…中国のCantharellus minor
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Cantharellus minor(ヒナアンズタケ)
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
形態的に類似している(容易に混同されうる)
子実体が小型
子実体が黄色
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なりユサン属、トウヒ属ではなくオークやその他の広葉樹と関係を持つとされる
本種と異なり傘が黄橙色~橙色で退色すると淡橙黄褐色または淡橙色になる
本種と異なり傘表面が無毛
本種より担子胞子が長い
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus parvoflavus
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなくメキシコなどに分布する
本種と異なり傘が明るい黄橙色
本種と異なり傘中央部の表面が圧着した繊維状
本種と異なり担子胞子の幅が比較的狭い
本種と異なり子実層托実質菌糸の幅が狭い
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus alboroseus
形態的に類似している
本種と異なりParvocantharellus亜属ではなくRubrinus亜属に含まれる
本種と異なり中国ではなくコンゴなどに分布する
本種と異なり傘が明橙色~淡桃色
本種と異なり担子胞子が小型
本種と異なり菌糸にクランプを欠く
Cantharellus tenuis
形態的に類似している
本種と異なりParvocantharellus亜属ではなくCinnabarinus亜属に含まれると考えられる
本種と異なり中国ではなくコンゴなどに分布する
本種と異なり子実体が小型
本種と異なり子実体が明橙色
本種と異なり担子胞子が小型
Cantharellus austrosinensis
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
針葉樹の樹下に発生する
担子胞子のサイズの範囲が重なる
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり傘が帯灰黄色~帯灰橙色で通常周縁部にかけて淡黄色~淡橙色に退色するのではなくパステルイエロー、淡黄色~帯灰黄色で中央部が帯褐橙色または帯赤褐色
本種より担子胞子の平均サイズが小さい
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Cantharellus albus S.P. Jian & B. Feng
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Cantharellus luteolus
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり子実体が白色でない
本種と異なり子実体ががっしりとしているという特徴を欠く
本種と異なり子実体が傷つくと僅かに帯黄色に変色するという特徴を欠く
本種と異なり子実層托が顕著に二叉分岐し互いに連結するという特徴を欠く
本種と異なり担子胞子が比較的小型でない
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Cantharellus minioalbus
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
子実体が白色
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種より傘のサイズが小さい
本種と異なり子実体が傷つくと黄変するのではなく傷ついても変色しない
本種と異なり子実層托が発達に乏しいという特徴を欠く
本種と異なり子実層托が様々な程度に叉状分岐するか顕著に吻合するという特徴を欠く
本種より担子胞子のサイズが小さい
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Cantharellus zangii X.F. Tian, P.G. Liu & Buyck
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Cantharellus minor(ヒナアンズタケ)
同じParvocantharellus亜属に含まれる
中国に分布する
針葉樹の樹下に発生する
傘表面が無毛
担子胞子のサイズの範囲が重なる
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で近縁(同じParvocantharellus亜属クレードに含まれる)
本種と異なり米国における分布が知られている
本種と異なり傘が淡褐色、褐色~帯褐橙色ではなく明黄橙色~橙色で通常淡橙黄褐色、橙黄褐色、淡橙色に退色する
nrLSU+tef1+rpb2およびtef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される