(仮訳)Fusarium chlamydosporumのネオタイプ指定 – 臨床的に重要な複合種の再評価
Lombard, L., van Doorn, R. & Crous, PW. 2019. Neotypification of Fusarium chlamydosporum – a reappraisal of a clinically important species complex. Fungal Systematics and Evolution. Available at: http://fuse-journal.org/images/Issues/Vol4Art10.pdf [Accessed July 12, 2019] 【R3-06394】2019/7/12投稿

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3行まとめ

Fusarium chlamydosporumと同定された菌株を再検討し、本種のネオタイプ標本を選定した。
分子系統解析によりF. chlamydosporum複合種 (FCSC) に9つの系統学的種を認めた。
この他にF. sambucinum複合種のF. nodosumを新種記載し、F. chlamydosporum var. fuscumを種に昇格させた。
Australia

(新種)

Fusarium atrovinosum L. Lombard & Crous
語源…暗いワイン色の(PDA培地におけるリバースの色から)
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【よく似た種との区別】
Fusarium chlamydosporum
同じFusarium chlamydosporum複合種に含まれる
米国に分布する
ヒトの臨床検体から分離される
土壌菌である
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりホンジュラス、キューバ、ソロモン諸島などに分布する
本種と異なりバショウ属、サトイモ属植物、Scirtothrips属昆虫などから分離される
本種と異なり気生菌糸にモノフィアライドを生じる
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium spinosum
同じFusarium chlamydosporum複合種に含まれる
米国に分布する
ヒトの臨床検体から分離される
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりブラジルに分布する
本種と異なりオーストラリアにおける分布が知られていない
本種と異なり気生菌糸にモノフィアライドを生じる
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium sporodochiale
同じFusarium chlamydosporum複合種に含まれる
土壌菌である
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり南アフリカに分布する
本種と異なりシロアリの巣から分離される
本種と異なり臨床検体から分離されていない
本種と異なり気生菌糸にモノフィアライドを生じる
本種と異なりカーネーション葉上にスポロドキアを形成しないのではなく形成する
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pakistan

(新種)

Fusarium humicola L. Lombard & Crous
語源…土壌生の
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【よく似た種との区別】
Fusarium nelsonii
同じFusarium chlamydosporum複合種に含まれる
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり南アフリカにおける分布が知られている
本種と異なり土壌ではなく植物残渣などから分離される
本種よりスポロドキアの分生子のサイズが小さい
本種よりスポロドキアの分生子が強く屈曲する
本種と異なり厚壁胞子を形成しないのではなく形成する
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新種)

Fusarium microconidium L. Lombard & Crous
語源…小分生子の(培養下で小分生子のみを形成することから)
※本種のホロタイプ標本のロカリティは不明である。
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Portugal, Lisbon

(新種)

Fusarium nodosum L. Lombard & Crous
語源…結節状の(気生分生子柄にポリフィアライドを有する様子から)
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【よく似た種との区別】
Fusarium armeniacum
同じFusarium sambucinum複合種に含まれる
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり米国、オーストラリアにおける分布が知られている
本種と異なりラッカセイ、ダンチク、コムギではなく土壌、干し草、馬の眼などから分離される
本種と異なりポリフィアライドを有するのではなく典型的には欠く
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium langsethiae
同じFusarium sambucinum複合種に含まれる
同じイネ科植物から分離される
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフィンランド、ロシア、ノルウェーにおける分布が知られている
本種と異なりラッカセイ、ダンチク、コムギではなくオオムギ、エンバクから分離される
本種と異なり気生分生子が球形
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium sibiricum
同じFusarium sambucinum複合種に含まれる
同じイネ科植物から分離される
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりロシアにおける分布が知られている
本種と異なりラッカセイ、ダンチク、コムギではなくエンバクから分離される
本種と異なり気生分生子が球形
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium sporotrichioides
同じFusarium sambucinum複合種に含まれる
フランスに分布する
同じイネ科植物から分離される
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりオーストリア、ユーゴスラビア、トルコ、ロシアにおける分布が知られている
本種と異なりラッカセイ、ダンチク、コムギではなくトウモロコシ、エンバク、Glycosmis citrifoliaなどから分離される
本種と異なり気生分生子が球形
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Peru

(新種)

Fusarium peruvianum L. Lombard & Crous
語源…ペルーの
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Brazil

(新種)

Fusarium spinosum L. Lombard, Houbraken & Crous
語源…刺状の(気生分生子柄にポリフィアライドを有する様子から)
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【よく似た種との区別】
Fusarium atrovinosum
同じFusarium chlamydosporum複合種に含まれる
米国に分布する
ヒトの臨床検体から分離される
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりブラジルにおける分布が知られていない
本種と異なりオーストラリアに分布する
本種と異なり気生菌糸にモノフィアライドを生じない
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
South Africa, Gauteng, Johannesburg

(新種)

Fusarium sporodochiale L. Lombard & Crous
語源…スポロドキアの(カーネーション葉上でスポロドキアを豊富に形成することから)
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【よく似た種との区別】
Fusarium atrovinosum
同じFusarium chlamydosporum複合種に含まれる
土壌菌である
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり南アフリカにおける分布が知られていない
本種と異なりシロアリの巣から分離されていない
本種と異なり臨床検体から分離されている
本種と異なり気生菌糸にモノフィアライドを生じない
本種と異なりカーネーション葉上にスポロドキアを形成するのではなく形成しない
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium chlamydosporum
土壌菌である
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりホンジュラス、キューバ、ソロモン諸島などに分布する
本種と異なりバショウ属、サトイモ属植物、Scirtothrips属昆虫などから分離される
本種と異なり臨床検体から分離されている
本種ほどスポロドキアの分生子の頂部細胞が細長くない
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Honduras, Tela

(その他掲載種)

Fusarium chlamydosporum Wollenw. & Reinking
※本種のネオタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Fusarium atrovinosum
同じFusarium chlamydosporum複合種に含まれる
米国に分布する
ヒトの臨床検体から分離される
土壌菌である
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりホンジュラス、キューバ、ソロモン諸島などにおける分布が知られていない
本種と異なりバショウ属、サトイモ属植物、Scirtothrips属昆虫などから分離されていない
本種と異なり気生菌糸にモノフィアライドを生じない
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium coffeatum
本種と異なり培養下で賛成する色素が赤色ではなくコーヒー褐色
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(FIESCではなくFCSCクレードに含まれる)

(新階級・新学名)

Fusarium coffeatum L. Lombard & Crous
旧名:Fusarium chlamydosporum var. fuscum Gerlach
語源…コーヒーの(培養下でコーヒー褐色の色素を産生することから)
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【よく似た種との区別】
Fusarium chlamydosporum
本種と異なり培養下で賛成する色素がコーヒー褐色ではなく赤色
cmdA+rpb1+rpb2+tef1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(FCSCではなくFIESCクレードに含まれる)